そもそも「牛の舌」とか「犬の舌」とか、ぜったいに似ていないものを魚の名前にあてたところが納得できず、この名前は好きではありませんが、これも「日本の文化」なのでしょう。
ササウシノシタ科(SOLEIDAE)の魚です。 学名 Solea lascaris、 英名 Sand sole、 ポルトガル名 Linguado da areia、 和名はありません。 英名、ポルトガル名に倣って「砂・ウシノシタ」とでも呼ぶことにしましょう。ポルトガル語の"areia"は「砂」のことです。容易に想像できると思いますが、海底の地質が砂のところに多く生息している種です。定置網には多くは入りませんが、時々漁獲されています。人気種で、大きなものでは40cmほどになります。美味です。 この種の特徴ですが、無眼側の先端の鼻孔が大きく膨れ上がり、"rosette-shaped"と表現されています。文献によっては、この特徴を持つものを"Pegusa"グループとして分け、学名も"Pegusa lascaris"としています(e.g. Fishbase)が、ここでは"Fishes of the North-eastern Atlantic and the Mediterranean"の記載どおり、上記の学名を採用しました。 ちなみに、ポルトガルではこの手の魚を一括して"Linguado(リングアード)"と呼んでいますが、これは"Lingua"という言葉の派生語で、この"Lingua"は「舌」という意味です。これも「ポルトガルの文化」なのでしょう。 ______________________________________________________________ #
by mobulamobular
| 2007-09-21 05:59
| 魚
日本では食品衛生法で販売禁止となっており、一般には流通していないと思います。
定置網に入ったことはありません。 これは地元の市場で売られていたものを、ちょっと拝借して写真撮影したものです。 学名 Ruvettus pretiosus、 英名 Oilfish、 ポルトガル名 Escolar、 和名 バラムツです。 この魚は水深100m~700mの深海に生息していますが、鰾(うきぶくろ)を持たず、体内に多くの脂質を含んで、それで浮力調整をしている優れものです。特に頭の中は脂だらけですが、この脂がきつ過ぎて食用禁止となっています。 Fishbaseでもこの魚に関しては"poisonous to eat"となっていますが、上述のようにポルトガルでは販売が許されています。ですから、どこかでお目にかかったり、レストランで出てくる可能性も「無きにしも非ず」です。「美味」とも聞いています。白身ですが全身大トロで、好きな人もいるようですが、身体に合わない人が食べたら、ちょっと辛い思いをするかもしれません。 この魚に限らず、何れにせよ、魚は鮮度が悪いものは中りますので、食する場合は自己責任で。 気をつけてください。 もう一つ… #
by mobulamobular
| 2007-09-16 03:36
| 魚
ポルトガルではあまり河豚(フグ)は見ないのですが。
学名 Lagocephalus lagocephalus lagocephalus、 英名 Oceanic puffer です。 正式なポルトガル名は分かりません。たぶん市場には出ないため、魚の同定がはっきりなされていないのだと思います。地元では"PEIXE BALÃO OCEANICO"と呼んでいます。PEIXE(ペイシェ)=魚、BALÃO(バロン)=風船、OCEANICO(オセアニコ)は英名にOceanicと付いているのでそれを採用しました。この「風船」は小棘付きです。 和名も分かりませんが、Fshbaseなどでは、この種には2亜種が存在しています。よって学名も"lagocephalus"が3回も繰り返されているのですが、もう一方は、学名が"Lagocephalus lagocephalus oceanicus" で、和名は「クマサカフグ」です。しかし、これには英名がありません。(Fishbaseでは現在この魚の英名を公募中です。興味があれば応募してみてはいかがでしょうか。) さて、フグといえば気になるのがその毒の有無ですが、クマサカフグは日本でも漁獲が少ないためサンプリング不足なのでしょうか、文献によっては「無毒」と記載されている場合もあるようですが、一般的には「食用不可」と認識されているようです。これら2亜種の違いは個人的には「生息域の違い」だと思いますので、魚自体は同じものと考えられます。ですから、ここが大切なところですが、ポルトガル(その近辺でも)で上の写真のようなフグがいたら、食べないほうがよい(食べるな!!)と思います。 顔だけ見ていると、マンボウにそっくりで愛らしいのですが、フグの毒はけっこうヤバイと聞いています。 ______________________________________________________________ #
by mobulamobular
| 2007-09-12 00:25
| 魚
今年も「お約束どおり」JUDEU(ソーダガツオ)がやって来ました。
学名 Auxis rochei です。 今年は例年になく低水温が続き、その到来が心配されていましたが、期待を裏切ることなく、やっぱり来てくれました。 毎年、なんでこの時期になると、まとまって群れが回遊してくるのか不思議でなりませんが、彼らの「時計」の正確さには あらためて感心させられます。 ちょうどいい塩梅に南よりの風が吹いていますし、今年の群れは濃いようなので、これからの入網に「皆んな」が期待しています。 #
by mobulamobular
| 2007-09-06 04:58
| 魚
いろいろ聞いて回ったのですが、今なお真実は分かりません。
Sparidae(タイ科)の一種ですが、日本ではこんな感じの魚は見たことがありません。 学名 Lithognathus mormyrus、 英名 Striped sea bream、 ポルトガル名 FERREIRA、 和名は分かりません(たぶん無い)。 タイ4姉妹の仲間として学名が"Pagellus mormyrus"と表記されている場合もあるようですが、ここでは上記の学名とします。 英名は単純な名前が付いていますが、問題はポルトガル名の語源です。 "FERREIRA"と言って、まず思い浮かぶのは「人の名前」です。ポルトガルには著名人をはじめ、たくさんのFERREIRAさんが存在します。しかし、次にと言われると「魚名」以外に特に思い浮かばないのも普通です。辞書を引くと"Ferreiro"(男性形)となると「鍛冶屋・金物商」と出ていますので、女性形の"FERREIRA"の場合は、タイトルどおり「女の鍛冶屋さん」と考えられます。しかし、これについてはどの地元の人間もすんなり首を縦に振れないような雰囲気です。日本風に言えば「スズキ」のようなものでしょうか。たしかに「スズキは何でスズキというの」と聞かれても、答えに詰まります。 思いついたことがひとつあります。FERREIRAもスズキも生息場所がとても「人の生息場所」に近いということです。FERREIRAは前々回のRIA FORMOSAに多く生息しており、漁獲されます。ですから、昔から庶民に食され、身近な魚として親しみを込めてこう呼ばれているのかもしれません。砂、あるいは泥底にひそむ生物を口先を伸ばして捕食しているようです。どの魚もそうですが、ベントスを主食としている魚は美味しいです。 ______________________________________________________________ #
by mobulamobular
| 2007-09-04 19:42
| 魚
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