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マルバラユメザメ
再び、深海ザメの話題です。
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近年、乱獲による資源量の減少、それに伴う漁獲規制や減船による漁獲量の減少によって、たまにしか水揚されなくなりました。
主に、イギリス、フランスのトロール船(底曳網)、スペインの底刺し網船、ポルトガル、ドイツ、パナマの延縄船等で漁獲されいるそうです。
肉はフランス、スペインで多く消費され、肝油はいろいろなところに送られています。
上の写真のものは既に船上にて内臓は取り除かれていました。肝油はドラム缶に入れられ水揚げされます。
魚種ですが、2種類以上が混じっており、確認できた種は下記のとおり。
学名 Centrophorus squamosus、 英名 Leafscale gulper shark、ポルトガル名 Lixa、 和名 モミジザメ。
学名 Centroscymnus coelolepis、 英名 Portuguese dogfish、 ポルトガル名 Carocho、 和名 マルバラユメザメ。
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注目すべきはマルバラユメザメが英名で「ポルトガルの犬魚(ツノザメ)」と呼ばれているところです。
何故「ポルトガル」なのかは知りませんが、個人的にもたいへん興味のあるところです。
"Lixa"はズバリ「サメの皮」「やすり」といった意味のポルトガル語ですが、問題はやはりマルバラユメザメのポルトガル名です。
"Carocho"とは普通、コガネムシ等の「甲虫」のことで、彼のフォルクスワーゲンのビートルは、ポルトガルでは「カロッショ」と
呼ばれています。では何故マルバラユメザメがビートルなのかですが、これまたよく分かりませんでした。
アルガルベ地方の人間が"Carocho"と聞いて、まず思い浮かべるのが、砂浜で見る黒い小さな虫です。
「正式には」"Carocho da praia"といいますが、これとマルバラユメザメの関係を考え出すとますますこんがらがってくるので、
やめます。
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# by mobulamobular | 2007-10-03 07:43 | サメ・エイ
ナミノコ貝
ホリデーでアルガルベに着いたら、まず食べたくなるのが、イワシの塩焼きとこの貝だと思います。
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オリーブオイルと白ワイン、ニンニクを入れて、最後にコリアンダーを加え、酒蒸しのようにしたところに、レンモンを思いっきりしぼって食べます。
学名 Donax spp. 英名 Donax clams、 ポルトガル名 Caldelinhas、 和名 ナミノコ貝 です。
学名ですが、種の同定が難しく、素人判断ですので、ここでは無難に「Donax属の1種」ということにします。ちなみに近辺では"Donax trunculus"(和名 フランスナミノコ)と"Donax vittatus"(和名 ニヨリフランスナミノコ)が生息していることになっています。
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英名は「Donax二枚貝」と表記されているだけであまり面白くないのですが、ポルトガルでは再び「謎めいた」名前がついています。アルガルベ地方では圧倒的に"Conquilhas"(コンキーリャシュ)という名前で通っていますが、正式名は上記の通り、"Caldelinhas"(カルデリーニャシュ)です。たぶん、リスボン、ポルトあたりではこう呼ばれているものと思います。ポルトガル人はよっぽど犬猫の類が好きなのでしょうか、この"Caldelinhas"とは「メスの子犬」を意味する言葉で、例によってなんでこんな名前で呼ばれているのか周りの者たちに聞いてみましたが、"Conquilhas"に慣れ親しんでいる者たちですので、皆、首を傾げるばかり。
ナミノコ貝_d0113817_0244999.jpg

ここからは想像での話ですが、貝から外套膜、もしくは水管が出たり入ったりする様子を見て、子犬がペロペロと舌を出す様に似ていることから、この名前がついたのではないかと思います。こう考えると「かわいい~じゃん」ということになるのでは。一方、"Conquilhas"はどうかというと、こちらの方が議論が白熱しました。お隣りのスペインでは"Coquinas"と呼ばれています。似ているようですが、最後までその因果関係は分かりませんでした。"Con"は英語でいうところの"with"に相当し、"quilha"は船のキールを意味することから、キールに似た貝殻の形を見て「キールを持った貝」で"Conquilhas"、という意見も出ました。

参考までに。フランスでは"Olives de mer" = 「海のオリーブ」、だそうです。

夏の海岸、老夫婦が並んで手を取り合って足踏みをする微笑ましい光景をよく目にします。
"Conquilhas"の潮干狩りです。









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# by mobulamobular | 2007-09-30 07:05 |
ヨロイザメ
このへんになるとマニアックな方か、学者さんでないと分からないと思います。
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学名 Dalatias licha、 英名 Kitefin shark、 ポルトガル名 Gata、 和名 ヨロイザメ。
もちろん、定置網に入ってものではありません。
大陸棚以深1000m以上のところに生息する「深海サメ」の1種です。

しかし、ポルトガルでは時にまとまって多く水揚げされるため、メジャーな部類のサメになります。
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ポルトガル名の"Gata"は「メスの猫」を意味する言葉で、ここからも庶民に身近なサメであることが分かります。
スクワレンを抽出する肝油だけでなく、ここでは肉も食用として多く市場に出回っています。
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ギザギザ歯はサメらしい特徴の一つです。第1、第2背鰭ともに棘はありません。体長は1.5mほどでした。
# by mobulamobular | 2007-09-28 19:24 | サメ・エイ
イセエビ
このへんはよく分からないのですが、とにかく行ってみましょう。
カテゴリーは「魚」になっていますが、当然、魚類ではありません。
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学名 Palinurus elephas、 英名 Spiny lobster、 ポルトガル名 Lagosta castanha、和名はとりあえず
「ヨーロッパイセエビ」としておきます。
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学名 Homarus gammarus、 英名 European lobster、 ポルトガル名 Lavagante、 和名は ウミザリガニ です。

いずれも定置網で漁獲されたものです。
多くは入りません。年に数度、こういった「ご褒美」が来てくれます。

「太陽と海と魚介類」で売っているアルガルベではなくてはならない存在で、これらを食べるのを楽しみに来る観光客も少なくないと思います。

色合いから言って、「ベンフィカVSポルト」って感じでしょうか。
# by mobulamobular | 2007-09-27 23:27 |
太刀魚
たまにこういうことがあるから、定置網は面白いです。
太刀魚_d0113817_6462248.jpg

今まで何度か入網の記録はありますが、普段は入ることはありません。ポルトガルでは多く水揚げされますが、そのほとんどが深いところ(200~600m)の延縄によるものです。
学名 Lepidopus caudatus、 英名 Silver scabbard fish、 ポルトガル名 Peixe-espada、 和名 オビレタチ です。
日本で通常見られる「太刀魚」は、学名 Trichiurus lepturus、 英名 Large-eyed hairtail で、これとは異なりますが、分類学上、未だはっきりしない点が多い様子で、同定が難しい一種とも言えます。
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日本のものとの最大の違いは、和名が示す通り、この太刀魚には「尾鰭」がある点です。また、全般的に大きめのものが多く、この標本も全長が160cmほどありました。前述の通り、ポルトガルをはじめ近隣の多くの国で、盛んに水揚げされており、日本にも多く輸入されています。スーパーなどで、「太刀魚の切り身」として売られているものの中にも、このオビレタチが多く含まれていると思います。
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また、オビレタチには太刀魚にない「痕跡」とも思える小さな腹鰭があるのも特徴の一つです。

味は、煮てよし、焼いてよしで、日本のものに負けないほど「美味」です。












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# by mobulamobular | 2007-09-25 18:44 |