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祝日
英名 Feast (Holy day)、 ポルトガル名 Feriado です。

ポルトガル・アルガルベ地方のオリャオでは、6月16日の「オリャオの日」を含めて、年間14日の祝日があります。内おおよそ半分がクリスマスやイースターなどのキリスト教の祝日です。当然の如く、これらの祝日はキリスト教徒にとってはそれなりに大切な日なわけですから、仕事どころではありません。
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(写真は"ファティマ"です。)
しかし、市場原理主義の教育の成果でしょうか、シーズン中の定置網の漁師たちは祝日といえども、沖へ向かいます。

「いいとこ取りのキリスト教徒」というわけではありませんが、祝日は祝日。休みたいものです。しかし、仕事だから仕事に行くわけですが、どうしても祖先から受け継いだ血が仕事を受け付けない日があるようです。今年は最も早い時期にやってきた「復活祭」(英名 Easter 、 ポルトガル名 Páscoa)、それに「クリスマス」(英名 Christmas、 ポルトガル名 Natal)はどうしても仕事ができません。あと1日、なんとなく仕事のできない日があります。それが先日の「聖体拝受の日」(英名Corpus Christi = Body of Christ、ポルトガル名 Corpo de Deus)です。この日は毎年「復活祭」から60日後にやってきます。

一般的に聖体拝受(拝領)とはキリスト教においてミサの際、聖体(キリストの肉であるパンと血であるワイン)を口にすることにより、「神と信徒の交わり」を行なうというサクラメントのひとつですが、 祝日の"Corpo de Deus"の場合はポルトガル国内においては人や地域によって何をやるかは様々のようです。
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では、何故漁師はこの日に仕事をするのを嫌うかを、ちょっと意地悪く突き詰めて尋ねてみると、ようするに「神と交わる」という点において、「殺生」を嫌っている、ということが分かります。「因果な商売」と言ってしまえばそれまでですが、それだけこの日が彼らにとって「神聖な日」ということなのでしょう。











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by mobulamobular | 2008-05-30 06:13 | ポルトガル文化 | Comments(0)
満月
月や太陽は世界中どこで見ても同じ。そんなところからかなんとなく安堵感を抱かせてくれる存在です。
英名 Full moon、 ポルトガル名 Lua cheia です。
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地球から約38万kmの彼方、直径約3,500kmの巨大衛星。こんなものが何故そこにいるのか不思議でなりません。自転を繰り返しているにもかかわらず地球にはある一面しか見せず、反対側を見せることは永久にありません。太陽とぐるになり、毎日少しずつ姿を変え(角度を変え)、地球上に「海面潮汐」という非常にやっかいな自然現象をもたらします。また、この潮汐は上下変動のみならず、水平方向にも力を与え「潮流」をも創りだします。きっと今もどこかで地球に脅威を与え続けているに違いありません。

「バイオタイド理論」とかいう仮説があるそうです。ようするに地球上の生物が何がしかの影響を月から受けているのではないか、という考えです。例えば、満月になるとカニが大挙して海に向かい放卵を行なうとか、自動車事故が多い、凶悪犯罪が増えるとか、人の出産にも関係がありそうだといったものです。しかし、現段階では前述のとおり「仮説」です。今後の研究の発展を待ちたいものです。

ここの定置網の漁師にも明らかに月の影響を受けていると思われる奴がいます。
満月になると、やたらと元気になります。ふだんは素直で物静かないい奴なのですが、何故か大潮まわりになると変貌します。

しらじらと明ける空の西側に満月が残ったある日、魚獲りについた作業船の前を突然大きな魚が横切った時、やはり奴は吠えました。














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by mobulamobular | 2008-05-27 00:27 | 定置網 | Comments(1)
心温まる一尾
この時期、夜になると何かの都合で深海の暗闇からモソッと浅場に出てくるようです。
そして、定置網に入ってしまう。
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学名 Phycis phycis、 英名 Forkbeard、 ポルトガル名 Abrotea da costa、 和名はありません。
タラ目(Gadiformes)の1種で、最近の分類ではピュキス科(Phycidae)という聞き慣れない科に属します。
カタカナ表記からも想像できるように、本種はもとより同属種のもの(他に2種)も日本の周辺には生息しません。
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一般にいう「タラ」の特徴である「背鰭が3基」とも異なり、全体の形状はチゴダラ(ドンコ)に酷似しています。
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英名の"beard"とは「あごひげ」のことを意味します。確かにこの種には顎にひげがあります。
しかし、この場合の"Forkbeard"(フォークのようなあごひげ)とは、「顎のひげ」のことではなく、
先が二又に分かれた長い腹鰭のことを指していると思われます。
ちなみにこの種の腹鰭は、尻鰭前方の肛門近くにまで達しますが、近種の"P.blennoides"のそれは
肛門を跳び越え尻鰭まで達し、英名は"Greater forkbeard"となっています。
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歯は食虫植物の捕虫器のようで、歯というよりは「棘」の集まりのようです。
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思わず「鍋」にしたくなるような、とってもハートフル(和製英語)な一尾でした。
(写真は上顎「奥歯」です。)
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by mobulamobular | 2008-05-24 01:11 | | Comments(0)
イサキ
これがこちらの「イサキ」です。
日本では定置網で漁獲される代表的な魚種ですが、ここでは年に数度入網するのみです。
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学名 Parapristipoma octolineatum、 英名 African striped grunt、 ポルトガル名 Roncador-riscado、 
和名はありません。

魚がシャキッとしてよいのですが、(真水)が効きすぎて、目が白っぽくなっています。これはよくありません。
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英名の"grunt"と聞いて想い出すのが、「地中海コショウダイ」です。
同じくイサキ科(Haemulidae)の1種でした。やはり和名がなく、勝手に名付けたことも想い出しましたので、
このイサキも勝手に「アフリカイサキ」と命名しておきます。
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今となっては、誰が最初で、どこがスタート地点だったのかはたぶんもう分からなくなっているのだと思います。
ポルトガル名の"Roncador"とは「いびきをかく」ということです。英名の"grunt"と同様の形容詞になります。
ようするにこの魚が「グーグー鳴く」というわけですが、この個体はすでにシャキッとしてしまっているため
確認のしようがありません。しかし、日本のイサキを例にとっても、この行動にはすこぶる疑問を抱きます。
鳴かない、と思います。似たような種で鳴くものがいて、そこから始まり、鳴く鳴かないに関係なく、
形が似ているというだけでこの名が付けられたのではないかと推測しています。
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by mobulamobular | 2008-05-21 14:51 | | Comments(0)
ミゲル
あれから1年、20歳になりハンチング帽が似合うようになった彼は、その後もセッセと毎日海況測定を行っています。
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「まだまだ積極性に欠ける」といった厳しい評価もあるようですが、今はまだノビノビといろいろな経験を積むことが肝要かと思います。
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調子に乗ってブンブンと作業船を操っている様子ですが、まだまだ波の高い日などは怖いらしく、先輩漁師に同乗を懇願しています。こういった点、こちらの人間は素直と言うか、ツッパルことがありません。

安全航行・安全作業のためにはこの「怖い」という気持ちが大切だと思います。
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by mobulamobular | 2008-05-19 00:18 | 定置網 | Comments(0)
ブラックフィッシュ
ここではめったに見ることのない「謎の1種」です。
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学名 Centrolophus niger、 英名 Blackfish、 ポルトガル名 Liro-preto、 和名はないと思います。
イボダイ科(Centrophidae)の1属1種のようです。世界中かなりの広範囲に分布していて、北米や南アではこれを"Black ruff(襞襟)"と呼び、オーストラリアやニュージーランドでは"Rudderfish"と呼んでいるようですが、果たしてこれらが同一種であるかは疑問が残ります。
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FNAM等ではこの種は全長1.5mに達するとなっていますので、この35cmほどの個体は未だ若魚だと思われます。また、大きな個体が前述のとおりいろいろなところで見られるのに対し、若魚は東大西洋と地中海西側のみで発見が報告されていると記載されています。
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イボダイ科の1種ですので、「日本の焼き魚のチャンピオン」(個人的には)イボダイ(Psenopsis anomala)の仲間です。関東ではこれを圧倒的に「エボダイ」と呼びます。「イボダイ」の名前の由来は諸説あるようですが、何れにせよ「イボダイ」というとなんとなく骨がのどに刺さるような感じがして好きな響きではありません。この「エボダイ」は日本・中国近海にのみ生息していて、大西洋にはいません。ですから外人はこれを"Japanese butterfish"とか"Melon seed(メロンの種)"とか"Pacific rudderfish"とか勝手にいろいろな名前で呼んでいるようです。









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by mobulamobular | 2008-05-16 15:41 | | Comments(0)
Paciência
まれに、泣くほど悔しいおもいをすることがあります。
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そんな時の"Paciência"です。「パッシエンシア」と発音します。「我慢・辛抱・忍耐」といったところでしょうか。特に大したことでなくとも、よく使う「決まり文句」です。例えば、欲しいものがあってスーパーマーケットに買い物に行くが、すでに売り切れていた時とかも「パッシエンシア」です。ここの定置網漁師は若い人間が多く、それゆえ彼らの感情の起伏は激しいです。うれしい時などはよいのですが、落ち込む時はかなり底まで行ってしまいます。普段、素直な分、信じていた人間などに裏切られた時などは最悪です。
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特にそれが「お上」の場合は、夢も希望もこの国の未来も失ったかのようになってしまいます。

落ち込んでいる奴らを見かけたら、"Paciência !!"といって慰めてあげましょう。
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by mobulamobular | 2008-05-14 15:18 | ポルトガル文化 | Comments(0)
コバンアジ
コバンザメというのがいましたが、今回のは「コバンアジ」です。
キラキラと輝く容姿からこの名がついたと思われますが、群れで泳ぐ様はやはり美しいです。
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学名 Trachinotus ovatus、 英名 Derbio、 ポルトガル名 Sereia、 和名 コバンアジの仲間 です。
英名では"Pompano"とも呼ばれているようです。ポルトガル名ですが、上記以外にいろいろな呼び名があります。
というか、正式名である"Sereia"(人魚)と言っても誰もわからないのが実情かと思います。
地元では皆好き好きに"Palometa"(ブラジルでの呼び名?)とか"Pombeta"とか呼んでいますが、
国営市場は"Palmeta"と呼んでいるため、量は少ないですが流通される場合はこの名で行っていると思います。
しかし、ポルトガル国立海洋研究所(IPIMAR)発行の書物では"Palmeta"は別の魚(Orcynopsis unicolor)
になってしまいますので、あしからず。
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このコバンアジにはひとつ注意点があります。
ないものもいますが、通常、魚の鰭には硬い棘があります。魚をつかむ際、この棘に刺さらないように
頭のほうから撫でるようにつかむと鰭が倒れ、棘に刺さることなく魚をつかめます。
このコバンアジも第1背鰭は短いですが6本の硬い棘で形成されており、これらも例によって後方に倒れます。
しかし、この魚の特殊なのは第1背鰭の直前の薄皮の下に、前方に向かってもう1本の鋭い棘が隠れている点です。
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何かの拍子に薄皮が破れたり、ギュッと力をいれて握ってしまうとこの棘が露出し、手に刺さります。
しかもこの鋭い棘は固定式で、後方には倒れません。頭のほうから撫でるとブスッといきますので、ご注意を。
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by mobulamobular | 2008-05-12 00:18 | | Comments(1)
灯台 - Farol do Cabo de Santa Maria
英名 Lighthouse、 ポルトガル名 Farol です。
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お間違えなく。手前は最近できたレーダー付き「火の見櫓」です。建造の主旨は明らかではありませんが、「ひどく景観を損ねる」と早くも不評をかっています。
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あらためまして、こっちが"Farol do Cabo de Santa Maria"です。1851年にオリャオ~ファロの沖側、ラグーン(Ria Formosa)を挟んだクラトラ島(Ilha da Culatra)の西側突端に建設されて以来150年以上にわたり、船の安全航行を見守り続けています。もちろん最初は小さなものでしたが、徐々に高さを増し、灯質を変え、現在のものは1997年に完成しました。海図などで英語標記の場合は、"Fl (4) W 17s 50m 25M" となります。
これはこの灯台が「17秒間に4回白色の閃光を放つもので、高さ(海抜)50m、光達距離25海里」であることを示しています。ちなみにポルトガル語標記ですと、"Rl (4) Br 17s 50m 25M" となります。
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この灯台についてもっと詳しいことを知りたい場合は下記のサイトをご参照ください。
ポルトガル海軍(Marinha)
MARINAS.com








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by mobulamobular | 2008-05-10 02:16 | ポルトガル文化 | Comments(0)
É a vida
「エ・ア・ヴィーダ」と発音します。
英名 That's life、 和名 それが人生。
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時化、不漁。
なぜ、なのでしょうか。

そんなにシビアな話ではありませんが、不思議でならない話です。「雨女雨男」、「遠足の日には必ずお腹が痛くなる」、といった類の話です。どこの定置網も同様でしょうが、ここでもやはり時々「お客さん」を連れて沖に行きます。でもそんな時に限って、海が波立ったり、漁が少なかったりします。その度合いの傾向を見ますと、こちらが「このお客さんにはどうしても、いい漁を見せたい」という気持ちが強ければつよいほど海が時化たり、漁が少なかったりします。また、その逆にお客さんによっては口には出さねど「どうしても大漁の瞬間に居合わせ、日本に帰ってから皆んなに自慢したい」、「漁師から『また来てください』と言ってもらいたい」といった気持ちが強ければつよいほどダメな時が多いのです。
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今シーズンも早速ありました。
連日、好漁が続いていたのですが、お客さんが行った日に限り極端に不漁でした。おまけに、この時期としてはめずらしく海が波立ちました。まるで、海が「見慣れない侵入者を拒むように」。

決して信心深いことはありませんが、「縁起」は気にするのが漁師です。ほとんどの訪問者がそのことに気がついていますので、是が非でも良い漁を望んでしまいます。すると、その「気」が、まるで、逆効果のように結果に出てしまうのは何故でしょう。

訪問者を迎える側には何もできないのが実情です。毎日同じことをやるだけです。しかし、こういう現象がたびたび起きてしまうと、海神様の存在を本当に信じたくなってしまいます。

当事者だった方々へ。
大変な目に遭いましたが、単なる巡り合わせですので、どうか気にすることなく、またいらして下さい。

ポルトガル人がこんな時いつも口にする言葉が、"É a vida" です。
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by mobulamobular | 2008-05-07 06:35 | ポルトガル文化 | Comments(0)