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「日本人、アルガルベのサバを喰らう」
少し古い新聞記事になりますが、この傾向が今後どのように推移していくか密かに注目しています。
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今に始まったことではありませんが、何故か今になって新聞記者の目にとまったようです。
内容は、「アルガルベで巻き網船によって獲られたサバが大量に(ほぼ全量)お隣りスペインのマグロ蓄養(養殖)場に行っている」といったところです。
一昔前までは、地中海での養殖マグロ事業も規模は小さく、餌は高価な脂の乗ったノルウェー産のタイセイヨウサバを使用するのが主流でした。しかし、それから養殖場の数は激増し、「餌不足」の状況に陥りました。養殖マグロの給餌はたいへんな作業です。魚がデカイですので、接餌量もハンパじゃありません。しかも毎日です。よって、今では餌の質等を問う前に、死んでしまっては(痩せてしまっては)元も子もないので、とにかく食べさせます。そこで活用されているのが「アルガルベのサバ」です。
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記事によりますと、昨年はおおよそ3千トンのサバがアルガルベからスペインに送られ、取引額は60万ユーロ(約8千万円)にもなったとのことです。ですから、これはこれで地元漁師にとってはとてもためになっていると思われます。
こうして丸々太った養殖マグロは、近年、中国や韓国がマグロの獲得競争で力をつけてきたとは言え、まだまだその大部分は日本に送られ、日本人の胃におさまっています。しかし、その「身」となっているものは「アルガルベのサバ」です。ようするに、日本人は意図せずにですが、「アルガルベのサバ」を大量に消費していることになるのです。











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by mobulamobular | 2009-04-23 01:16 | ポルトガル文化 | Comments(0)
Bull ray
さて。
「不況」のためでしょうか。今年に入ってからメッキリ水族館関連の話が少なくなりました。
皆さん、今はじっと我慢の時、ということの様子です。

そんな中の1種です。アルガルベにある"Zoomarine"という水物中心の遊園地内にある水族館に搬入しました。
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学名 Pteromylaeus bovinus、 英名 Bull ray、 ポルトガル名 Ratão bispo、 和名はありません。
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マンタ(e.g. Mobula mobular)と同じトビエイ科(Myliobatidade)に属します。Ovoviviparousです。
「鼻」が特徴的なエイです。
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扱い(husbandry)は比較的容易です。輸送にもさほど問題はありません。定置網には秋から冬にかけて時々数尾での入網があります。もちろん市場でも「鮮魚」として扱われます。今回のものは昨年より水槽で泳いでいたものです。餌はザルガイ(Cerastoderma edule)を与えていました。外から生きたザルガイを殻ごと水槽に放り投げたものが底に沈み、それを接餌します。

和名ですが、"Bull"はBulldog(ブルドッグ)やRed bull(元気の出るドリンク)のそれだと思いますし、「鼻」が特徴的と明記したので、このまますんなりと考えると「ウシバナトビエイ」ということになりますが、残念なことに「ウシバナトビエイ」は別の種(英名 Cownose ray)の和名として既に存在していますので、使えば明らかに混乱を招きます。一方、ポルトガル名を見ると、"Ratão"はトビエイ類の総称ですが、"bispo"は"bishop"つまり「カトリックの司教」ということです。で、このトビエイのどこが「司教」かと言えば、やはりこの特徴的な「鼻」(実際は吻になります)です。この「鼻」のようなところが、あの司教がかぶる帽子のような尖がった「冠」に似ているところから、この名がついたと思われます。
ということなのですが、これらの事柄をまとめて、ひとつの和名とするのはなかなか難しいです。「シキョウトビエイ」とか「カンムリトビエイ」とか思いつきますが、どれもいまひとつなので、今回は思い切って複合語として「シキョウノカンムリトビエイ」というやや長めの和名にしておきます。
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by mobulamobular | 2009-04-19 07:18 | サメ・エイ | Comments(4)
悲報
存在していたものが、存在しなくなる。
受け止める側の死とはそういうものです。

共に働いていた定置網船の機関士が、病のため、本日この世を去りました。
享年44歳。
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どこへ行くんだ。

あまりにも早い別れに言葉がありません。
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by mobulamobular | 2009-04-12 00:20 | 漁師 | Comments(1)
Fata Morgana (ファタ・モルガーナ)
2009年4月某日。朝6時出港。
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操業をして。
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沖の道網が未だ入っていませんので、側張りの清掃点検作業をして。
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潮が速くなってきたので、帰ることに。
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ふと、振り返るとスペインが見えました。
蜃気楼です。英名 Mirage、 ポルトガル名 Miragem となります。
定置網からスペイン国境までの直線距離はおおよそ30kmあります。こういうところならではの不思議な自然現象です。
ちなみに、タイトルの"Fata Morgana"ですが、ものによっては「ヨーロッパでは蜃気楼のことをこのように呼ぶ」という記載もありますが、ポルトガルのここらでは呼びません。


Boa Páscoa!! (よいイースターホリデーを。)

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by mobulamobular | 2009-04-10 01:34 | 気象 | Comments(0)
ソウダガツオ2009
「ソーダガツオ」だったり、「ソウダガツオ」だったりしてますが、ここでは今まで"好んで"で前者をこの魚の属名として使用していますが、今回は"あえて"後者をタイトルとしました。
本格的な漁のシーズンにはまだまだ早いのですが、今年も「大漁」を祈願して、「春のソウダガツオ」をお届けします。
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学名 Auxis rochei、 英名 Bullet tuna、 ポルトガル名 Judeu、 和名 マルソウダ です。
これまでにも幾度となく登場している種ですので、過去の記事は"Auxis rochei"を参照ください。
前述のとおり、アルガルベの定置網には夏から秋にかけて大量に入網します。それ以外の季節ではまとまって入ることはありませんが、時々顔を見ることはできます。そんな時は、「沖の水が接岸してきているな」といった印象を抱きます。
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単純にきれいな魚だな、と思います。その上、これも何度も繰り返しますが、美味です。
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この個体は秋物に負けず劣らず太っていました。全長44cm、体重1.27kg でした。
試食は、今夜です。

今日はコルビナも今年初入網です。
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こちらはハガツオですが、この時期にはもっと入って来てもらわないと困ります。
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by mobulamobular | 2009-04-08 01:04 | | Comments(0)
PRAIA
夏はめったに行きません。
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英名 Beach、 ポルトガル名 Praia、 和名 海水浴場 です。この時期、まだ人もまばらで、空気もなんとなく澄んでいる気がします。
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人の足跡も少なく、こんな自然の造形を見ることもできます。
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浜辺では「打上げ生物」発見です。"Raja undulata"の稚魚でしょうか。卵からかえって間もない個体のようでした。
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しかし、海水浴場の準備はちゃくちゃくと進んでいます。すでに「海開き」済みです。浜辺にはレンタルビーチパラソルが並べられ、お客さんの到着を今や遅しと待っていますが、この日はあいにくのイエローフラッグでお店は開店休業状態でした。
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スイスに本部のある「泣く子も黙る」民間の審査・認証機関"SGS"の旗も高々と揚がっていました。これはよく分かりませんが、この海水浴場が安全で、かつクリーンであることをアピールしているのではないかと思われます。
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アルガルベを自転車で走ろう、ってとこでしょうか。ポルトガルの「ひゃくとーばん」は"1・1・2" です。
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次はまた来年かもしれません。本日より駐車場も有料化されました。
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by mobulamobular | 2009-04-04 01:02 | ポルトガル文化 | Comments(0)
本日の漁
まだ目立った漁はありませんが、それなりに「ため」になっています。
まずは"黒ニシマアジ"です。
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次は"マアジ"です。
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少ないですが、"ヤリイカ"もいます。
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続いて、"タイセイヨウサバ"です。これを「マサバ」と勘違いされている方も多いと思いますが、この種は日本近海にはいません。すべて輸入ものです。
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で、この時期メインは"マサバ"です。まだ期待の「特大」の入網はありませんが、これからが楽しみです。
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やはり、「青魚」が中心です。コルビナはまだ1尾も入りません。これからハガツオが来ると思います。それからマグロと続いていきます。
いろいろと楽しみです。
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by mobulamobular | 2009-04-02 03:36 | | Comments(3)
定置も、海も、魚も、すべて離れて
ブロクラシーの世界へ(小説風戯言)

いいところがあった。
世界中を旅してようやく見つかった、というよりは偶然見つかった。
男はそこが気に入った。開発はほどほど、人口もほどほど、自然が残り、気候がよく、比較的治安も良く、インフラは最低限整備されている。今時の理想の地だ、と思ったらどうしてもそこに住みたくなった。そこで、居住許可についての情報を得るため、役場に行った。住民課では生真面目そうな青年から「ここは世界で最も素晴らしい地域です。住むためにはこの場所に合った素晴らしい家を建てなくてはダメです。まずは建築課に行ってください。」との説明を受けた。

建築課では小太りながらダンディな男がとても友好的に、「居住許可申請と一緒に家の設計図を提出しましょう。設計図は私が作成します。ただし、これはタダという訳にはいきません。しかし、必ず承認されます。なんてったって建築課のお墨付きですから。なんだったらその後の建築も私が請け負いますよ。見積りもします。」ということだった。
男は「お願いします。で、設計図作成の費用はいかほどで。」
建築課の小太りダンディは「30万円ぐらいになりますかね。」
男は[少々高いな。でもこういうところだからしょうがないな。]と思いつつ、「お願いします。」と即答した。

後日、家の設計図が30万円の請求書とともに建築課の小太りダンディから届いた。その設計図には男が今までに見たこともない、建造後の家の格好すら想像もできないほどの大そう立派な家が描かれていた。しかし、[オイオイ、こんなに凄い家が本当に必要なのか。]と思いつつも、[まぁ~、あんな素晴らしいところに住めるのならいたしかたないか]と思い、30万円を支払った。

住民課の生真面目そうな青年は建築課の小太りダンディが作った設計図を見て上機嫌で言った。「OKです。じゃ~善は急げで早速家の建設を開始してください。」
男は「居住許可は出るのですね。」
住民課の青年は「居住許可はできた家を見てからです。」
男は[オイオイ、大丈夫なのか]と思いつつも、建築課の小太りダンディのフレンドリーな言葉を思い出しながら「あっ、そうですか。」と言ってその場を去り、その足で建築課に向かった。

建築課に小太りダンディはいなかった。「すみません。あの~あの人は。」
近くにいた若い職員が「あ~あの人だったら離れ小島に転勤になりました。電話は無理ですよ。何かご用ですか。」
男は「コレコレシカジカで、すぐにあの人に連絡を取りたいのですが。」
若い職員は「分かりました。伝えておきま~す。」

数日後、建築課の小太りダンディからメールが入ってきた。
「カクカクシカジカで、離れ小島に転勤になりました。でもご心配なく。あなたの家の件は同僚が引き継ぐことになっていますので、アーダラ、コーダラ。」

再び、建築課に出向いた。目の前に現れた同僚は小太りダンディとは対照的にスラッとした長身ながら、小太りダンディに負けず劣らずニコやかに話をしてくれた。「話は聞いています。問題ありません。私が何とかしますから。でも、今回の件はちょっと難しいお話なので少々お時間頂けますか。計画がまとまり次第ご連絡しますから。」
男は[何が。何が難しいんだ。そんなの聞いてないぞ、初耳だぞ。]と思いつつも、「分かりました。でも、できるだけ早くにお願いします。」
長身の同僚は「OッK~です。」

何日たっても連絡はなかった。仕方ないので、男は再び建築課に行った。長身の同僚はいた。
同僚は「やぁ~スミマセン。フランスからの建築資材の見積もりがまだ届かないんですよ。来たらすぐ連絡しますのでもう少しお待ちください。」
男は「分かりました。」

数ヶ月たったが連絡はなかった。さすがにしびれを切らした男は、建築課の長身の同僚に電話をした。
電話口の向こうで同僚は「あ~あの件ですが、課長が『あんな家はできる訳がない、技術的に無理だ、作業が危険すぎる』、と言って首をタテに振ってくれないんですよ。でも、どうしても話を進めたい場合はまず『建築安全課の承認』を得るようにとのことですが、どうしますか。」
男は[何言ってんだ、今ごろになって。ふざけるのもいい加減にしろ。だいたい、オマエらの設計だろ。]と思いつつも、「分かりました。ここまで来たら何でもやりますよ。その~『建築安全課の承認』ってのはどうやったら取れるんですか。」
同僚は「建築安全課はここの隣の課です。そこの窓口で聞いてみて下さい。」
男は「電話じゃダメなんですか。」
同僚は「ちょっと話がややこしいですから、直接出向いた方がよく話が理解できると思いますよ。なんだったら、その後私が相談に乗りますから。」
男は「分かりました。よろしくお願いします。」

男は建築安全課の前に立っていた。応対に出た赤毛の女性は「最近、課長が替って、課の方針も微妙に変化してきていますので、直接課長とお話しになりますか。」
男は「そうですか。はい、できればそうさせて下さい。」
赤毛の女性は「分かりました。しかし、課長は多忙のため面会はすべてアポ制になっていますが、よろしいですか。」
男は、ちょっとキレそうになったが、堪えた。「はい。いつですか。」
赤毛の女性は「〇月〇日の朝10時ということで。よろしいですか。」
男は[こいつら完璧に遊んでいる。]と思いつつも、「OKです。」

その日は、「ドタキャン」だった。

あらためて「来週の火曜日の朝10時」にアポを取った。

男は建築安全課目指しトボトボ歩いていたが、もうこのころには本来の「目的」は見失っていた。
しかし、ある種の「意地」が男を動かしていた。
広い応接間。ふわふわな場違い的な感覚にさせられる絨毯、高価そうな絵画や家具、方向感覚を狂わされそうな照明の中にいた。一応、課長に対して失礼にならぬよう、課長が来るまで着席は控えた。10時はとっくに過ぎていた。

待ち時間が気にならなくなったころ、建築安全課課長が満面の笑顔で部屋に入ってきた。
「お待たせしました。やぁ、お久しぶり。お元気でしたか。話は元同僚から聞いています。大変でしてね。でももう大丈夫。私が建築の際の安全計画書を作成してあげましょう。」と言って、両手を横に大きく広げた。
男は目の前の光景に一瞬目を奪われた。その建築安全課課長は「建築課の小太りダンディ」だったのだ。2階級昇進だそうである。当然、今までの業績が評価された結果だ。

次の瞬間、すべてが呑み込めた気がした。

男は「それはタダですか。」と尋ねた。
建築安全課課長は引き続き満面の笑顔で「タダという訳にはいきませんよ。」と答えた。
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by mobulamobular | 2009-04-01 04:14 | Comments(0)