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コルビナ
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和名ではオオニベ、英名はMeagre、現地名はCorvina(コルビナ)、学名はArgyrosomus regiusです。
定置網では周年漁獲がありますが、特に春から初夏、そして秋に大きな群れでの入網があります。昔の定置網の記録には1日に5~6千尾の入網があったことも記されていますが、今の定置網にはそれほど大きな群れの入網はありません。定置網に入るコルビナの平均サイズは17~20kgほどで、大きなものでは50kg以上あるのもいます。魚体の小さいものはあまり入りません。これはサイズごとにコルビナが棲み分けを行っているためと思われます。クロマグロ同様、コルビナはこの地域において伝統的な魚種ではありますが、長年、マグロの陰に隠れて、それについて調べられるチャンスがなく、その生態はあまりよく知られていませんでした。しかし、近年、リスボン大学(Instituto de Oceanografia- FCUL, Portugal)の研究者によって調査が進められ、その生態が少しずつ明らかになってきています。それによると、コルビナは産卵のために大きな群れをつくり、浅瀬へと移動します。また、汽水域での活発な捕食活動も確認されており、河を遡上し、中には数キロもの上流までいくものもいるようです。また、「蛙」のような声を出し、お互いに鳴きあい、これがコルビナの産卵行動とどのように関係しているかを現在調査中とのことです。

コルビナはイシモチの仲間ですので、頭の中に大きな耳石を左右に一対持っています。これを使って年齢査定の調査も行われており、そのライフスパンも徐々に明らかになっていますが、既に推定年齢50歳以上のものも見つかっています。左下がコルビナの耳石ですが、大きさは3cmほどです。30kgほどのコルビナから出てきました。
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実はコルビナは魚体が大きいせいか、ここでは定置網以外にはあまり漁獲されません。ですから、昔の定置網後、今の定置網が始まるまでの間は「幻の魚」とされており、なおさら、この耳石にも希少価値がありました。現地の漁師はそんなコルビナを漁獲すると、その幸運を海神に感謝し、その耳石を取り出し、金細工を施し(写真:右上)、お守りとして身につける風習があり、今では漁師以外の多くの人々の胸元にもきらりと光るコルビナの耳石を見ることができます。現地ではそれを〝JUIZO”(審判)と呼んでいます。

希少価値とされているのは当然耳石のみでなく、鮮魚としてのコルビナです。地元では大変人気のある魚ですが、なにせ数が少ないため漁獲されたその多くは直接レストランに行き、庶民にはなかなか食べるチャンスはありませんが、コルビナの頭の肉を使った「おじや」(Arroz de Corvina)は絶品です。人気はあるが数が少ない時、考えることはどこの国でも同じで、コルビナも近年盛んに養殖が行われるようになってきました。ポルトガルは若干立ち遅れていますが、フランス、スペインでは既に大量の養殖コルビナが生産され、ヨーロッパ市場に広く出回っています。しかし、コルビナは長生きする代わりに成長が遅いため、3kgほどに育った時点で出荷されていますので、市場では天然ものと養殖ものの違いは明らかになっています。

下の写真はコルビナの鱗で作ったアートフラワーです。知り合いのポルトガル人から戴いたものですが、昔はたくさんのこのようなアートフラワーの職人さんたちがいたそうですが、今ではその数はめっきり減ってしまったそうです。何れにせよ、コルビナもマグロ同様大切な海の資源であり、大切な海からの文化だと思います。
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by mobulamobular | 2007-04-30 23:45 | | Comments(1)
FARO(ファロ)
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手前左がアルガルベ地方の中心のFAROの街で、中央にCabo de Santa Mariaの灯台が見えます。写真は北から南の方角を撮ったものです。WIKIPEDIAでは N 36º57'0", W 7º53'17"となっています。ポルトガル本土の最南端です。その向こう側に見える海に、あの巨大なマグロが泳いでいます。そのまた向こうはアフリカ大陸になりますが、それは見えません。









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by mobulamobular | 2007-04-30 05:17 | 定置網 | Comments(0)
焼き魚のチャンピオン
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メダマヒメジ属のStriped Red Mullet(Mullus surmuletus)です。現地ではSalmonete(サルモネッテ)と呼んでいます。定置網にも入りますが、このようにまとまって漁獲されることはありません。これらは地元の刺し網で獲られたものです。前述のイワシを筆頭に、サバ、アジ、タチウオなどが焼き魚の代表として挙げられますが、これらが比較的庶民の焼き魚であるのに対し、このサルモネッテは高級焼き魚(単価が高い)として、多くの人に愛されています。実際、ベントスを中心に海の栄養をたくさん食べているせいか、身に味があります。焼く時には内臓は取り出さず、ウロコだけ取って焼きます。内臓からうまみがしみ出し、いい匂いがします。塩焼きにして、にんにくバターのソースをかけて食べるのが最高だと思います。










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by mobulamobular | 2007-04-30 04:32 | | Comments(0)
氷・ICE・GELO
活魚を扱う機会が増えたと言っても、まだまだ主流は鮮魚です。鮮魚で一番大切なのは言うまでも
ありませんが、その魚の鮮度です。定置網の場合、漁獲する時は通常すべての魚は生きています。
漁獲した時、すでに死んでいた魚は通常市場には出しません。その鮮度に責任が持てないからです。
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漁獲した魚の鮮度を保持するために欠かすことのできないのが「氷」です。英語でICE、ポルトガル語
ではGELO(ジェロと発音します)と言います。でも、ここではあまり鮮度を気にする習慣はありません。
食文化の違いだと思いますが、刺身で食することがないので、日本のように鮮度を重要視することが
ないのです。

しかし本当は、氷は鮮度のためのみに使用するのではなく、「美味しい魚」にするために使用して
いるのです。氷が魚を冷やすためだけに作用するのであれば、冷蔵庫だって良いように思いますが、
氷じゃないといけない理由がちゃんとあるのです。
通常、氷は氷水にして使用しますが、これにより魚がスピーディーに冷やされ、鮮度を保つばかりでなく
美味さを封じ込めます。そして、魚は水氷の中で「浮いた状態」で、魚体を傷めることなく、魚肉細胞を
破壊することなく、港まで来れるのです。想像してみてください。いくら立派な冷蔵庫でも、そこに何トンもの
魚をぎゅーぎゅー詰めにしたら、魚はどうなるか。確かにちゃんと冷えてますけど、魚はぐちゃぐちゃになって
います。これじゃ、ダメなのです。よく、魚の上から氷だけをかけている船を見ますが、それはまったくの逆効果で、
氷の重みで魚をつぶしている様なものだと思います。

よって、ここでは新鮮で美味しい魚を作るため」、どんどん氷を使用するよう
奨励しています。たくさんの氷を消費しているということは、それだけ多くの漁があることを意味しており、
定置網を見る上でのひとつのポジティブな指標となります。
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by mobulamobular | 2007-04-28 21:34 | 定置網 | Comments(0)
魚 (サバ)
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マサバ(CAVALA) Scomber japonicus (上)
タイセイヨウサバ(SARDA) Scomber scombrus (下)
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両者を比べてみてください。これって正しいですか?
ゴマサバScomber australasicus はやはり大西洋にはいないのでしょうか?
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by mobulamobular | 2007-04-23 00:55 | | Comments(0)
いろいろ
海の話題が絶えない港町オリャオ。
地元主催で毎年開かれる海の博覧会(EXPO MAR)は、多くの研究や事業の発表の場となっています。
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コウノトリ(Ciconia ciconia)と定置網資材、その後ろにはラグーンが見えます。
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古い街並みと自然に魅了され、集まってくる画家も多い。定置網船も描いてくれました。網を積んで港に帰る途中です。
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“時短”が進み、今では完全週休2日の巻き網船。
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定置網の模型です。土俵は地元の「米」を使用しました。
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by mobulamobular | 2007-04-18 04:47 | ポルトガル文化 | Comments(0)
大切な資源
ポルトガルのマグロ定置網は「海の文化」でも述べたように、1970年代初頭にその姿を一旦消すことになりました。それをを聞くと、必ず「なぜ?」という疑問が残ります。資源が枯渇したのか?そんなことはありません。海が汚れたのか?それほどではないと思います。海が騒がしくなったのか?当然、昔は帆船ばかりでしたから、エンジンを唸らせ走り回る今と比べれば、ずいぶんとうるさくなったのかもしれません。こんなふうに、いろいろと考えてはみますが、どれも的を得た答えにはなっていません。

私見ですが、それは広い意味での時代の流れだったのではないかと思っています。

いずれにせよ、マグロをはじめ、ここで獲れる魚はポルトガルにとっての大切な海の資源です。世の中の荒波にもまれても、決して絶えることのない定置網と資源であってほしいと願っています。

そのためにこんなこともやっています。

定置網に入ったマグロの生け捕り作戦です。巨大なマグロを数名のダイバーが素手で捕まえます。
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作業は迅速に行われます。タンカに載せ船上に移し、体長体重を計測、そしてタグをつけて・・・。
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再び、海に戻し、自然に還します。
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その後、数ヶ月にわたっての追跡調査が行われました。こうしてまた、だんだんと自然との距離が小さくなっていきます。
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by mobulamobular | 2007-04-18 02:49 | マグロ | Comments(0)
活魚
ポルトガルは食文化の違いにより、日本のように活魚の需要はあまり多くはありませんが、ここでは主に研究機関や水族館の要請で扱っている活魚についてご紹介します。[和名(ポルトガル名)学名]

まずは メカジキ(ESPADARTE)Xiphias gladius と ヨシキリザメ(TINTUREIRA)Prionace glauca です。メカジキは春から夏にかけて比較的頻繁に定置に入網します。ヨシキリザメも春から夏が来遊する時期ですが、数は多くありません。どちらも輸送および水槽内飼育が非常にむずかしい魚です。

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次は、オオニベ(CORVINA)Argyrosomus regius と イトマキエイ(MANTA)Mobula mobular です。オオニベは現在、ヨーロッパで盛んに養殖に関する研究が行われています。産卵時期には大きな群れをつくり、沿岸を回遊します。定置網には年中入網しますが、春から夏が最盛期です。イトマキエイおよびオニイトマキエイ(JAMANTA)Manta birostris が夏から秋にかけて、定置網に入網します。大きなものでは体盤幅が4mほどに達するものもいますが、比較的小さめのものの入網が多いようです。

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続いておなじみのマンボウ(PEIXE LUA)Mola molaです。お気づきかもしれませんが、英語のSUNFISH(太陽の魚)に対して、ポルトガル語ではPEIXE LUA = MOON FISH (月の魚) ということになります。

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さて。
ダイバーの下で何か巨大な魚が泳いでいますが…。

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by mobulamobular | 2007-04-16 20:35 | 活魚 | Comments(0)
その他の魚 特別編
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さて、この魚?の名前は何でしょうか。
学名 Mitsukurina owstoni、和名は「ミツクリザメ」です。
市場で見たときには驚きました。希少な標本がこんなになってしまって。
この魚は聞くところによると世界でも日本(駿河湾、相模湾)とポルトガル近海のみに生息しているらしく、
何か因縁めいたものを感じさせられました。
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by mobulamobular | 2007-04-15 21:07 | サメ・エイ | Comments(0)
その他の魚 王様編
世界中で同様かと思いますが、やっぱりこの魚がいないと漁港は盛り上がりません。「キング・オブ・フィッシュ」こと、マイワシ(Sardina pilchardus)です。ポルトガル名は"Sardinha"、サルディーニャと発音します。
ご多分にもれずオリャオ港も、中心はイワシの巻き網船軍団ですが、最近は漁獲量が減少し、ちょっと元気がありません。イワシは定置網にも入網しますが、網の目から全部抜けてしまい、漁獲はありません。イワシの塩焼きはアルガルベ地方の代表的な料理で、家庭でもレストランでも、たくさん食されています。ちなみにレストランでは普通、一人前で大葉イワシ15尾ほど出てきます。特にオリャオでは年に一度の祭りの主役でもあり、イワシを食べながら、ワインを飲み、歌ったり、踊ったり、おしゃべりしたりして、楽しい一夜を過ごします。イワシは、定置網にとっては漁獲がないので直接的には関係ありませんが、それでも港でのイワシの水揚げの有無やその量は、海のコンディションを知る上での重要な指標であり、イワシの群れの接岸は他の魚群行動にも多大な影響を与えることから、あらゆる面で欠かすことのできない大切な海の資源です。

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by mobulamobular | 2007-04-15 21:03 | | Comments(0)