食べものだけじゃない
"木材"、"ASAE" に続く、ASAE(アザイ)シリーズ、第3弾です。
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ある事例があります。2004年のことですが、あるイギリス人グループが観光でアルガルベを訪れました。
一般的にアルガルベでの宿泊はホテルのみならず、大人数の場合はこのイギリス人グループのようにプール付きの家を
一軒借り上げて過ごすのがとてもポピュラーです。しかし、宿泊始めてから数日後、グループの一人がプールサイドで
タイルに足を滑らせ転倒し、頭を強打、一命はとり止めたものの後遺症の残る結果となってしまいました。
その後、このイギリス人は事故の原因は「滑りやすいタイル」にあったとこの家のオーナーを相手に訴訟を起こしました。

これは知り合いの不動産屋さんから聞いた話ですが、この事件の前後あたりから観光客用の家(Accommodation)への
規則が非常に厳しくなってきたそうです。この検査を行っているのも"ASAE"です。

例えば。
フランス人に家を貸す場合は、その家はフランスの法律に適合したものになっていなくてはならない。
ドイツ人の場合は、ドイツの。オランダ人の場合は、オランダの、っといった具合だそうです。
その「認定」を受けるには各国から検査官を招くなり、マニュアルを入手して自分で行うことになります。
上記3カ国の場合などはまだ規則が「似ている」ので1国のものを満たせば、他国にも応用できるのですが、
イギリスの場合はずいぶんと異なった条件や状況が要求されるらしく、大いに手間となるそうです。

例えば。
プールサイドには「滑り止めタイル」(こんなものはポルトガルでは今まで見たこともきいたこともありません)が使用されているか。
風呂用湯沸かし器の温度がある一定温度より上昇しないようになっているか、また、その温度計は設置されているか
(彼曰く、「ポルトガルでは湯の温度が熱い時は水をいっしょに出すのが常識だ」。どこでもそうだと思いますが。)。
階段の角度、垣根の高さ、冷房機器・暖房機器の状態、消火器等火災への対策、等々。数え始めたらキリがないのですが、
すべて、家を貸す相手国の規則に適合していなければならないそうです。
なぜならば、それが「ヨーロッパだから」といったところでしょうか。

ASAEは例によって検査を強行します。家主の事情などおかまいなしです。
アルガルベは「観光以外に産業はない」と言っていいほど、観光業に依存した地方です。漁師(漁業)でさえその恩恵を
多く受けており、「観光業者のピンチ」は他人事とは思えないのが現状です。
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# by mobulamobular | 2008-02-27 00:58 | ポルトガル文化 | Comments(0)
"ハタタテホウボウ"
和名がないので、また、命名してしまいます。この手の魚の名前は、今までの習いからどんな和名が適当かおおよそ判断がつきます。参考となるのは"タイ五女"です。
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ホウボウ科(Triglidae)の魚です。学名は文献によって異なりますが、"Fishes of the North-eastern Atlantic and Mediterranean" のものを前に、( )内にはそれ以外のものを記載します。
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学名 Aspitrigla obscura (Chelidonichthys obscurus)、 英名 Longfin gurnard、 ポルトガル名 Ruivo、和名は分かりませんので、タイトル通り"ハタタテホウボウ"とします。
ポルトガル名ですが、"Ruivo"とはホウボウ科の魚の総称として最近は使われているようです。いわゆる「小魚」で、水揚量も少なく、判別も難しく、値段にも差がないことから、市場では皆一緒にして販売されています。しかし、味には差はあります。 例えば"ホウボウ"などは日本でも高級魚です。
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正式には "Cabra de bandeira"といいますが、この名前を知っているのは学者さんくらいだと思います。ちなみにCabra=雌ヤギ(チーズはCabraが一番です)、bandeira=旗、のことです。街では"Ruivo"の代わりに"Cabra"と表記されていることもありますが、この時点ではホウボウ科の魚であることは分かりますが、種までは分かりません。
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# by mobulamobular | 2008-02-25 00:19 | | Comments(0)
サルモネッテ
二度目の登場です。"焼き魚のチャンピオン"です。
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学名 Mullus surmuletus、 英名 Striped red mullet、 ポルトガル名 Salmonete、 和名 ヒメジの一種 です。
日本にはいろいろな種類のヒメジがいるようですが、一般的には黄色いヒゲを持ったUpeneus bensai (あるいはU.japonicus) です。小型のものが多く水揚量も少ないため、産地で消費されることがほとんどなのでしょうか、食べたという記憶はありません。そんなヒメジがこんなに美味しい魚と知ったのはポルトガルに来てからです。
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土地柄ですが、ここらでは銀行マンや車の営業マン以外にめったにネクタイ姿の人を見かけることはありませんが、そんな人たちがランチにこのサルモネッテを食べている姿はなかなかカッコいいものがあります。また、リスボンをはじめ、国内からもたくさんのポルトガル人が観光あるいは仕事でアルガルベを訪れて来ますが、そんな人たちと一緒に食事をする時のお勧めの一魚です。鮮度落ちが早いようですので、やはり水揚げ地で食べるのがベストです。
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# by mobulamobular | 2008-02-23 00:46 | | Comments(0)
Monte São Miguel
英名 "マウント・セント・マイケル" です。
南ポルトガル・アルガルベ地方では"Monchique"という山が一番高く、最高地点は"Foia"で標高902mです。
São Miguel(標高415m)は、アルガルベではたぶん2~3番目に高い「山」だと思います。
"ファロ"を境に西側を"Barlavento"、東側を"Sotavento"と呼びますが、"Monchique"は"Barlavento"側に位置しますので、
São Miguelは"Sotavento"側では最高峰となります。
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今ではGPSのプロッター画面から自船の正確な位置が分かり、迷うことなく漁場にたどり着くことができますが、
今でも多くの地元漁船では「山タテ」が、船の位置と目的地の方向およびおおよその距離を知る手段です。
山タテには丘に指標物が必要なのですが、アルガルベの海岸線は起伏が少なく、その上目立った建築物も少ないため、
このSão Miguelはとてもよい指標となって、地元漁師の役に立っています。

約半世紀前の"Armação de Atum"(マグロ定置網)の写真を見たことがありますが、同じようにMt. São Miguelが写っていました。
ふもとの「白い部分」が多くなったとはいえ、その容姿は昔も今も変わらぬやさしい情景です。

「山」について
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# by mobulamobular | 2008-02-21 00:19 | 定置網 | Comments(0)
LEITÃO(レイタゥン)
ズバリ、「子豚」という意味です。ポルトガルでは、"Leitão"と聞けば「子豚」の丸焼き料理を思い出すのが普通です。
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学名 Galeus melastomus、 英名 Blackmouth catshark、 ポルトガル名 Leitão、 和名 ヤモリザメの仲間 です。
日本では近種のヤモリザメ(G.eastmani)やニホンヤモリザメ(G.nipponensis)が見られるようですが、この種はいません。メジロザメ目、トラザメ科、ヤモリザメ属のサメです。口腔内が黒いので「ブラックマウス」とも呼ばれています。oviparous(卵生)です。地中海内で年間を通じて産卵活動は行われているようですが、ピークは春から夏にかけてです。小型のサメですが、成体ではメスの方が大きくなり90cmほどです。オスは60cmほどにしかなりません。
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なんだかたくさんの「動物の名前」が出てきました。ブタ・ネコ・ヤモリ・トラ・・・。サメなのに"dogfish"というのもいます(例:"マルバラユメザメ")。こんがらがりますね。実際に多くの文献で"catshark"を"dogfish"と間違えて記載をしているもの、またその逆もよく目にします。
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注) 以前に"LITÃO(リタォゥン)"というのが出てきましたが、「別物」です。








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# by mobulamobular | 2008-02-18 03:48 | サメ・エイ | Comments(0)
no comment
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# by mobulamobular | 2008-02-13 21:31 | マンボウ | Comments(0)
ウロコアイザメ
前回の"ovoviviparous"で種の同定が間違っていました。
仕切りなおしです。
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学名 Centrophorus granulosus、 英名 Gulper shark、 ポルトガル名 Barroso、 和名 ウロコアイザメ です。
同じくovoviviparous(卵胎生)です。
ポルトガル名は「粘土質の」といった意味ですが、これが色からきたものか、肉質等からきたものかは定かではありません。
しかし、この種からは大量の肝油が採取できるため、そこから名付けられたのかもしれません。
サメの肝油はスクアレンのもととなるものですが、世界中で需要が多く、そのため今では資源維持が危惧されています。
市場に水揚げされる時は既に肝臓は除去されています。
比較的小型のサメで、最大で1.5mほどです。やはり深海ザメで、近隣海域では通常350mから500mの水深に生息しています。
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鰾(うきぶくろ)を持たず、大きな肝臓を利用して浮力調節をするのがサメ類の特徴ですが、アイザメ類等では「第三の眼」(松果体窓)を
持つことで光の少ない深海に適応しています。松果体(しょうかたい)は頭部背面の皮膚が局所的に色素を失い、
半透明化した部分で、光りを感じる細胞を持っています。
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話題は変わりますが、"Barroso"(バローゾ)と言って思い出すのは、やはり、ポルトガル人の欧州委員会委員長である
"José Manuel Durão Barroso" だと思います。
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# by mobulamobular | 2008-02-12 06:24 | サメ・エイ | Comments(0)
ovoviviparous
「卵胎生」のことです。
これは魚の生殖様式のひとつで、サメ・エイ類、メバルやカサゴ、またはシーラカンス、馴染み深いところではグッピーなども卵胎生です。具体的には卵が母親の体内で孵化し、胎児は黄卵物質のみから栄養を摂取し成長していくものとされています。
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[後記]下記の記述に誤りがありましたので、訂正いたします。
学名 Centrophorus granulosus、 英名 Gulper shark、 ポルトガル名 Barroso、和名 ウロコアイザメ、 です。
学名 Squalus blainvillei、 英名 Longnose spurdog、 ポルトガル名 Galhudo、 和名 ヒレタカツノザメ。
ポルトガル名はちょっと発音しにくいのですが「ガリュード」といい、背びれにある棘が大きく特徴的であるため、このサメの場合、「大きな角」といった感じの意味になります。通常、水深400m以上に生息する深海ザメで「卵胎生」です。
これはオリャオの市場に水揚げされたものを写真に撮りました。
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学名 Deania calceus、英名 Birdbeak dogfish、 ポルトガル名 Sapata、 和名 ヘラツノザメ。
吻がとても特徴的であるため、何れの名前も前方に出っ張った吻を表すものとなっています。ポルトガル名は"Sapato"となると一般的な「靴」のことになるのですが、"Sapata"と女性形になると、特に幅がだだっ広い「靴」のことを意味するそうですが、ちなみに鉄道のレールの下の枕木も"Sapata"といい、何かもののベースになるものを言うケースが多いようです。同様に深海ザメで「卵胎生」です。これもオリャオのものです。

話をもとに戻しますが、サメ類の生殖様式は卵生(oviparous)と胎生(viviparous)に大別されます。そして胎生種の中で主に外卵黄嚢依存型のものを卵胎生(ovoviviparous)としているようです。しかし、矢野博士(サメ)によると、最近の研究では、サメ類の多くが特異的な生殖様式をもつことが判明してきたため、卵胎生の区分が曖昧になってきたそうで、博士の考えでは、サメは「卵生」と「胎生」の二分にするのがもっとも適切な方法、だそうです。

何れにせよ、サメは生殖様式のみならず生態、姿かたち、生息域、行動等、どれをとっても実に不思議な動物です。
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# by mobulamobular | 2008-02-12 00:02 | サメ・エイ | Comments(0)
メルルーサ
日本でもお馴染みの白身魚です。同属異種が世界中の海に生息しますが、北東大西洋および地中海海域には2種が生息しています。
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学名 Merluccius merluccius、 英名 (European) Hake、 ポルトガル名 Pescada branca、 和名 メルルーサ。
もう一種は写真はありませんが、学名 Merluccius senegalensis、 英名 Black hake、 ポルトガル名 Pescada negra、 和名 メルルーサ、 です。
この属の魚の和名はすべて「メルルーサ」で統一されているようです。ポルトガルでは総称で"Pescada"(ペシュカーダ)と呼ばれていますが、上記の通り、"branca"(白)と"negra"(黒)とに色分けされています。鮮魚の段階で両者はすでに見分けが難しいので、そんな時は鰓杷数を数えます。「鰓杷」とはエラの内側にある棘のことです。鰓蓋を開けると見ることができます。鰓杷数に個体差はありますが、12本以内であればP.branca、12本以上あればP.negraというのが一応の目安です。
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地元では刺し網船が漁獲し、水揚げをしています。深海魚のイメージが強いようですが、夜には浅瀬へと移動し、数は多くありませんが、時々定置網にも入ります。冷凍魚の流通量が多く安価なイメージもありますが、鮮魚の値段はけっして安くはありません。市場では腹の割かれたメルルーサが並びます。そして、卵は別売りされるのが普通です。大きな魚体のものは、それはまさに「たらこ」の様です。ここでもポピュラーな魚で、皆んなに好んで食されています。
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けっこう鋭い歯の持ち主です。












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# by mobulamobular | 2008-02-02 02:33 | | Comments(0)
ASAE
"アザイ"と発音します。前回の「木材」の続編です。
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"ASAE"とは「食品衛生および経済活動」を取り締まるポルトガルのれっきとした政府機関です。しかし、その取締りが進むにつれ厳しさが増し、最近ではまるで「悪行を重ねる武装軍団」ごときの報道がされるようになっています。

上の写真は、ついこの間アルガルベ地方の一地域で行われた伝統ある「ソーセージ祭り」にASAEが乱入し、祭りをメチャクチャにしたという新聞記事のコピーです。報道によりますと、この祭りでソーセージの直売を行う際、ソーセージを扱う人間が「手袋および白い上着と帽子着用」の義務を怠ったことが、主な取締りの理由だったそうです。衛生上の観点からEUのルールをアップホールドさせようとするASAE側の主張も理解できないことはないですが、これにより祭りの主催者側からは猛反発を招いています。アルガルベ地方の主な産業は観光業です。祭りはポルトガル人のみならず、ヨーロッパ各地からのたくさんの観光客を呼び、これが地域経済と密接に結びついているという現実があります。しかし、このような「武装軍団」の突然の来訪は伝統的な祭りをダメにするばかりでなく、アルガルベ地方を訪れる観光客へも悪影響をおよぼしかねないという懸念があります。

この活動には多くの不満が寄せられています。趣旨には賛同できますが、問題はそのやり方にあることは明らかだ、というのが大勢の意見です。都会の法律をこんな田舎に持ってきても合わない、ということだと思います。また、大国の都合で物事を仕切られては小国は堪ったものではない、ということだとも思います。

しかし、小国が"EU"に加盟するということはこういうことなのかな、というのが率直な感想です。













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# by mobulamobular | 2008-01-31 01:27 | ポルトガル文化 | Comments(1)
木材
ヨーロッパ大連合は今や27カ国に拡大し、域内の経済を飛躍的に成長させています。
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一方、27カ国の異なった文化や慣習をひとつにまとめようとする試みは困難な状況が続いています。よいのか悪いのか、市場原理主義とはならない原因がここにあります。経済活動における基本的なルールや線引きは27の加盟国の総意となります。ですから、27の異なった意見をひとつにまとめる作業を行うわけですが、これが大変です。全て「政治」のお話ですので、皆の欲求を満たしたものは肥大化し、時には複雑怪奇な格好で世に登場します。

上の写真は、ポルトガルにおける食品衛生法についての新聞の記事です。レストランでのシチューなどをかき混ぜる「木」のスプーンが禁止されました。代わりにプラスチック製やシリコン製を使うようにとのお達しです。まな板も包丁の柄も同様です。厨房からは一切木製のものは排除されました。
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ここから発展して、漁業にもその影響が出ています。魚を運ぶ木箱や木のパレット、トラックの荷台、漁師のナイフや氷用スコップの柄等、軒並み使用禁止です。そしてついには、木造船禁止です。上の写真の木造巻き網船は近隣の市役所が新しい郷土博物館建設のため買い上げていきました。

全て一気にというのはあまりにも無理がありますので、交換は今後徐々にということになると思いますが、既にEUの皆が満足する法律は施行されていますので、厳密には見つかれば罰金が科せられます。ポルトガルのような小国には脅威とも思われるEUの法律ですが、今日もどこかで抜き打ち検査が行われ、たくさんの民が泣いていることと思われます。この検査は大変組織だったもので一切妥協はなく、完全武装で行われます。たくさんのヘルメットに防弾チョッキにブーツ姿の警官を従え、検査官は木箱に入った魚を挟んで魚屋のオヤジさんに相対します。警官のライフルの銃口はそのオヤジさんに向けられます。ウソのような本当の話です。その場に居合わせた人間はその行動が制限されます。当然、写真撮影は許されず、携帯電話の通話についても警官の注意を受けます。しかし、このあまりにも強行な検査のあり方に疑問を抱く人も多く、実際に裁判沙汰になっているケースもあるようです。

今、皆が注目している「検査品目」がワインです。中には何十年も精魂込めて育ててきた「木樽」の中の熟成ワイン。これらは今後いったいどうなってしまうのでしょう。
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# by mobulamobular | 2008-01-28 08:09 | ポルトガル文化 | Comments(3)
すっかり春めいた陽気となっています。
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ギンヤンマ(学名 Anax parthenope、 英名 Lesser Emperor 、ポルトガル名 Anax Imperador Menor)
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Amendoeira(アーモンドの木)も早くも八分咲きです。
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今のところ、春の訪れは例年に比べ若干早いといった印象です。
この時期の天候も後に海のコンディションや魚の回遊に大きな影響を与える場合がありますので、観察は欠かせません。

毎年のことながら、暖かくなるにつれて今シーズンの漁への期待と不安が広がります。
漁師は今、体力を蓄え、網入れの準備に明け暮れています。

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# by mobulamobular | 2008-01-24 20:46 | 定置網 | Comments(2)
ヨーロッパコウイカ
ここにはマイカ(スルメイカ)がいないので、時々これで「イカの塩辛」を作ります。ヤリイカには、いわゆる「ミソ」が少なく、塩辛作りには向いていません。
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学名 Sepia officinalis、 英名 Common Cuttlefish、 ポルトガル名 Choco-vulgar、 和名 ヨーロッパコウイカ です。日本にも多く入っているようで、「モンゴウイカ」とも呼ばれています。ここでは外套長が50cm以上に達するものもあり、体重は7kgにもなります。大きくなればなるほど外套背面の「虎斑紋」が鮮明になります。
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値段は大きなものは安く、小さいものほど高値で取引されているようです。大きいものは肉厚で食べ応えがあります。ここにはサイコロ状に切ったものをトマトシチュー風に煮込んだ"Caldeirada de Choco"という代表的な料理があります。小さいものは何といっても"Choqinhos com tinta"という料理にします。"Choquinho"とはChocoの小さなものを指し、親しみをこめた呼び名です。オリーブオイルとニンニクで、そのままイカ墨ごと(com tinta)サーッと炒めたものです。
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ポルトガル近海では他に下記の2種のコウイカが生息しているとされています。

学名 Sepia elegans、 英名 Elegant Cuttlefish、 ポルトガル名 Choco-elegante、 和名 ヨーロッパヒメコウイカ
学名 Sepia orbigniana、 英名 Pink Cuttlefish、 ポルトガル名 Choco de cauda、 和名 オルビニコウイカ

一般的にヨーロッパヒメコウイカは成体で10cmほど、オルビニコウイカは12cmほどと言われていますので、サイズ的に大きく異なりす。また、触腕の吸盤の配列や甲(貝殻)の形状にも違いがあります。
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下はS.officinalisの触腕の吸盤の配列です。中央1列が他に比べ大きくなっています。
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一方、S. elegansのものでは中央に他とは異なり極端に大きな3つの吸盤がある、となっています。
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S.orbignianaのものはS.elegansのものとよく似ているようですが、甲(貝殻)の棘が著しく尖っていることから後者と容易に識別できるとされています。ここで水揚されるほとんどのChoco(「ショコ」と発音)はS.officinalisなのですが、マーケットで"Choqinhos com tinta"用のChocoを購入してみると、下の写真のような具合になりました。
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明らかに違う種が混じっていると思われ、早速料理。その後、甲(貝殻)を取り出して比較してみると。Aは棘があり、他の形状からもS.officinalisのものと思われます。BはAとは明らかに異なり、棘もありません。
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Bが棘がないため、これをS.elegans(ヨーロッパヒメコウイカ)のものとしたいところですが、個体が小さいことから(外套長約3cm)触腕の吸盤の配列等、他の特徴についての確認ができないため、今回は「不明」としておきます。










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# by mobulamobular | 2008-01-20 07:56 | | Comments(0)
謹賀新年
あけましておめでとうございます。

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定置網の向こう側に日本より9時間遅れの初日の出です。
Boas Entradas 2008.
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# by mobulamobular | 2008-01-01 18:44 | ポルトガル文化 | Comments(1)
船頭と或る日の漁(小説風)
船頭は若干32歳の青年である。
しかし、既に5年間その職をなんとか“こなして”きている。20歳で定置網の船に乗り始め、2~3年でその頭角を現した。明るさ、タフさ、器用さ、勘のよさ、熱意、速さ、用心深さは天性のものである。“しごかれた”が持ち前の明るさとタフさで堪えた。覚えた。何もないところで異文化の外人に言われるままに習った。器用さ、勘のよさ、熱意が彼の武器だった。
「こいつなら船頭ができる」と思わせたのは、速さと用心深さを持ち合わせていたからである。「臆病」ということでは決してなく、性格はむしろその逆。だからなおさら、慎重さが必要であった。
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「今日できることは、今日中にやる」という異人の作業方針が、彼には一番印象深かったものらしい。
漁師は、自然の中で生きている。自然とうまく付き合っていくには、まず、自然には逆らわないことである。しかし、昨今。海の不変性に比べ、丘の多様性が多くの若者の気を惹きつける。月曜日から始まる一週間は金曜日で終わり、その夜から楽しい週末が始まる。もちろん、週末は仕事は休みである。キリスト教国では何千年も前から続く生活習慣である上、現政府もそれを応援し奨励しているのである。何の疑いを持つ理由もなく、ましてやそれを変えていくことなど考える間などある筈がない。
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しかし、そんなキリスト教の都合でも、自然は取り合ってくれない。実際、彼も今まで多くの「自然の気まぐれ」を眼にしてきた。月曜日から始まった時化が金曜日まで続く。不思議と週末は風もおさまり、よい天気となる。しかし、翌週、また、月曜日から時化が始まる。こうなると船は10日以上も漁に出ないことになる。これを「仕方ない」と片付けるか、「何とかしなくては」と対策を練るかで違いが出る。

時化が数日続いていた。予報では日曜日には一旦風は弱まりそうである。出港のチャンスだと直ぐ分かる。しかし、続く月曜日も同様に比較的穏やかな天気となりそうである。火曜日には前線が近づき、再び時化となると考えた方がよさそうであった。彼は日曜日は出港せず、「通常どおり」月曜日の出港を船方に指示した。
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そして月曜日の朝。まだ暗いうちに起きた彼は唖然とする。風である。吹き始めで勢いがある。天気図には載らない小さな低気圧が沖に発生したのである。他船は既に出漁を断念している。港に人の気配はない。カフェは早朝にもかかわらず漁師で一杯である。まさにミックスド・フィーリングである。「安全第一、危険回避」が大鉄則である。その点から言えば、今日の出港は見合わせるのが妥当である。しかし、連日の時化で市場は飢えている。市場は彼の魚を待っていたのである。もちろん会社に対する漁の責任者としての立場もあるが、今回は市場からの期待に応える義務感が上回っていた。

まだ薄暗い中、1隻の船が港を出て行った。
無理だ、無謀だと思われても、この時彼には自ら時化を「体感」するしか残された解決策はなかった。「行けるかどうかは、行ってみれば分かる」。 数分後、その答えは早々に出た。出港した船からの連絡。
「波は高いが、それ以上に風が強く、船が走れない」

沖に出れない日は丘での作業を行う。網の修繕、ロープの準備等々。しかし、船方の顔に憂いはない。むしろ難を逃れた安堵感が広がっている。沖を羨ましく見つめる彼の姿もそこにあった。何がいけなかったのか、どこで間違えてしまったのかを考えているようにも見えた...。
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午後、彼が走ってやってきた。
「風が止まった。もう一回行ってくる。」
再出港。しかし、またも彼の船1隻のみの出港である。他船の漁師は「今日は時化」と決め込み、朝からの酒ですでに出来上がっていた。

沖に出た。波はまだ大きい。しかし、風はない。これなら行ける。

数時間後、魚を満載した彼の船が港に戻ってきた時は、すでに日はどっぷり暮れていた。

彼の予想どおり、火曜日からは今年一番の大時化が始まった。

THE END.











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# by mobulamobular | 2007-12-24 21:14 | 定置網 | Comments(1)
☆なしホシザメ
2008年11月9日にこの記事の内容は訂正いたしました。
詳細は訂正記事で確認ください。

「ホシザメ(属)の中のホシザメ」が☆なしというのも、なんか変な話です。
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学名 Mustelus mustelus、 英名 Smoothhound、 ポルトガル名 Cação liso、和名は知りません。
この個体も定置網休漁中のため、地元底刺し網船が獲ったものをちょっと拝借しました。もっとも、定置にはなかなか入りませんが。
地元ではポピュラーな魚で、特にスープの具材として有名です。"Sopa de Cação"といいます。
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"liso=smooth"ですが、"Cação"は「犬」ではなく、「全裸婦」のことを示します。しかし、今では"Cação=サメの名前"が
人々の間に浸透し、「元の意味」は忘れ去られようとしているみたいです。

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# by mobulamobular | 2007-12-22 01:44 | サメ・エイ | Comments(0)
燃料代
ご多分にもれず、ポルトガルでもガソリン代高騰、船の燃料代はうなぎ上りです。
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これは街のガソリンスタンドでのものですので、船のものとは異なります。単位はユーロ(1ユーロ=162円くらい)です。
日本はガソリンが140~150円くらい、軽油は120~130円くらいだと思いますが、ヨーロッパは全般的にさらにもっと
上を行っています。日本にこの値段を持って行ったら、即、衆議院解散となるのではないでしょうか。
こちらはディーゼル車流行ですので、注目は一番下の軽油代ですが、それでも円に換算すると200円に迫ります。
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船の燃料は税の優遇制度が適応され、別物です。それでも目下105円くらいで軽油を入れています。
昔、知り合いが「漁師は世界中どこでも貧しい暮らしをしている」と言っていましたが、ここも多分そんな感じだと思います。
大きな船で組織立ってやっているところは、前述の税の優遇制度等があり、まだマシですが、ここの漁師の多くは
いわゆる「小釣り漁師」で悠々自適の様にも見えますが、実は重い規制の下、細々とやっています。
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漁師に関係する「規制」はいろいろありますが、特に問題となるのは船に関するものです。
当然金銭面の問題もありますが、ここでは船内機(船の中にエンジンが設置されている)の船の許可がなかなか下りません。
よって皆、船外機の使用となります。そして、この船外機のほとんどがガソリン使用で、ガソリンには軽油のような
税の優遇制度が受けれないのです。ですからトップの写真にある価格で彼らは毎日自分の船に燃料を補給しています。

正直、「よくやっているな」と思います。
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# by mobulamobular | 2007-12-20 05:53 | 定置網 | Comments(0)
キアンコウ
こういう魚はやはり、一度は水の中で見てみたいものですが、この海域では100m以深に生息しているため、
普通の人にはちょっと肉眼で見ることはできないと思います。
定置網には今までに1度の入網記録がありますが、この個体は地元漁師の底延縄にかかったものです。
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学名 Lophius budegassa、 英名 Black bellied angler、 ポルトガル名 Tamboril preto、 和名は不明です。
和名については英名を直訳して「クロハラアンコウ」とか「ハラグロアンコウ」とかの記述は目にしましたが、
何れもはっきりしないので、ここでは「不明」とします。「キアンコウ属」の1種です。
日本のキアンコウ(学名 Lophius litulon)は、「ホンアンコウ」とも呼ばれています。
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"Anglerfish"の名前はこの背鰭棘が変形したものに由来します。太公望は「二本差し」で魚を誘い、ガブッと捕獲します。
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この「口ひげ」のようなものは水中ではヒラヒラと海草のように揺らめきます。参考までにFishBaseにリンクします。
大きな個体ですと1mほどになります。市場では腹面を上にして「肝」を見せて、セリにかけられます。
日本では「あんこう鍋」がおいしい季節を迎えていますが、こちらでは"Arroz de Tamboril"(アンコウ・オジヤ)という
お気に入りのポルトガル料理があります。もちろん、肝入りです。
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# by mobulamobular | 2007-12-17 18:24 | | Comments(0)
イボガンギエイ
ポルトガルでよく漁獲されるガンギエイの2種目です。
定置網にも幾度か入ったことはありますが、この個体は地元漁師が底刺し網で獲ったものです。
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学名 Raja(Raja) clavata、 英名 Thornback ray、 ポルトガル名 Raia lenga、 和名 イボガンギエイ です。
その名の通り、背面のみならず時には腹面にも鉤状の突起物があります。しかし、この突起物は個体によって
その数、大きさ、場所は様々で、ないものもいます。本個体では背面右側に小さな突起物ひとつを確認できましたが
それ以外はありませんでした。
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この突起物のことを英名では"buckler thorn"といいますが、"buckler"とは「ノンアルコールビール」のことではなく、
大昔、ギリシャ人やらローマ人が戦う時、左手に持った丸型の楯のことで、上の図から突起物の先の曲がった部分が
楯の取っ手となることが容易に想像され、まさしくピッタリの名前だと思いました。
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ポルトガル名"Raia"はガンギエイの総称ですが、"lenga"が意味不明です。
辞書にも出ていません。誰も知りません。インターネット検索では「出所不明」となっていました。
「ジャスト・ネーム」ということで理解することにしましたが、"lenga"が二つつながって"lengalenga"となると、
「とりとめのない長話」といった感じの意味になります。こっちの人は話し好きで、仕事そっちのけでベラベラ馬鹿っ話
(特にフットボール)に没頭する時がありますが、そんな時に「lengalengaはやめろ!!」といった風に使います。
和やかに会話を中止させることができます。
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# by mobulamobular | 2007-12-15 00:15 | サメ・エイ | Comments(0)
漁期終了
今年もいろいろありましたが、めでたく漁期終了です。網抜きです。
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心配されていたムラサキイガイの大量付着もなく、なんとか一年を乗り切りました。ここでは日本の定置網で当たり前になっている「防藻剤」は使いません。4月に入れた網が今までもつのですから、基本的に網はあまり汚れません。
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それでも気になる付着物はあります。フジツボ(Balanus spp.)です。
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日本の定置網を知っている人には、通常、フジツボは表層近くに多く付着するものという概念がありますが、ここでは主に底層付近に多く付着します。側面には少なく、敷にはベッタリといった感じです。
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ここは地中海性気候。大地は乾いています。雨は多くなく、高い山もなく、大きな河も近辺にはありません。テラロッサの土壌はあまり肥沃ではなく、人口も少ないことから生活排水や養分の海への流れ出しも少ないと思われます。
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ですから、表層には付着生物たちにとっての餌のなるプランクトン類が少なく、ここの海の栄養は沿岸湧昇によって深海からもたらされるものなので、底層に付着生物の活路がある、と勝手に考えています。

何れにせよ、一日も早く、魚網会社さんには付着生物のつかない、汚れない網を開発していただきたいものです。







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# by mobulamobular | 2007-12-13 00:23 | 定置網 | Comments(0)
サメ
矢野和成博士がこの本の著者です。

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矢野氏はマルバラユメザメの標準和名の命名者です。マルバラユメザメの英名は"Portuguese dogfish"と言います。また、イチハラビロードザメ(学名 Scymnodon ichiharai)やオロシザメ(学名 Oxynotus japonicus)の標準和名も命名しています。ようするに「サメキチガイ」です。サメのこととなると世界中いたるところに出現していました。今時めずらしい4人のお子さんのパパです。そんなサメ好きを移そうとしたのか、すでに伝染したのか知りませんが、本書表紙のサメの絵はそのお子さんらが描いたものです。

博士がサメ以外にもうふたつ熱中してやっていたことがありましたが、そのひとつはここでは割愛させていただきます。残るひとつはサーフィンです。子供のころに始めたサーフィンはプロになるまで熱中していました。トーナメントプロを引退後も、研究室と海とを行ったり来たりしていました。

よく遊んでもらいました。

そんな博士も2006年4月、大好きな海を一望できるところに旅立っていってしまいました。

享年49歳。
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# by mobulamobular | 2007-12-10 05:17 | 書籍 | Comments(1)
タコとクリスマス
タコの輸入大国・日本にとっては耳よりのお話です。長いことここに居ますが、今年ほどタコの水揚げの多い年はありません。海向うのモロッコでの漁業規制の成果(?)でしょうか、「タコ豊年」です。
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学名 Octopus vulgaris、 英名 Common octopus、 ポルトガル名 Polvo-vulgar、 和名 マダコ です。

日本におけるタコの消費量のうち、実に7割ほどが西アフリカ諸国をはじめとする海外からの輸入に頼っていると聞き及んでいます。ここのタコも「系統」からいえばアフリカのそれと同じと思われますが、タコは何を食べているかで味が随分と変わってくるらしく、ポルトガルのタコの市場での評価のほどは分かりませんが、個人的にはうまいと思っています。

連日、誰が買って誰に売って、またその次に誰が買うかは知りませんが、午後遅くまでセリが続いています。主にタコツボやカゴ網によって漁獲していますが、地元漁師にとってはこの時期うれしい誤算というか、予想外の「クリスマス・プレゼント」になっており、いつもの年では水温の低下に伴い漁が減り、下向き加減の漁師が多い時期ですが、今年はいつもと違っているのは誰の眼にも明らかです。

さて、クリスマスと言えばLITÃO(リタォゥン)の季節です。
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干してます。あっちこっちで最後の追い込みです。地元オリャオ(のみ)での代表的なクリスマス料理の食材です。小型のサメです。煮込み料理となります。この風景は地元ではこの時期当たり前のものですが、今年は一風変わったものもありました。
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リタォゥンと一緒にタコを干しているところがあります。ひょっとしたら、そのうち干しタコが地元のクリスマスの名物料理とかになるかもしれません。















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# by mobulamobular | 2007-12-06 21:38 | | Comments(2)
マンボウ
唯一、と言っていいと思います。定置網に大量に入って売れない魚です。
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学名 Mola mola、 英名 Sunfish、 ポルトガル名 Peixe lua (Rolin)、 和名 マンボウ です。
英名は「太陽魚」ですが、ポルトガルでは「月魚」です。
水族館では人気者のマンボウも、定置網漁師にとっては時に「厄介者」となります。
何故だか定かではありませんが、ポルトガルのDOCAPESCA(国営市場)では販売が禁止されています。
幾度となくその理由を尋ねてみましたが何れも要領を得ず、つまりは寄生虫等の問題もあるのでしょうが、
ようするに問題は誰もが思うそのかわいらしい容姿にあるようです。結局は「可哀そうだ」ということですね。
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水中で泳ぐその姿はたしかに愛らしく、キョロキョロ動く眼とプカプカ浮かぶ様子を見てしまうと、皆、何もできなくなってしまう。
活魚としては時に水族館に送ったりしますが、餌付けも比較的容易で、給餌サインとしてターゲットを決めてあげると、
口をパクパク開けて近寄って来ます。そんな時はまったくの「ペット感覚」になってしまうのも事実です。

そんなマンボウですが、アカデミカルな面ではまだまだ謎の多い動物です。
どこで産卵を行い、何を食べているのか、ライフサイクルはどのようになっているのか、等々。
今年は2回ほどポルトの大学の研究チームがイギリスのTHE MARINE BIOLOGICAL ASSOCIATION OF THE UNITED KINGDOM
の協力を得て、マンボウのポップアップタグによる追跡調査を行いました。これは東大西洋では初の試みです。
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定置網に入ったマンボウを生け捕りにします。
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素手は禁物です。薄手の手袋を使用します。
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ポップアップタグを装着します。
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その後、海へ戻しました。
この「ポップアップタグ」というのは事前に設定した期間が過ぎると自動的に本体が動物から切り離され、水面に浮上し、
人工衛星(GPS)を経由してデータが送られてくる、という優れものです。
数ヵ月後、大学からデータが受信されたという連絡がありました。現在、データ解析中とのことでしたが、
なんと、あのマンボウはアルガルベで放流された後、北上し、イギリス近くまで行ってしまったようです。
こうしてまたひとつ動物の生態が少しずつ明らかになっていくのでしょう。
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# by mobulamobular | 2007-12-03 06:08 | マンボウ | Comments(0)
天気予報
自然相手の定置網。毎日気になるのが明日からの天気です。
テレビ・ラジオ・無線(ポルトガルの海上保安庁)でも天気の情報収集することはできますが、今ではもっぱらインターネットを利用しています。
こちらの天気予報は比較的よく当たります。しかし、一つの情報だけに頼ると時より「危険」なことになるので、
複数のサイトを見比べ、最後は自分の判断となります。でも、目視観察も大切です。今の天気はまさにここにあるのですから。
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上はCNNです。天気図に前線を表示しており、雨の降り方、風向きなどを知るのに参考にしています。
下はイギリスの"The European Centre for Medium-Range Weather Forecasts"というサイトです。
このような予想気圧配置図が10日先まで表示され、今後の天候の傾向を知る上でたいへん参考になります。
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スペインの"Instituto Nacional de Meteorologia"のサイトです。下の図は風向きとその強さを示したものですが、
他にも同ページで、気圧配置、降雨状況などがこの先48時間後まで6時間毎の予報が表示され、とても便利です。
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定置網にとって必要な海況情報には、気温、天気の他にも風向き・強さ、波の大きさ・その方向、水温、透明度などが含まれます。
続いてポルトガルの"Instituto de Meteorologia"です。全国図上に主要地の天気・気温・風向きおよび強さが、
また、海には波の高さおよび方向、水温がそれぞれ表示されます。
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画面を変えると、向こう4日間の天気予報を読むことができます。
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それぞれの予報には「予報官」の名前も記載されています。
ここで、ポルトガルの天気予報なので、あえて「難点」を言わせてもらえば、時々、上記2画面に著しい違いがある時が
あります。また、週末の予報が極々適当で、1日2~3行で4日間同じ天気、などと言う場合もあります。
長年ここにいますので、文化・習慣の違いは心得ているつもりですが、もうちょっと頑張ってもらいたいものです。

これら以外にも日本に「世界の気圧配置」という優秀なサイトがあり利用しています。ここでは今日明日のヨーロッパの
気圧配置図を見ることができ、画面の端っこですが沖の小さな低気圧の発生にも敏感に反応しているようで、
他の天気予報が「全滅」状態でも、「一人勝ち」といった時も今までに幾度もあります。

今の風向きを知るには"Weather Undergroud"の日本語版や、"Yahoo"を見ています。

ここは丘と海の間にRia Formosaを挟んでいますので、丘からはなかなか海の状況を知ることは難しく、
何がしかの情報に頼ることになります。そんな時、他の漁師からの情報も力強い味方となります。
しかし、船での航海、海での仕事は一歩間違えるとたいへん危険なことになります。
冒頭にも述べたように、天候の判断は、「最後は自己責任」、ということになります。
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# by mobulamobular | 2007-11-29 17:59 | 気象 | Comments(0)
ヤリイカ
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"Live fast and die young" これは「イカの一生」を表した言葉です。


毎年この時期になると、ヤリイカは産卵のために接岸し、定置網やそのロープに房状の卵を産みつけますが、今年はどうやら少なめです。


学名 Loligo vulgaris、 英名 European squid、 ポルトガル名 Lula-vulgar、 和名 ヨーロッパヤリイカ


大きなものでは外套長が40cmオーバーになるものもいますが、この海域にはさらにもっと大きくなるヤリイカがいます。


(学名 Loligo forbesi、 英名 Veined squid、ポルトガル名 Lula-riscada、 和名 ヨーロッパオオヤリイカ)


地元の市場では全て"Lula"の呼称で扱われており、ヨーロッパオオヤリイカがどの程度混在しているのかは定かではありませんが、今後調べてみようと思っています。発見した際には、写真をあらためて掲載します。


上記2種の違いとして、まず、触腕の吸盤の形状が挙げられます。
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ヨーロッパヤリイカは中央2列の吸盤が他のものに比べて数段大きいのに対し、ヨーロッパオオヤリイカのそれはほぼ均等の大きさになっています。
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また、外套膜の腹面にある「ミミズの這った」ような斑紋にも違いがあり、下の写真はヨーロッパヤリイカのものですが、ヨーロッパオオヤリイカの場合は、もっと鮮明で数も多くなるということです。
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しかし、地元ではヤリイカの外套膜内に米やゆで卵やソーセージ、イカの頭や脚を細かく切ったものを詰め込んで、トマト煮にした"Lula Recheada"という人気料理用に小さめのヤリイカの方が高値で取引されています。
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# by mobulamobular | 2007-11-26 01:31 | | Comments(0)
ソーダガツオの缶詰
出来上がりました。
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ソーダガツオ(Auxis rochei)の缶詰です。
スペイン・アンダルシア地方の名産です。スペインではソーダガツオのことを"Melva"と呼びます。
「ミソ」は缶箱左下に明記してある"de ALMADRABA"です。
"ALMADRABA"とはスペインで「定置網」のことです。よって、この缶詰は「定置網で獲れたソーダガツオの缶詰」ということになります。
スペインにはジブラルタル海峡手前(大西洋側)に古くから定置網の「名門4漁場」がありますが、
どれもクロマグロ・オンリーといっていいほど、他魚種の漁獲は少量です。
そんな中、ソーダガツオを漁獲している最寄りの定置網といえば、ポルトガル・アルガルベの定置網になります。
味は何度も繰り返しますが、最高です。
でも残念なことにポルトガルではほとんど売っていません。


ここまでの過程は下の記事を参照ください。
ソーダガツオ
JUDEU
JUDEUの出荷
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# by mobulamobular | 2007-11-23 22:59 | ポルトガル文化 | Comments(4)
バリケン
魚でもなく、定置網についてでもないのですが。
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学名 Cairina moschata、 英名 Muscovy Duck、 ポルトガル名 Pato mudo、 和名 バリケン です。
正確には、南米原産のカモ科の鳥である「ノバリケン」の家禽化されたもの、だそうです。

先日、"Ria Formosa"沿いで作業をしていた漁師が1羽の「得体の知れない」鳥を発見。
近づいてみると歩いてヒョコヒョコ遠ざかっては行くが、一向に飛ぼうとはしないので、彼は「きっと、怪我をしているにちがいない」
と思い、その鳥を保護しました。
嘴から眼にかけて同色になっていること、また、水掻きがあることから、彼はそれを「カツオドリの幼鳥」と思い、
国立公園の管理事務所にその鳥を届けました。
その後、インターネットで"Birds in Europe"なる類のHPでこの鳥の名前を検索しましたが、全くヒットせず、
検索範囲を「日本」にまで拡大したところ、和歌山県立自然博物館のホームページにこの写真の鳥によく似た鳥が
記載されているのを発見しました。早速、この博物館に問い合わせをしたところ、「バリケンに間違いない」との
ご返答を担当の方からいただきました。

別の漁師がこの鳥を見た時すぐにこれは"Pato mudo"だと言っていたのですが、それが「何物」かはわかりませんでした。
"Pato"はカモ・アヒルのことですが、"mudo"とは「口のきけない・無言の」といったような意味なのです。
このバリケンを保護した漁師にこのことを問うと、「たしかに捕まえた時には鳴かなかった」そうです。
カモやアヒルはガーガーゲーゲー鳴くのが常だと思っていましたが、家禽化されたそれは「言葉を失って」しまったのでしょうか。

前述のとおり、原産は南米ですが、食用として全世界に広まったようです。ヨーロッパも例外ではなく、別名「フランスガモ」とも
呼ばれているようです。また、英名では「モスクワのカモ」となっており、原産地からずいぶんと離れてしまっています。
ロシアの首都モスクワ=MOSCOWですが、その「モスクワの」となった時、なんで"MUSCOVY"と"O"が"U"になってしまうのでしょう。
余談すぎました。

もし、この鳥が口を利くことができたら、まず最初に「自分は誰?、ここはどこ?」と問うのではないでしょうか。
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# by mobulamobular | 2007-11-21 00:02 | ポルトガル文化 | Comments(0)
ヒラメ
「左ヒラメの右カレイ」の原則から言って、これは「ヒラメ」です。ですから、「○○○カレイ」ではなく、「×××ヒラメ」という和名がついてもよいと思いますが、残念ながら今はないようです。
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学名 Scophthalmus rhombus、 英名 Brill、 ポルトガル名 Rodovalho です。
周辺海域には数種類の「ヒラメ」が生息しますが、定置網でも他の漁法でもあまり多くの漁獲はありません。この"Rodovalho"によく似た種に「イシビラメ」(和名)というのがいます。外見上はそっくりのようですが、有眼側を手で触れてみると、体表がデコボコしてしています。骨質の突起物が体表に点在しているためです。
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学名 Psetta maxima、 英名 Turbot、 ポルトガル名 Pregado です。

どちらも肉厚、美味、高級魚です。"Pregado"はヨーロッパでは養殖も行われています。「イシビラメ」という和名があることから日本にも入っているのでしょう。ポルトガルでもリスボン周辺で養殖が行われている様子ですが、お店等ではあまり見かけないので、流通量はそんなに多くないのではと推測します。
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# by mobulamobular | 2007-11-17 18:36 | | Comments(0)
金環鯛(ドラーダ)
王者の風格というか、りりしい姿が印象的な魚です。なおかつ美味となれば、人気を博すこと間違いなしです。
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学名 Sparus aurata、 英名 Gilthead sea bream、 ポルトガル名 Dourada、 和名 ヨーロッパヘダイ です。
(タイトルの「金環鯛」は勝手に命名したものです。ちなみに英名もそんな感じになっています。)ヨーロッパでドラーダはヨーロッパスズキ(Dicentrarchus labrax)とともに代表的な養殖魚としても知られています。食欲旺盛で成長が早いこの魚はポルトガルはもとより、一時はヨーロッパのいたるところで盛んに養殖が行われました。しかし、近年その場所は人件費の安いギリシャやトルコなどに移り、また、もとからの過剰供給で西ヨーロッパの養殖場は急速に衰退してしまいました。オリャオ近辺にもノルウェー資本の大きな養殖場がありますが、今では一昔前の活気はありません。
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しかし、天然物の人気は衰えることなく、養殖物と比較されることからかえって値段(浜値)は上がったようにも思われ、両者の間には3~4倍の値段の差がつくこともあります。
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眉間に金色のスジがあるのが特徴です。天然物は各鰭がピンと伸び、鱗に当たった光りの反射も直線的で、全体的に綺麗です。他のタイ類が春から夏にかけてが旬であるのに対し、ドラーダは秋から冬にかけてが旬となります。定置網は通常この時期、休漁期となるため、年間を通じドラーダが大量にはまとまって入ることはありませんが、時に50cmオーバーの大型の個体を見ることができます。











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# by mobulamobular | 2007-11-12 01:50 | | Comments(0)
黒ニシマアジ
マアジで記載できなかった「黒ニシマアジ」です。
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学名 Trachurus picturatus、 英名 Blue jack mackerel、 ポルトガル名 Carapau negrão です。
「黒ニシマアジ」の後頭部背鰭沿いの側線は、第二背鰭第5~10軟条下で終わっています。
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体側の「ゼンゴ」(稜鱗=りょうりん)という棘状の鱗の違いは下図のようになっています。
「黒ニシマアジ」は3種の中では数が一番多く、細かくなっているのが特徴です。
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ポルトガル近海では一番多い種ですので、魚価的には一番安くなってしまいますが、アルガルベ名物Carapau limado(アジの酢漬け)では
抜群の威力を発揮します。しかし、上記「ゼンゴ」の数は身の小骨数と比例していますので、少々「骨っぽく」なりますので、ご注意を。
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# by mobulamobular | 2007-11-10 01:48 | | Comments(0)