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ナミノコ貝
ホリデーでアルガルベに着いたら、まず食べたくなるのが、イワシの塩焼きとこの貝だと思います。
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オリーブオイルと白ワイン、ニンニクを入れて、最後にコリアンダーを加え、酒蒸しのようにしたところに、レンモンを思いっきりしぼって食べます。
学名 Donax spp. 英名 Donax clams、 ポルトガル名 Caldelinhas、 和名 ナミノコ貝 です。
学名ですが、種の同定が難しく、素人判断ですので、ここでは無難に「Donax属の1種」ということにします。ちなみに近辺では"Donax trunculus"(和名 フランスナミノコ)と"Donax vittatus"(和名 ニヨリフランスナミノコ)が生息していることになっています。
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英名は「Donax二枚貝」と表記されているだけであまり面白くないのですが、ポルトガルでは再び「謎めいた」名前がついています。アルガルベ地方では圧倒的に"Conquilhas"(コンキーリャシュ)という名前で通っていますが、正式名は上記の通り、"Caldelinhas"(カルデリーニャシュ)です。たぶん、リスボン、ポルトあたりではこう呼ばれているものと思います。ポルトガル人はよっぽど犬猫の類が好きなのでしょうか、この"Caldelinhas"とは「メスの子犬」を意味する言葉で、例によってなんでこんな名前で呼ばれているのか周りの者たちに聞いてみましたが、"Conquilhas"に慣れ親しんでいる者たちですので、皆、首を傾げるばかり。
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ここからは想像での話ですが、貝から外套膜、もしくは水管が出たり入ったりする様子を見て、子犬がペロペロと舌を出す様に似ていることから、この名前がついたのではないかと思います。こう考えると「かわいい~じゃん」ということになるのでは。一方、"Conquilhas"はどうかというと、こちらの方が議論が白熱しました。お隣りのスペインでは"Coquinas"と呼ばれています。似ているようですが、最後までその因果関係は分かりませんでした。"Con"は英語でいうところの"with"に相当し、"quilha"は船のキールを意味することから、キールに似た貝殻の形を見て「キールを持った貝」で"Conquilhas"、という意見も出ました。

参考までに。フランスでは"Olives de mer" = 「海のオリーブ」、だそうです。

夏の海岸、老夫婦が並んで手を取り合って足踏みをする微笑ましい光景をよく目にします。
"Conquilhas"の潮干狩りです。









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by mobulamobular | 2007-09-30 07:05 | | Comments(3)
ヨロイザメ
このへんになるとマニアックな方か、学者さんでないと分からないと思います。
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学名 Dalatias licha、 英名 Kitefin shark、 ポルトガル名 Gata、 和名 ヨロイザメ。
もちろん、定置網に入ってものではありません。
大陸棚以深1000m以上のところに生息する「深海サメ」の1種です。

しかし、ポルトガルでは時にまとまって多く水揚げされるため、メジャーな部類のサメになります。
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ポルトガル名の"Gata"は「メスの猫」を意味する言葉で、ここからも庶民に身近なサメであることが分かります。
スクワレンを抽出する肝油だけでなく、ここでは肉も食用として多く市場に出回っています。
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ギザギザ歯はサメらしい特徴の一つです。第1、第2背鰭ともに棘はありません。体長は1.5mほどでした。
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by mobulamobular | 2007-09-28 19:24 | サメ・エイ | Comments(0)
イセエビ
このへんはよく分からないのですが、とにかく行ってみましょう。
カテゴリーは「魚」になっていますが、当然、魚類ではありません。
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学名 Palinurus elephas、 英名 Spiny lobster、 ポルトガル名 Lagosta castanha、和名はとりあえず
「ヨーロッパイセエビ」としておきます。
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学名 Homarus gammarus、 英名 European lobster、 ポルトガル名 Lavagante、 和名は ウミザリガニ です。

いずれも定置網で漁獲されたものです。
多くは入りません。年に数度、こういった「ご褒美」が来てくれます。

「太陽と海と魚介類」で売っているアルガルベではなくてはならない存在で、これらを食べるのを楽しみに来る観光客も少なくないと思います。

色合いから言って、「ベンフィカVSポルト」って感じでしょうか。
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by mobulamobular | 2007-09-27 23:27 | | Comments(0)
太刀魚
たまにこういうことがあるから、定置網は面白いです。
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今まで何度か入網の記録はありますが、普段は入ることはありません。ポルトガルでは多く水揚げされますが、そのほとんどが深いところ(200~600m)の延縄によるものです。
学名 Lepidopus caudatus、 英名 Silver scabbard fish、 ポルトガル名 Peixe-espada、 和名 オビレタチ です。
日本で通常見られる「太刀魚」は、学名 Trichiurus lepturus、 英名 Large-eyed hairtail で、これとは異なりますが、分類学上、未だはっきりしない点が多い様子で、同定が難しい一種とも言えます。
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日本のものとの最大の違いは、和名が示す通り、この太刀魚には「尾鰭」がある点です。また、全般的に大きめのものが多く、この標本も全長が160cmほどありました。前述の通り、ポルトガルをはじめ近隣の多くの国で、盛んに水揚げされており、日本にも多く輸入されています。スーパーなどで、「太刀魚の切り身」として売られているものの中にも、このオビレタチが多く含まれていると思います。
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また、オビレタチには太刀魚にない「痕跡」とも思える小さな腹鰭があるのも特徴の一つです。

味は、煮てよし、焼いてよしで、日本のものに負けないほど「美味」です。












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by mobulamobular | 2007-09-25 18:44 | | Comments(0)
"S" or "Z"
ロープには"S"撚りと"Z"撚りという2種類のタイプがありますが、今回はロープの話ではありません。

ラテン系の人の名前の代表的なものに「ロペス」と言うのがありますが、ポルトガル系は"LOPES"と書き、スペイン系は"LOPEZ"と表記しますが、こんな話をするつもりもありません。

日本でもお馴染み(?)で、いまや世界の有名ファッション・ブランドの仲間入りをした"ZARA"は、ポルトガルでは「ザラ」と"Z"の発音で呼びますが、本家本元のスペインでは「サラ」と"S"の発音で呼ばれています。といった話でもありません。
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定置網は南部ポルトガル・アルガルベ地方の中心都市ファロから東へ約10kmのオリャオを母港としていますが、実際の定置網はそこからさらに東へ行ったところにある「フゼタ」という小さな町の沖合いに位置しています。上の写真はその「フゼタ」の町の入り口のものですが、右には鉄道の駅舎が見え、手前左側には「ようこそ、フゼタへ」の看板があります。ここで注意して見ると分かるのですが、駅舎の"FUSETA"と看板の"FUZETA"ではどこか「フゼタ」が違います。

"S" なのか"Z"なのか、論争は尽きることがなさそうですが、地元人の結論がでました。
「どっちでもいいだろ」。

ビバ!! ポルトガル!!!











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by mobulamobular | 2007-09-23 05:09 | 定置網 | Comments(0)
ササウシノシタ
そもそも「牛の舌」とか「犬の舌」とか、ぜったいに似ていないものを魚の名前にあてたところが納得できず、この名前は好きではありませんが、これも「日本の文化」なのでしょう。
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ササウシノシタ科(SOLEIDAE)の魚です。
学名 Solea lascaris、 英名 Sand sole、 ポルトガル名 Linguado da areia、 和名はありません。
英名、ポルトガル名に倣って「砂・ウシノシタ」とでも呼ぶことにしましょう。ポルトガル語の"areia"は「砂」のことです。容易に想像できると思いますが、海底の地質が砂のところに多く生息している種です。定置網には多くは入りませんが、時々漁獲されています。人気種で、大きなものでは40cmほどになります。美味です。
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この種の特徴ですが、無眼側の先端の鼻孔が大きく膨れ上がり、"rosette-shaped"と表現されています。文献によっては、この特徴を持つものを"Pegusa"グループとして分け、学名も"Pegusa lascaris"としています(e.g. Fishbase)が、ここでは"Fishes of the North-eastern Atlantic and the Mediterranean"の記載どおり、上記の学名を採用しました。
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ちなみに、ポルトガルではこの手の魚を一括して"Linguado(リングアード)"と呼んでいますが、これは"Lingua"という言葉の派生語で、この"Lingua"は「舌」という意味です。これも「ポルトガルの文化」なのでしょう。








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by mobulamobular | 2007-09-21 05:59 | | Comments(0)
空飛ぶ “サバ”
昔、「空飛ぶマグロ」という本がありましたが、最近のマグロはめったに空を飛びません。その原因となっているのが、「太り過ぎ!?」です。
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地元巻き網船軍団の「サバ大漁」の知らせが入り、見に行きました。本来、カタクチイワシやイワシを狙って漁をしていますが、前にも述べたように、それらの資源量減少(?)により、最近はサバを多く水揚げしています。これらのサバも主にお隣りのスペインや他国に向けて出荷されます。生食や缶詰用としても販路はありますが、その量には限りがあり、現在もっとも需要として多いのが、「蓄養マグロ」の餌としてです。この豊富な餌の供給によって、現在の地中海マグロの蓄養ものは「太り過ぎ」、折からの日本の景気低迷と円安とが重なって飛べなくなっています。
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いち・に・の~・さん、で投げわたします。巻き網船軍団の水揚げは、今もすべてが手作業で行われています。小さなバスケットに魚を入れて、下から上に投げ上げます。大漁の時は一日中、この作業の繰り返しですので、結構な重労働です。マグロほど飛行距離は長くはありませんが、サバが空(くう)を飛んでいます。

魚が何であれ、市況がどうであれ、やはり大漁の時の漁師の顔はほころびます。










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by mobulamobular | 2007-09-19 04:26 | ポルトガル文化 | Comments(0)
オイルフィッシュ
日本では食品衛生法で販売禁止となっており、一般には流通していないと思います。
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定置網に入ったことはありません。
これは地元の市場で売られていたものを、ちょっと拝借して写真撮影したものです。
学名 Ruvettus pretiosus、 英名 Oilfish、 ポルトガル名 Escolar、 和名 バラムツです。
この魚は水深100m~700mの深海に生息していますが、鰾(うきぶくろ)を持たず、体内に多くの脂質を含んで、それで浮力調整をしている優れものです。特に頭の中は脂だらけですが、この脂がきつ過ぎて食用禁止となっています。
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Fishbaseでもこの魚に関しては"poisonous to eat"となっていますが、上述のようにポルトガルでは販売が許されています。ですから、どこかでお目にかかったり、レストランで出てくる可能性も「無きにしも非ず」です。「美味」とも聞いています。白身ですが全身大トロで、好きな人もいるようですが、身体に合わない人が食べたら、ちょっと辛い思いをするかもしれません。
この魚に限らず、何れにせよ、魚は鮮度が悪いものは中りますので、食する場合は自己責任で。
気をつけてください。

もう一つ…
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by mobulamobular | 2007-09-16 03:36 | | Comments(0)
BOMBORDO
ポルトガルでは船の左舷を"BOMBORDO"(ボンボルド)、右舷を"ESTIBORDO"(エスティボルド)といいます。
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ちなみに英語では左舷をPORT (SIDE)、右舷をSTARBOARD (SIDE)といいます。
"BORDO"は舷側(船の側面)のことです。"BOM"は「良い」、"ESTI"は「星」のポルトガル語"ESTRELA"が短くなったものです。
初めてこのことを知った時、単に英語をポルトガル語に変換、もしくはその逆であって、西洋はみんな「同じ文化」なんだな、と思いました。
しかし、その後、地元漁師からその「理由」を聞かせてもらったところ、先人たちの創り出した全く違った文化が語源となっていることが
わかりました。
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1497年ヴァスコ・ダ・ガマはインド航路開拓の航海に出発しました。ポルトガルを出航して、一路南へ。喜望峰を通り、今度は北へ。
上の地図を見てください。この間、絶えず陸地は船の左舷側で、右舷側は大海原です。
つまり、果てしない、いつ終わるのかも知れない航海で、左舷側には遥か遠くにうっすらと「憧れ」の陸地が見える。
このことから、左舷側は「良い」側、つまり"BOMBORDO"と呼ばれるようになりました。
一方、夜間、右舷側にはいつもきらめく星屑を散りばめた夜空を望むことができました。
このことから、右舷側は「星」側、つまり"ESTIBORDO"と呼ばれるようになった、とさ。

昔、PORTとSTARBOARDの語源について聞いた覚えがあります。
PORTは左舷側に港のある陸地が見えているからではなく、船は「通常」、港では左舷側を着岸するからで、
STARBOARDのSTARは星ではなく、昔の船は右舷側に舵(STEER)が付いていて、そのSTEERが「訛って」STARになったとか。

ここまで書いておいてですが、正直、ことの真実はわかりません。
でも、BOMBORDOも、ESTIBORDOもこの語源が良いと思います。
この由来が好きです。
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by mobulamobular | 2007-09-14 02:54 | ポルトガル文化 | Comments(0)
フグ
ポルトガルではあまり河豚(フグ)は見ないのですが。
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学名 Lagocephalus lagocephalus lagocephalus、 英名 Oceanic puffer です。
正式なポルトガル名は分かりません。たぶん市場には出ないため、魚の同定がはっきりなされていないのだと思います。地元では"PEIXE BALÃO OCEANICO"と呼んでいます。PEIXE(ペイシェ)=魚、BALÃO(バロン)=風船、OCEANICO(オセアニコ)は英名にOceanicと付いているのでそれを採用しました。この「風船」は小棘付きです。
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和名も分かりませんが、Fshbaseなどでは、この種には2亜種が存在しています。よって学名も"lagocephalus"が3回も繰り返されているのですが、もう一方は、学名が"Lagocephalus lagocephalus oceanicus" で、和名は「クマサカフグ」です。しかし、これには英名がありません。(Fishbaseでは現在この魚の英名を公募中です。興味があれば応募してみてはいかがでしょうか。) さて、フグといえば気になるのがその毒の有無ですが、クマサカフグは日本でも漁獲が少ないためサンプリング不足なのでしょうか、文献によっては「無毒」と記載されている場合もあるようですが、一般的には「食用不可」と認識されているようです。これら2亜種の違いは個人的には「生息域の違い」だと思いますので、魚自体は同じものと考えられます。ですから、ここが大切なところですが、ポルトガル(その近辺でも)で上の写真のようなフグがいたら、食べないほうがよい(食べるな!!)と思います。
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顔だけ見ていると、マンボウにそっくりで愛らしいのですが、フグの毒はけっこうヤバイと聞いています。







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by mobulamobular | 2007-09-12 00:25 | | Comments(0)