この魚には、ちょっと想い出があります。もう25年ほど前のことになります。
でも、今はもうこんなかたちでしかお目にかかれません。 ![]() 学名 Lates niloticus、 英名 Nile perch、 ポルトガル名 Perca nilotica、 和名 ナイルパーチ です。 これが、上のような料理となると、"Filet de Perca"と呼ばれ、よく昼ご飯の日替わりメニューに加わっています。数年前から、市場の場外で鮮魚が、スーパーなどでは冷凍魚を見るようになりました。 場所はケニアのビクトリア湖(Lake Victoria)です。ビクトリア湖は世界で2番目に大きく、またアフリカでは最大の淡水湖で、ケニア領、タンザニア領、ウガンダ領に分かれています。ナイルパーチは当時、「外来魚」として目の敵にされ、地元水産局ではノルウェーだかロシアからの援助で得たトロール船で「ナイルパーチ撲滅運動」などを展開していました。成長すると全長2m、体重が150kgを超える大型の肉食魚で、ビクトリア湖の在来種であるシクリッド科(Cichlidae)のハプロクロミス(Haplochromis)やティラピア(Tilapia)の類の魚を片っぱしから捕食してしまい、それらの魚の数が激減してしまったという状況にありました。地元民であるルオ族は、この巨大エイリアンを嫌い、漁獲されたナイルパーチをほとんど口にしなかったと記憶しています。 その後、ナイルパーチは世界最高の「未利用資源」として欧米や日本からの注目を集め、その方面への「輸出魚」となり、晴れて「市民権」を得るにまで至ったのですが、最近はまた少し状況に変化が出てきた様子です。 ![]() ![]() ![]() もともとナイルパーチは名前の由来であもあるナイル川に生息しており、古来エジプトの壁画にも描かれているように「神聖な魚」という確固たる地位を築いていたのですが、1950年代に「北ヨーロッパ人」の手によってウガンダのカンパラ辺りからビクトリア湖に放流された後、その地位を失墜し「最低最悪の外来プレデーター」というレッテルを貼られるようにまでになってしまいました。また、前述のように「未利用資源」として大いに活用されるようになってからも、さらに"Darwin's Nightmare"といったプロパガンダ映画では主役に抜擢され、世界中の反感を買うように仕向けられてしまいました。 「オマエラ、イイカゲンニシロヨ」と代弁してあげたいぐらい、ナイルパーチはボロボロの状態です。一時ですが、関係を持った魚がこのような状況に陥っているのを見過ごす訳にはいきません。何とか名誉挽回をはかってあげたいものです。 上の3つの記事からも分かるように、最近、ビクトリア湖のナイルパーチ漁は"Overfishing"の状態だそうです。漁獲量は2000年ごろに比べ半分にも満たないレベルにまで落ち込んでいる様子です。1980年代始めからタイムスリップしてきた者にとっては、おおよそ25年後に「ナイルパーチ撲滅運動」は本懐を遂げつつあるように思えるのですが、まさか逆に資源の枯渇を心配するような事態になってしまうとは「お釈迦さまもビックリ」なのではないでしょうか。加えてこの間、再び「北ヨーロッパ人」が南アメリカ原産の水草である「ホテイアオイ」をビクトリア湖に移植し、湖を水草だらけにしてしまいました。これによりビクトリア湖は酸欠状態となり、魚の繁殖に悪影響を与えるばかりでなく、船の航行を妨げ、漁業もできず、飲み水にまで深刻な被害をもたらしたとも聞いています。 ![]() 次はダムです。ビクトリア湖唯一の水の流れ出しで、白ナイルの源流でもあるところ(Jinja, Uganda)で、世銀の援助で大規模なダムを建設し、その結果、ビクトリア湖の水位を異常なまで下げてしまうという失態もやらかしています。人間はどこまで自然を痛めつけたら気がすむのかとか考えてしまいますが、ビクトリア湖は前述のとおり、「世界で2番目に大きな淡水湖」ですが、容積(水量)で言えば、世界で7番目となります。ようするにとても「浅い」湖なのです。最深部でも80mほど、ケニア領内では30mほどの深さだったと思います。ですから、ビクトリア湖はグレート・リフト・バレー(大地溝帯)の脇にできた「湖」というより「巨大な水溜り」なのです。ものの記述にはビクトリア湖の今の形がほぼ出来上がったのは、おおよそ40万年前で、それから今までに氷河期などの気候変動で少なくとも3回は干上がった時期があるそうです。これほど若い「巨大な水溜り」ですので、それほど力強い生命力を宿しているとも思えず、他のものの記述にあるように「ナイルパーチによって400種ほどいたビクトリア湖の在来種はほぼ絶滅した」とかいうのは、ちょっと信じられません。信じられないのは「ビクトリア湖に数100種もの魚が生息していた」ということです。また何か「ウラ」があるのではと疑いたくなります。「DNA鑑定によって」とか言ってますが、それってあまり信用できません。 これって、同じアフリカ大陸のタンガニーカ湖(Lake Tanganyika)とかマラウィ湖(Lake Malawi)とかと勘違いしているのではないかと思います。「勘違い」では済まされない話なのですが、これら2湖はグレート・リフト・バレー内に2千万前とか数万年前に形成された古代湖で、最深部はタンガニーカ湖が1500mほど、マラウィ湖も700mほどもあります。ですから、ビクトリア湖とは本質的な部分で全く異なります。昔、海と何らかの繋がりがあったところが、地殻変動によって陸封化され、魚もそのまま淡水化したかのように種類も豊富で、海水魚にそっくりなものが数多く存在します。とても興味深い湖です。 後になって、「ビクトリア湖の魚が"乱獲"によって数が激減したため、植民地時代に、北ヨーロッパ人がナイルパーチを湖の魚資源回復のための苦肉の策として放流した」とか、勝手に美化した言い訳を造ってることに対し、どうかと思います。どうして当時のブラック・アフリカンに湖の魚を激減させるほどの乱獲漁業ができたというのでしょうか。 とにかく「賽は投げられた」(the die is cast) のですから、「初志貫徹」でナイルパーチがいなくなるまで獲り尽くすか、地元経済最優先でこれからも末長くナイルパーチと共存していく道を模索していくか、二つに一つで、ビクトリア湖周辺部族および3国政府、また必要であれば欧米日も協力して知恵を絞っていただきたいものです。 ナイルパーチのために。 食後の ■
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by mobulamobular
| 2010-03-31 05:24
| 魚
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by mobulamobular
| 2010-03-29 05:11
| 自然
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「祭りのあと」のような静けさが戻ってきました。
CITESのHPも会議を盛り上げるための開催に向けた「カウントダウン表示」も消え、関係者への「お知らせテロップ」がつまらなそうに流れているのみです。 ![]() 結果は惨敗でしたが、それでも彼らの目的は十分果たせたのではないかと思います。 日本を完璧な悪玉に仕立て上げることができました。「ハンニバル・レクター博士」をはっきりさせることができたのです。この点、「第2のクジラ」の誕生とも言えるのではないでしょうか。外交政策における「切られ役」です。彼らの考えそうなことで、メディアも報道の構図がはっきりして、仕事がし易くなったのではと思います。一方、日本国内での報道はどうかと言えば、「久々の日本の国際外交上のヒット」、韓国と一緒になって「日本が最大の勝者」といった具合に煽てあげています。ますます彼らの「思う壺」のような気がします。 多少、彼らの想定外であったことは、意外に"poor nations(貧乏諸国)"からの反発が強かったということです。しかし、相変わらず、そんなには気にしていないでしょう。逆に「あくどい酋長に味方するインディアン」的イメージで考えているのではないでしょうか。正に「南北問題」的様相を呈してきました。 "Monaco's proposal, backed by the United States and the European Union (EU)" という「正義」が、 ![]() ようするに、「アメリカ、ヨーロッパによって支持されたCITES会議(モナコ案等)は、日本によって台無しにされた。」というのが、今回のCITES会議で彼らが得た結果です。 ポルトガルでは、混獲されたクロマグロは時々各地で水揚げされていますが、「マグロ漁」としてクロマグロを水揚げしているのは、この「ユーラシア大陸果ての定置網」のみです。ですから、今回のCITES会議の動向を「ご心配していただいた」リスボン大学、ポルトガル水産局、ポルトガル海洋研究所、スペインの同業者、スペインの仲買人など、各方面からご連絡をいただいたのですが、「モナコ案否決」について、皆さん、一様に"Felizmente" (幸いにも)と結果を歓迎しています。こちらのことを気にかけていただいて"Felizmente"なのかと思いきや、そうでもなさそうで、皆さん、自分たちの考えで「幸い」だった様子です。でも、これは明らかに政府見解、EUの立場、新聞等で報道されている内容とは異なる反応です。「本音と建前」でしょうか。それとも、ただ単に「モナコ嫌い」から出た「ざま~みろ」的反応なのでしょうか。 このように、少なくともイベリア半島ではちょと事情が異なっています。特にスペインは喜んでいます。政府も後押しをして、今年も伝統のAlmadrava(スペインのマグロ定置網)4ヶ統はすべて操業をするそうです。加えて、スペイン当局は「マグロのことなど全く理解していない北ヨーロッパ諸国にこれ以上自分たちにとってとても大切な政策決定を任せておく訳にはいかない」と、自主的な漁獲削減案を明示し、グリーンピースなどの環境保護団体と近々独自の話し合いの場を持つ考えの様子です。そして、例年通り、日本からの買い付け軍団が価格交渉に訪れてくることを期待しています。 もともと「クロマグロ禁輸」の件に直接的に関係しているのは地中海諸国で、前述のとおり、ヨーロッパの政策決定の実権を握っている北ヨーロッパ諸国には「関係のない」話です。ですから、そこに意見の隔たりがあるの当然のことと思われます。「ひとつにまとまりたいが、自分たちの主張も通していきたい」というヨーロッパ各国が持つジレンマです。今回の件でスペインは協調よりも自分たちの「海の文化」をイニシアティブを持って優先さていく方向で進むように思われます。一方、ポルトガルは「現状維持」です。さて、フランス、イタリアはどうするのでしょうか。環境保護団体への対策費とマグロ漁に対する賠償額を比較したところ、後者の方が安く済みそうなので「モナコ案」に賛同したとも聞いています。それが否決された今、何もなかったかのように「現状維持」なのでしょうか。 最後になりましたが、「モナコ案否決」が、「ユーラシア大陸果ての定置網」にとって「幸か不幸か」考えてみます。 結論は、残念ながら「不幸な」結果だったと考えます。 ■
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| 2010-03-28 07:57
| マグロ
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尋常でない長雨の後は、時化続き。今シーズン始めはちょっと厄介な天候で、定置網準備作業は至極遅れをとってしまいました。が、やっています。海況の許す限り、朝から午後まで沖仕事です。
そんな中、一人、新処理場の改装作業の助手として「丘残り」を命じられた漁師がいます。新人で登場した「刺青兄ちゃん」フラビオくんです。 ![]() よく、その役目をこなしています。ドリルやサンダーを持つのは初めて、鉄工作業など今までは無縁のものでしたが、定置網の漁師はこういうこともできなくてはいけません。 ![]() 思いっきり、埃スッてます。必要ならマスクをしてください。若干22歳。将来のある身ですから。 しかし、フラビオくんの場合、全般的に漁師としての経験不足ですし、社会に出て働き始めて日も浅いので、まだ契約漁師です。このままいけば、来春には晴れて「正社員」って具合になることを期待しています。目下、順調に進化しています。挨拶、礼儀作法、言葉遣い、それに技術と知識です。「やる気」を養うというのも重要です。それには目標が必要です。目指すものをしっかりと捉えることです。 でも、「刺青」はこれ以上進化させなくてもよいのではないか。 ![]() 「全身刺青だらけにするのが目標」とかは、なしでお願いします。ちなみに、これ。ヘソ下です。 本人曰く、「自分の名前」だそうですが、身分証明書の名前とは異なるので、あだ名、といったところだと思います。 ![]() 沖仕事 ■
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by mobulamobular
| 2010-03-25 06:35
| 漁師
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残念ながら、資源保護を目的としたCITESにおける大西洋・地中海クロマグロの国際取引きを禁止するモナコからの提案は否決されました。
採決の際に賛成票を投じた国々の関係者らにはもちろん残念な結果だったでしょうが、他にもWWFやグリーンピースなどの環境保護団体およびそれらの支援者、また自然環境や生態系保全活動をライフワークとされている方々等にとっても、悔しい結果だったと思います。 で下の写真は、ちょっと古い記事になりますが、もうひとつ別のイギリスの新聞(高級紙)である"The Independent"からのものです。 ![]() 日本を代表する大企業グループ、岩崎弥太郎のそれ、大手商社。その名前で記述は始まっています。 さて。この一企業にとって、先日のCITES会議での「否決」は残念な結果だったのでしょうか。それとも日本政府同様、頑張った甲斐があった結果だと思っているのでしょうか。 この記事、写真の下方へも記述は延々と続きます。"The Independent"の報道では、当時のMitsubishiをあまりよくは書いていません。「世界の絶滅危惧種であるクロマグロの40%のシェアを持つ、何にでも触手を伸ばす巨大企業が窮地に立つ」みたいに、のっけから批判的です。また、「商業取引禁止を予測して、マイナス60℃で凍らせたクロマグロを大量に保存している」が如くです。でも、これらは全て「事実」ですので、Mitsubishiには反論の余地がなかったと思われます。 それでか、どうかは分かりませんが、その後、Mitsubishiから「怪文書」的声明が発表されました。 2009年9月16日- 大西洋・地中海クロマグロに関する声明 いろいろ、あーじゃないこーじゃない、グーたらスーたら書いてありますが、今回の議題に一致する一文に目が止まります。そこは次のような記述となっています。 (2009年)11月の会合において、ICCATがICCAT科学委員会の推奨に従わなかった場合、健全な管理と真に持続可能なクロマグロ産業の実現の為、ICCATに加えて「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(通称ワシントン条約)」を含む管理手法や枠組みを、当社として支持することとします。 「獲れるうちに獲れるだけ獲る」。それが彼らの与えられた使命です。「いつになるかは分からないが、獲りたくても獲れなくなる日が必ず来る」というのが、彼らの読み、です。 冷凍技術の発達のお陰で、数年、またはそれ以上の年月の間、ほとんど品質の低下なしにマグロが冷凍保存できるようになりました。だから「貯めれるだけ、貯める」ことになったのです。クロマグロは、ついこの間まで、完全な売り手市場でした。経済危機、世界不況のせいで、こんなにもクロマグロの相場が崩れるとは夢にも思わなかったことです。「彼らの読み」は外れました。 「クロマグロの在庫処理」が大きな課題です。冷凍庫にマグロを保管しておけば、品質は落ちないものの、「経費」は掛かります。ということは日に日に「マグロの値段」は上がっていくことになります。でも相場は安くなって、下がったままです。「物が高価」なだけにこの在庫処分、厄介です。 だから、「残念だった」のではないでしょうか。「チャンス到来」だったかもしれません。CITES。もうこれ以上マグロが来ないことがはっきりすれば、安心して小分けで(高値で)在庫処理ができたように思います。「経済効果」とか考えれば、どっちがよかったのか。そこまで考えた結果、頑張ったのでしょうか。農林水産省。 「どうせ、禁輸は数年のみ。その内に冷凍庫を空にして、また貯める時が来る。仮にずっと来なくても、次の一手は打ってある。」とか、考えませんでしたか。で、今年はどうするのですか。まだ、買うのでしょうか。せっかく農林水産省が自らの頑張りで、「否決」を勝ち得たと思っているのですから、買わないとシャレになりません。 ■
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| 2010-03-21 02:36
| マグロ
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昨日同様、イギリスのBroadsheet(高級紙)であるguardian.co.ukです。Cites会議における「大西洋マグロ禁輸の提案が否決された」記事の続報です。
だいぶ、怒っている様子です。 ![]() 「バカ、まぬけ、アホ、キチガイ」。みたいなで出しで、まるで日本らが「金で票を買った」如く記述もあります。 しかし、このコラムニストはちょっと有名な過激な環境保護活動家です。「政治的活動好きな環境ジャーナリスト」ということですので、この記事もイギリス人の「一般的な意見」とは多少異なるものと思われます。 ■
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| 2010-03-20 06:40
| マグロ
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お騒がせのCITES会議、マグロの国際取引禁止の案件は、「日本やカナダ、それにたくさんの貧乏諸国の経済的理由により、反対された」、というイギリスの新聞の一報です。
![]() 少々、アングロサクソンの血が騒いだ様子です。 他にも。 ■
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| 2010-03-19 06:55
| マグロ
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定置網漁師の一人が10数年続いた結婚生活にピリオドを打つ、踏ん切りがついた様子です。
英名 Divorce、 ポルトガル名 Divórcio、 和名 離婚、ということになります。 胃が痛くなって、体重を減らし、この数カ月間辛い思いをした末での彼なりの結論ですので、それはそれで尊重したいと思います。しかし、結婚する前の二人、結婚式での二人、結婚後の二人、子供ができてからの二人をよく知っており、うまくやっているように見えていたので、甚だ残念です。これ以上、ことを悪化させないための「離婚」ということになりそうです。 彼らの「離婚」については、他人事ですのでとやかく言うつもりはありません。しかし、ここポルトガルは敬虔なクリスチャンの国ですから、離婚は少ないものと思っていましたが、実際はその逆で、周りの状況だけ見ていえば、その率は5割以上ではないか、とも思えるほどです。一方、お隣りスペインはというと、男についてはもっと「遊び人」のイメージがありますので、離婚率はもっと高いのではないかと考えがちですが、実際は厳粛なカトリックの教えにより、途中で何があろうとも離婚に至るケースは少ないようです。 ですから、今回の離婚話が持ち上がって彼が相談に訪れてきた時にも、周りからは「子供がいるんだから、離婚はするな」とか、「バカなことは考えるな、もっと話し合って、二人で他の解決方法を探せ」とかいう「反対意見」の声はなく、初っ端から「慰め」で始まります。「時間が解決するよ」とか、「大丈夫、子供もじきに慣れるよ」とかで、最後はお決まりの「それが、人生さ」です。離婚について、とても寛容です。 ![]() 上の写真のワイン、直接「離婚」とは関係ないのですが、"MOSCATEL"(モシュカテル)という種類のものです。"マスカット"(ブドウ)からできたワインです。モシュカテルはリスボンから南に約50kmほど下った"Setubal"というところのものが有名ですが、これはポートワインで有名なドーロ川(Douro)地区のものです。食前酒(Aperitivo)です。モンド・セレクションで2009年金賞となっています。 話を元に戻しますが、離婚することに決めた漁師は前述のとおり、この数カ月間とてもコンディションの悪い状態が続きました。時には仕事にも出て来れないほどヘベレケの日もありました。こっちとしては組織としての規律を保つために一言二言ブーたれてやりたいところでしたが、周囲の寛容さに引けを取るようなまねは得策ではないという判断からあえて黙認をしていましたところ、今日になって、彼が「ご迷惑、ご心配をおかけしました」と言って、このモシュカテルを持って来たのです。 長年の付き合いからこちらが彼のことを心得ているのと同じように、彼にこちらのことを見透かされていることは否めず、痛いところを突かれてしまって、一瞬、言葉を失ったのですが、彼の目には「元気だったころ」のような瞳が見えましたので、少し安心して、"É a vida" と言ってやりました。 しかし、このモシュカテル、「家から持って来た」と言っていましたから、まだ仲のよい時に二人で飲もうと買ったものではないか、と思われます。一応、「気持ち」ですので受け取りましたが、どうしたものか思案中です。 飲めば、基本的には「甘口」ですが、これに限ってその後進化して「ビター」だったり、とかちょっと「キモイ」ことを考えてしまいました。 ■
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| 2010-03-18 08:25
| 漁師
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携帯電話普及以降、「腕時計」をしない人が増えた、と聞き及んでいますが、機能面の優位性から使い続けています。
![]() 自身、4台目のマシーンです。購入年はうろ覚えですが、1988年。当然、今までの中では一番長く使っています。過去の3台はいろいろな事情で手元から離れて行きました。 昔は、中学生から腕時計をしたものです。中学入学祝いとかで腕時計を贈られた人も多いのではないかと思います。中学生になるということは、「大人の仲間入りをする」ということですので、だから、腕時計が必要なのです。そう解釈していました。初めての腕時計は親父のお古でした。スイス製の"J.W Benson"というとてもよい時計でしたが、当時の中学生向きではなかったので、すぐにもっと格好のよい、特に、したままでも水の中に入ることができる「防水」の時計が欲しくなり、中3の時に小遣いを貯め、初の「ダイバーズ・ウォッチ」を購入しました。これは大学の途中まで使いましたが、バッティング・センターに置き忘れ、万事休すでした。その後、2台目はエジプト・カイロの土産物屋で「偽の金環」と交換で奪われました。続く3台目はタイのバンコックでホテル火災に遭い、燃えてしまったか、はたまた奪われたか、その時のファイアーファイターに鎮火したホテルに戻ることは許されず、そのままおじゃんでした。 定置網をやるには、必ず潜水作業を伴います。しかし、「手っ取り早い」から潜るのではなく、「最後の手段」として水の中に入ります。できる限り船上からの作業で賄うのが基本です。なぜならば、潜水作業は常に「潜水する者」に危険が伴うからです。最近の潜水作業は「スクーバダイビング」で行われます。これは最新のハイテク作業です。正に人間の「常識破り」の行動となります。鰓(エラ)もないのに水中で呼吸をします。潜る深度にもよりますが、かなりの水圧を受けなければなりません。呼吸、水圧ともにひとつ間違いがあると、一瞬先は闇の世界となります。もちろん「潜水する者」は事前にそれなりの準備をしますし、知識も植え付けますので、危険を判断できます。しかし、船上で待つ「潜水しない者」はその限りにあらず、です。 定置網では、水中の網やロープの点検、網内の魚のチェック、海底に落下した物の回収、等々、いろいろな目的で潜る機会があります。20年ほどの潜水経験から、潜水のし易い・し難いは、船上にいる「潜水しない者」の資質で決まることを悟りました。もちろん潜水作業は「潜水する者の自己責任」です。しかし、チームプレーに徹するあまり、時に無理が出ます。「潜水しない者」は、あともうちょっと、もう1回潜ってもらえば仕事が終わる、などの理由から「潜水する者」に再潜水を嘆願します。しかし、この時の判断に潜水の知識がない場合は、危険が伴うのです。潜水経験があれば、すぐに分かるでしょうが、定置網における潜水作業は時に一般的な潜水のルールをかなり無視して行われます。出始めの頃、「ダイブ・コンピューター」というのを着けて潜ったことがあります。浮上する際のスピードが速すぎたりすると、水中でも聞こえるアラームが鳴り、注意を喚起する仕掛けになっているのですが、その日は潜水の始めから終りまで、アラームが鳴りっぱなしでした。今も、いろいろなところの定置網に多くのダイバーが当たり前のように潜っていると思いますが、くれぐれも無理はなさらぬ様にしてください。ダイビングの事故は悲惨です。 という訳で、数年前までで定置網の潜水仕事からは足を洗いました。幸い、20数年の間、多少危ない場面もありましたが、無事故でした。今は「若い者」が潜っており、船上での「良き潜水作業理解者」であるべく務めています。 上の写真の4台目のダイバーズ・ウォッチですが、数回、水深50m以上を経験しています。その中のひとつで日本の海での体験です。ちょっとした手違いで数百万円ほどする測定機器を海底に落してしまい、それを取りに潜りました。その日、海水の透明度はよかったのですが、水深50mとなると、日の光がうっすらとしか届かず、加えて海底の砂も「黒」ですし、若干の窒素酔いも手伝って、着底した際は、まるで宇宙のどこか別の星、「暗黒星雲」にでも着陸したような気分になりました。自身はもちろん宇宙飛行士です。で、おちゃらけはそこまでで、仕事です。一応、プロですので、さっさと落下した測定機器を探します。難なく発見。機器にロープを結わい付け、浮上開始。BCDなど使いませんので、あらかじめ落しておいたロープをつかみ、浮上します。この深度になると完全に沈降力が浮力より勝りますので、浮上も必死です。で、5~6mほど上がったところで、名残惜しく、海底を見ると。 度胸のある人たちへ ■
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by mobulamobular
| 2010-03-16 08:21
| 定置網
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今はこんな気分です。
![]() Ride on time! ![]() Ride on time!! ![]() Ride on time!!! 今日は久しぶりに朝からカラッと晴れました。やっと「アルガルベ初日」といった感じです。 天気図を見てみると、ようやくアソレス高気圧が勢力を復活させ北上してきた様子です。これによりイベリア半島に向かって進む低気圧の進入を妨げ、北へ追いやるような形になってきました。しかし、今回の雨の通り道はワイドで轍も深くなっています。いつまたこのラインが復活するか分かりませんので、まだしばらくは雨への注意は必要です。 もう春。次はすぐに夏となりますが、今年の冬は北大西洋振動(NAO:North Atlantic Oscillation)のインデックスがかなり「負」だったということです。稀にみる極端な現象の年でしたので、とても分かりやすかった、と思います。 ■
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by mobulamobular
| 2010-03-13 08:04
| 気象
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