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Synonym
"Synonym"とは「別名」とか「同義語」といったような意味ですが、ここでは「魚の学名のシノニム」についてです。
魚の分類において、1種に対し、時に複数の学名がある場合があります。過去にいろいろな学者が同種にもかかわらずいろいろな学名をつけてしまった結果です。それにはいろいろな理由があるようですが、何年にもわたってたくさんの人がかかわってしまうと、もう何が何だか分からなくなってしまっているケースも少なくないようです。特にマイナーな種については一向に研究は進んでいない様子です。

ここに1種います。20cmほどの小さな魚です。定置網には入りません。入っているのかもしれませんが、ここの定置網の魚獲りの目合は3寸ですので、すべて抜けてしまいます。ですので、これは地元の小型巻き網船が漁獲したものです。時にまとまって市場に出ています。
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学名 Spicara flexuosa、 英名 Picarel、 ポルトガル名 Trombeiro、 和名 分かりません。
"Centracanthidae"という科に属しますが、これもなんだか分かりません。やはり"Sparidae"(タイ科)に近いのでしょうか。分かっているのはスズキ目(Perciformes)の魚だということぐらいです。Fishbaseにはこの学名はありません。"Spicara maena"のシノニムになっています。しかし、愛用の"Fishes of the North-Eastern Atlantic and the Mediterranean"では、本種と"S.maena"は「別種」となっており、それぞれの記載されている特徴をよく検討した結果、ここでも「別種」の意見に賛同します。
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また、英名についてFishbaseでは"Picarel"は"S.smaris"の英名となっており、"S.maena"の英名はBlotched picarel です。
一方、ポルトガル海洋研究所(IPIMAR)の資料をもとにポルトガル名で追っかけてみると、"S.flexuosa"が Trombeiro、"S.maena"は Trombeiro-choupa、"S.smaris"はTrombeiro-boga となっています。ようするにポルトガルではSpicara属の魚では"S.flexuosa"がその代表格的存在という考えです。

まぁ、分からないことだらけで、いろんな「シノニム」がありますが、ここでは上記の学名、英名、ポルトガル名ということにしておきます。












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by mobulamobular | 2009-05-31 19:51 | | Comments(0)
The Sun
「紳士の国」イギリスでもっとも発行部数の多い新聞が、"The Sun"です。イギリスのある側面を垣間見るような内容で、おもしろい新聞です。"The Sun"についてイギリス人に聞いてみると、老若男女を問わず、誰もが下品だ低俗だと言いつつも実は皆がこっそり見ている新聞だそうです。いろいろなすっぱ抜き記事を載せることでも有名です。

さて。最近なのですが、当ブログへのアクセス数が異常に多くなっているのに気がつきました。機械の故障か、はたまた何ぞやと思い、「検索ワードランキング」を調べてみると『サレマ』がだんとつトップになっています。またどこかの学生さんか研究者が「サレマについて調べている」のかなとも思ったのですが、ちょっとすごい勢いの数なので、「ちまたで事件か」と思い、独自に「サレマ 魚」でサーチしてみますと、なるほど、その原因が解明されました。
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学名 Sarpa salpa、 英名 Salema、 ポルトガル名 Salema、 和名 サレマ です。
何でこの魚なのか。理由は"The Sun"の記事にありました。概要は「サレマは毒のある魚で、"LSD"のような幻覚をひき起こす。そんな魚がイギリス南西部のCornwallの沖で見つかった。このサレマを獲った38歳の漁師は初めて見る魚にビックリ・・・普通は南アや地中海にいる魚が・・・これも地球温暖化の影響か・・・サレマは地中海ではとてもポピュラーな料理・・・でも2006年にはフランスで2名の男性がサレマを食べた後、病院行き・・・でも学者さんは、『これらはとてもまれなケース』…」となっています。ここまでで「アクセス数増加の謎」を解明できるとしたら、ちょっと危ないかもしれません。

"The Sun"は英語ですので、英語の分かる人が通常アクセスします。一方、当ブログは日本語ですので基本的には日本語の分かる人がアクセスしてきます。しかし、学名や英名、ポルトガル名から検索し、それ以外の人たちもアクセスしてきています。なんとも微妙なつながりと思いますが、あらためて今のITの広がりを痛感させられます。
話を元に戻しますが、ではなぜアクセス数が急激に増えたのでしょうか。キーワードはひとつだと考えます。その「キーワード」に過敏に反応した人たちが、まさに「サレマについて調べている」、と勝手に想像してしまいました。では、「何のために」。この件についてこれ以上の言及は好ましいジョークにはなりませんので、やめておきます。これを機にサレマの値段が急激に上がる、なんてことはないと思いますが、人気が出ることはよいことかもしれません。

"The Sun"はほんとにたくさんのいろいろな人に読まれているようです。
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by mobulamobular | 2009-05-28 00:59 | | Comments(0)
タチウオ
日本ではお馴染みですが、ここでは少数派の太刀魚類のタチウオです。ポルトガルではこの手の魚を"Peixe espada"(日本と同様に「太刀魚」という意味です。)と呼びますが、その数が圧倒的に多いのは「オビレダチ」です。これをあえて"Peixe espada branco"(白い太刀魚)と分ける場合がありますが、なぜならば"Peixe espada preto"(黒い太刀魚 : Aphanopus carbo=クロタチモドキ)が存在するためです。
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学名 Trichiurus lepturus、 英名 Large-eyed hairtail、 ポルトガル名 Peixe espada lírio、 和名 タチウオ だと思います。
まず、英名ですが、Fishbaseなど多くのところでは"Largehead hairtail"となっていますが、ここでは"Fishes of the North-Eastern Atlantic and the Mediterranean"の英名を採用しました。次に、ポルトガル名ですが、この名前を使っても一般的には通じません。そんな場合は"Peixe espada sem rabo"(尻尾のない太刀魚)とか、"Peixe espada de Angola"(アンゴラの太刀魚)と呼ぶと理解されるかもしれません。
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そして学名と和名についてですが、明らかに「タチウオ」なのですが、日本のものとはどことなく異なる気がします。以前は日本のものは"Trichiurus japonicus"とされていたようですが、今では"T.lepturus"に統一されつつあるそうですが、日本で見るタチウオとはちょっと違います。例えば、定置網で漁獲されたタチウオは魚層の中に他の魚とともに水氷漬けになって港まで来ますが、水揚げされる時はそれまで魚層内で「もまれた」影響で魚体表面の銀が剥がれ落ち、ところどころ白くなっているのが常ですが、今日の個体については同様にして港まで運ばれて来たにもかかわらず、銀色が美しく残っており、日本のものに比べ魚体に「強さ」があるように思われました。また、魚体が太い(体高がある)こと、それに背鰭が「太くて厚い」ことが印象的でした。
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太刀魚は別名「立魚」と呼ばれるように、海の中では「立って」泳いでいます。東海大学海洋科学博物館のホームページにその写真がありますが、その際、まず立ってきらびやかに泳ぐ姿に感動すると同時に、背鰭が波を打つようにヒラヒラと動く様子に眼を惹かれます。このように日本のタチウオの背鰭は薄い膜のようにもっと繊細なもののように思われます。
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タチウオには尾鰭がありませんが、腹鰭もありませんし、その痕跡も残っていません。
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本来、深いところの魚です。冷たい水と一緒に定置網まで辿りついてしまったのでしょう。それとも、どこかよい産卵場所でも探していたのでしょうか。
全長 102cm、 体重 1.26kg の貴重な個体でした。
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でも、アンゴラではたくさん獲れるそうですよ。
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by mobulamobular | 2009-05-26 00:23 | | Comments(0)
ICCAT
東大西洋および地中海では本格的なクロマグロ漁のシーズンを迎えています。漁獲量削減が必要とされる中、今年はますます周りの騒ぎが大きくなっています。

"ICCAT"とは大西洋マグロ類保存国際委員会(International Commission for the Conservation of Atlantic Tunas )のことです。ようするにここらのマグロ漁を監視する国際機関です。いろいろな規則を作っては出し、また改正しては出しています。これらは直接的に法的拘束力はありませんが、各国メンバーは採決された規則を自国に持ち帰り必要ならば法律化しているようです。委員会には40数カ国が加盟しており、日本もメンバーの一員ですし、ポルトガルは"EU"の1カ国として属しています。

とは言え、ここは「小国ポルトガル」。定置網をはじめ、いろいろなところでクロマグロ漁は行われていますが、漁獲量は他国のものとは比べものにならないくらい少量ですので、ICCATが何やら難しいこと議決したとしても特段問題にはなりませんが、昨日、水産庁の命を受けた電気屋さんが何やら怪しげな「箱」を定置網船に付けに来ました。電気屋さんはそれを"CAIXA AZUL"(=ブルーボックス)と呼んでいましたが、見ればなるほど「青い箱」です。
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ようするに"GPS"です。衛星を使って船の位置を知るアレです。
で、キャビンの上にはアンテナを立てました。が、通常のよく見る"GPS"の丸い小さなアンテナの他に"コーン状"の別のアンテナもあります。
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ICCATで決めた約束事がEUに行き、そこで「規則」となりました。「マグロ漁を行う船は、各国所轄の中央省庁がライブでその船の位置が確認できるようにGPSシステムを搭載しなければならない」ということで、もう一つの"コーン状アンテナ"はブルーボックスがGPSの情報(船の位置)を約300km離れた首都リスボンまで「飛ばす」ためのものだったのです。スゴイ、です。それに、タダ、です。定置網船は通常、港と数キロ離れた漁場との間を行き来をするのみですので、「こんなもん、いらないだろ」という意見もありますが、「規則」は「規則」です。機械が作動しようがしまいが、情報が飛ぼうが飛ぶまいが、必要・不必要は問わず、「設置の規則」は守らねばなりません。

先日、EU委員会でICCATに関する案件が議論されました。最も重要なのは2009年4月6日に出たばかりの新しいクロマグロ漁の規則についてでした。各国、各関係省庁や大学や企業や漁師らのこれからの利害に絡む重要な内容です。ポルトガルからもその筋の人たちがベルギー・ブリュッセルまで出向いて行きました。ひょっとしたら一波乱あるかもしれないと思っていたところに入ってきた一報です。
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「テロ」ではなかったようです。CNNニュースはこちら
どうやら建物内のレストランかカフェからのちょっとした出火だったようで、それでも一時は中にいた2000人以上の人たちが外に避難する騒ぎでしたが、「死傷者なし」でよかったです。
という訳で、未だ本題の結論については何も聞こえてきません。次は何をするんでしょうか。












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by mobulamobular | 2009-05-23 00:05 | マグロ | Comments(0)
急潮
先月の平均水温は4月としては過去最低を記録(表層14.42℃、底水温13.46℃)。この傾向は5月に入っても変化なく、連日15℃ほどの水温で推移しています。よって気温も上がりません。涼しい日が続いています。今、「急潮」が来ています。早い潮流のことです。この流れによって海の深いところから冷たい水がどんどんアルガルベの海岸に押しよせて来ています。
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向きは「西から東へ」です。大西洋から地中海方面に向かって、となります。上の写真ですと「左から右へ」です。潮の流れは見ただけではなかなか分かりません。風もなく、水面は鏡のように静かですが、そこを流れる急潮は道網の浮子に当たって突然姿を現します。
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こんどは「右から左へ」流れています。浮子に当たった急潮はその直後にざわめいています。通常はまっすぐの道網をU字に曲げています。「急潮」で操業ができなくなることがあります。こんな時、漁師は精神的にダメージを受けます。この点で急潮は漁師にとって「必要悪」と言えるかもしれません。しかし、「お飯の食い上げ」はご免です。急潮は「時化」とは異なります。海への侵出を拒む時化とは違い、急潮は基本的には船の航行には問題がありませんので、定置網までは通常通りたどり着くことができますが、そこまで行って漁ができないという事態をひき起こします。晴天で、風のない、一見穏やかそうな日にこの有様です。こういうことは海に出てみないとなかなか解りません。天気のグローバリゼーションは釈迦やキリストが生まれる前からの現象で、今後も不変の原則です。ですから、今、目の前で何が起きているのか、どんな「テレコネクション」が作用しているのか考えています。










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by mobulamobular | 2009-05-21 00:38 | 定置網 | Comments(0)
速報 優勝オリャネンセ
実に35年振り、1部リーグに復活です。
地元Olhanenseが昨日ポルトガル2部リーグの優勝を決め、来シーズンより1部リーグへの昇格が決定しました。
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昨晩から今日未明にかけてオリャオの街はこの偉業に歓喜した人々で大騒ぎでした。
定置網の漁師たちは「寝ず」の漁となりました。

おめでとう。
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by mobulamobular | 2009-05-18 19:52 | ポルトガル文化 | Comments(0)
Cornish blackfish
ちょうど一年前に「ブラックフィッシュ」というのが登場しましたが、今年は期せずしてその仲間が入網しました。
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学名 Schedophilus medusophagus、 英名 Cornish blackfish、 ポルトガル名 Liro mole、 和名はありません。
漁師がこの魚を持って帰ってきた時は「またブラックフィッシュだな」と思ったのですが、違うような気もしたので以前の写真と見比べてみると、やっぱり別の種でした。
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眼の周りにはイボダイ科(Centrolophidae)の一種らしく「まつ毛」のような模様があるのもブラックフィッシュと同様です。
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今回の個体は前述のとおり、帰港後すぐに撮影をしたのですが、背鰭、尻鰭、尾鰭等にすでに「乱れ」が見られました。触った感じも同様で、この魚には特に「軟」なイメージがありましたが、この特徴をズバリ言い当てているのがポルトガル名です。"Liro"とはこの手の魚の種名ですが、"mole"とは「軟らかい」とう形容詞です。
一方、このタイトルでもある英名の"Cornish blackfish"については意味不明です。「イングランド南西部Cornwall(コーンウォール)地方の黒魚」ということでしょうか。ようするに英語はインターナショナルでも魚名となるとローカルになるということだと思います。
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by mobulamobular | 2009-05-17 20:50 | | Comments(0)
Corvina 2009
5月は、コルビナが多い年であっても定置網への入網がガクッと減る月です。これは彼らの産卵行動と関連があると考えられますが、確かなことは分かりません。そんな中の1尾です。
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全長177cm、体重52.9kg、♀ でした。CORVINA (2007年)と比べると、全長では若干劣るものの、体重では上回る大きな個体です。
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口はデカイが、歯は小さく、捕食に関してはガブ呑みタイプです。
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餌を摂る時などはもちろん俊敏な動きをしますが、ふだんはこの団扇タイプの大きな尾びれをゆっくり動かし漂っているイメージがあります。
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頭の中には大きな耳石が2個入っています。これからこの個体の年齢を知ることができます。
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by mobulamobular | 2009-05-12 00:57 | | Comments(0)