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魴鮄
ひとめ見た感じでは「赤いホウボウ」なのですが、英名ではそれは「ふつうのホウボウ」(Chelidonichthys spinosus)のことになってしまいます。この英名が"Red gurnard"なのですが、東大西洋には別の"Red gurnard"が存在します。その学名はAspitrigla cuculus です。ようするに「赤い」という非常に安易な形容詞のため、あちらこちらで"Red gurnard"という英名の争奪戦が繰り広げられています。これでは困りますので、最近では日本近海のChelidonichthys spinosusの英名は"Spiny red gurnard"、東大西洋のAspitrigla cuculusの英名は"East Atlantic red gurnard"として区別されているようです。
ちなみに日本のホウボウには"Blufin searobin"というとてもきれいな英名もあります。
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学名 Trigloporus lastoviza、 英名 Streaked gurnard、 ポルトガル名 Cabra riscada、 和名 ありません。
上記のようにこの種は「赤いホウボウ」ではありません。代わりについた名が「ストリーキング=streaking」でおなじみの英単語でした。しかし、意味はまったく異なり「ぎざぎざラインのある」、とかいうことになります。ポルトガル名も英名と一致した見解の様ですが、一般的にはこれも"Ruivo"の1種とされています。
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たしかにこんな感じで見ていると模様はカサゴのような雰囲気です。
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ホウボウの類の種は、胸鰭の下の3軟条が遊離して、ゲジゲジの足のような動きをします。
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その「ゲジゲジの足」の上部が、特徴的な大きな胸鰭です。特に内側(あるいは上部)は種により、色、模様は異なりますが、何れにせよ誘発的な鰭です。
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最後に、大きな頭は硬い骨板に覆われていますが、この種にはこれまたホウボウの特徴的な尖った吻がありません。このためか、他のホウボウ類とはちょっと違った分類がされているようです。
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by mobulamobular | 2009-10-26 05:37 | | Comments(0)
第1子誕生
ポルトガル人の赤ん坊はかわいいです。この子の父親にとってこの子は初めての子供で「長男」です。この父親は定置網の漁師ですが、船にはほとんど乗りません。配達係りで、いつもあっちこっち行っています。大型の免許も持っているのでクレーン車の担当でもあります。仕事はよくやります。でも、190cm以上のデカイ体に似合わず、お人よしです。ヒゲのないポパイのブルートみたいな奴と想像してください。先月この子が生まれた時には病院から泣きながら第1子誕生の報告をしてきました。
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そんなやさしい男ですが、実は数年前に一度「オヤジ」になったことがあるのです。その時は「長女」でした。しかし生まれて間もなく奥さん(籍は入っておらず)が娘をつれて家を出て行ってしまったのです。潜伏先をやっとのおもいで見つけ出し、話し合いの末出た結論が、他に男ができたので別れる、でした。乳飲み子ですので、とりあえず親権は母親サイドにあり、週1回は娘に会わせるという条件で示談成立となりました。それでもこのやさしい男にとっては月数百ユーロを育児代として母親に支払うことはやぶさかではありませんでした。「父親としての責任感」が男にそうさせたのです。しかし、数ヵ月後、男を含めた数人でカフェで談笑中、このやさしい男が突然泣き出したのです。理由を誰となく尋ねると、男は「最近娘に会わせてもらえない」と嗚咽まじりに訴えました。男は再度母親のもとを訪ね、約束を守るよう要求したところ、驚くべき答えが返って来ました。「あんたはこの子の父親じゃない」。 
一度、母親が娘を連れて定置網の事務所に育児代を取りに来たことがあります。その後やさしい男はその場に居合わせた連中みんなに「オレに似てただろ」とか「鼻のところなんかオレのお袋にそっくりだ」とか訳の分からないことを言っていたのです。しかし、大変なことになりました。「じゃ~なにか。おまえは父親でもないくせに育児代を支払っているのか?」。その後は弁護士に相談~裁判所~また弁護士、を繰り返し1年以上の歳月が過ぎました。さらなる悲劇は母親の「オマエはオヤジじゃない」発言後、すったもんだしていた1年以上もの間も、「父親でないことを証明できない」ため育児代を支払い続けなければならなかったことです。母親はDNA鑑定を拒否しました。やっぱり、母親はやさしい男に娘をとられることを危惧してその男は父親じゃないとかウソをついているのでは、とみんな半信半疑となりましたが、数ヵ月後やっとDNA鑑定が行われ99%の確率で「父親は別人」であることが判明しました。
一言でいえば「ヤバイ女に捕まった」ですけど、このミステリー小説顔負けの出来事はある意味定置網で働く若い漁師にはよい教訓になった気もします。

今回の本当の長男(まだ証明はされていませんが)は無事に母子ともに健康な状態で生まれてきましたが、このやさしい男にとっては「難産」だったのです。だから喜びもひとしおだったのでしょう。

前回は出産祝いをわたしたかどうかもう忘れましたが、今回はちゃんとわたしました。
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by mobulamobular | 2009-10-17 21:24 | 漁師 | Comments(0)
ドリーム・ワン
最初は「棺桶」のような木箱を使っていました。
それがカートンとなり、そのうちに今の発泡スチロールの箱に取って代わりました。マグロを出荷する際に使用する箱の話です。名付けて「ドリーム・ワン号」です。
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その木箱時代のちょっと変な思い出です。
マグロを日本に送るため、いつものようにファロの空港まで行った時、カーゴの搬入口に同じような木箱が二つ並んでいました。てっきり「マグロの木箱」だと思ったのですが、ここからマグロを空輸しているのはウチだけのはずなので、そばにいたエージェントの人間に「どこのマグロ?」と聞いてみました。するとその人間が言った答えが、「これは仏さん」だったのです。
たしか夏の暑い日でした。こっちは早く計量を終え、マグロを冷蔵庫にぶち込みたい一心で、急げ急げで作業を行っていたのですが、あっちの木箱の正体を知った瞬間、腰が引けたのです。当然、彼ら(または彼女ら)も冷蔵庫行きだと思い、順番待ちのシチュエーションであると考えたからです。でも、マグロは先客を押しのけ真っ先に計量を行い冷蔵庫内に収められました。彼ら(彼女ら)は隅に追いやられたのです。たしかに当時は一尾(一箱)百数十万円とか、またはそれ以上したかもしれませんが、それでも仏さんの上をいくんだと理解するにはちょっと時間を要しました。
南ポルトガル(アルガルベ地方)はイギリスやドイツやオランダなどの北国の人たちにとっては格好のリゾート地であり、特にリタイア組にとっては好条件の地であることから終の棲家とする人が多いのです。でも最後は自国に戻るようで、そんな時にカーゴを利用していたのです。

あれから数年、「夢よとどけ」、と今日も箱は飛びます。
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by mobulamobular | 2009-10-13 02:00 | ポルトガル文化 | Comments(0)
三本の矢
自らも年をとる訳です。新造船だと思っていた定置網船も早9年目のシーズンとなり、そろそろいろいろやらなきゃいけない時期に差しかかってきたようです。
主機(エンジン)はK社の700馬力です。「メインテナンス・フリー」というだけあって、ここまでほとんど問題なくやってきましたが、稼働時間も9000hrs.近くになるとそれなりの状態になってきています。
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今年はこの船の機関士を4月に亡くすという出来事があり、とても悲しい年となりました。彼はとても優秀な機関士だったので、彼だからこそ目の届くところが多くあったんだと思います。ですから、その後のこの船のメインテナンスは、正直、大きな心配となりました。でもそんな不安を吹き飛ばすように「三本の矢」が、何かあった時は協力して、全力でトラブルの解決に当たっています。

でも、来年はオーバーホールした方がよさそうです。。「三人寄れば文殊の知恵」とか言ったら怒るかな。
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by mobulamobular | 2009-10-09 05:36 | 定置網船 | Comments(2)