カテゴリ:ポルトガル文化( 332 )
ASAE
"アザイ"と発音します。前回の「木材」の続編です。
d0113817_520249.jpg

"ASAE"とは「食品衛生および経済活動」を取り締まるポルトガルのれっきとした政府機関です。しかし、その取締りが進むにつれ厳しさが増し、最近ではまるで「悪行を重ねる武装軍団」ごときの報道がされるようになっています。

上の写真は、ついこの間アルガルベ地方の一地域で行われた伝統ある「ソーセージ祭り」にASAEが乱入し、祭りをメチャクチャにしたという新聞記事のコピーです。報道によりますと、この祭りでソーセージの直売を行う際、ソーセージを扱う人間が「手袋および白い上着と帽子着用」の義務を怠ったことが、主な取締りの理由だったそうです。衛生上の観点からEUのルールをアップホールドさせようとするASAE側の主張も理解できないことはないですが、これにより祭りの主催者側からは猛反発を招いています。アルガルベ地方の主な産業は観光業です。祭りはポルトガル人のみならず、ヨーロッパ各地からのたくさんの観光客を呼び、これが地域経済と密接に結びついているという現実があります。しかし、このような「武装軍団」の突然の来訪は伝統的な祭りをダメにするばかりでなく、アルガルベ地方を訪れる観光客へも悪影響をおよぼしかねないという懸念があります。

この活動には多くの不満が寄せられています。趣旨には賛同できますが、問題はそのやり方にあることは明らかだ、というのが大勢の意見です。都会の法律をこんな田舎に持ってきても合わない、ということだと思います。また、大国の都合で物事を仕切られては小国は堪ったものではない、ということだとも思います。

しかし、小国が"EU"に加盟するということはこういうことなのかな、というのが率直な感想です。













______________________________________________________________
[PR]
by mobulamobular | 2008-01-31 01:27 | ポルトガル文化 | Comments(1)
木材
ヨーロッパ大連合は今や27カ国に拡大し、域内の経済を飛躍的に成長させています。
d0113817_23431191.jpg

一方、27カ国の異なった文化や慣習をひとつにまとめようとする試みは困難な状況が続いています。よいのか悪いのか、市場原理主義とはならない原因がここにあります。経済活動における基本的なルールや線引きは27の加盟国の総意となります。ですから、27の異なった意見をひとつにまとめる作業を行うわけですが、これが大変です。全て「政治」のお話ですので、皆の欲求を満たしたものは肥大化し、時には複雑怪奇な格好で世に登場します。

上の写真は、ポルトガルにおける食品衛生法についての新聞の記事です。レストランでのシチューなどをかき混ぜる「木」のスプーンが禁止されました。代わりにプラスチック製やシリコン製を使うようにとのお達しです。まな板も包丁の柄も同様です。厨房からは一切木製のものは排除されました。
d0113817_1223546.jpg

ここから発展して、漁業にもその影響が出ています。魚を運ぶ木箱や木のパレット、トラックの荷台、漁師のナイフや氷用スコップの柄等、軒並み使用禁止です。そしてついには、木造船禁止です。上の写真の木造巻き網船は近隣の市役所が新しい郷土博物館建設のため買い上げていきました。

全て一気にというのはあまりにも無理がありますので、交換は今後徐々にということになると思いますが、既にEUの皆が満足する法律は施行されていますので、厳密には見つかれば罰金が科せられます。ポルトガルのような小国には脅威とも思われるEUの法律ですが、今日もどこかで抜き打ち検査が行われ、たくさんの民が泣いていることと思われます。この検査は大変組織だったもので一切妥協はなく、完全武装で行われます。たくさんのヘルメットに防弾チョッキにブーツ姿の警官を従え、検査官は木箱に入った魚を挟んで魚屋のオヤジさんに相対します。警官のライフルの銃口はそのオヤジさんに向けられます。ウソのような本当の話です。その場に居合わせた人間はその行動が制限されます。当然、写真撮影は許されず、携帯電話の通話についても警官の注意を受けます。しかし、このあまりにも強行な検査のあり方に疑問を抱く人も多く、実際に裁判沙汰になっているケースもあるようです。

今、皆が注目している「検査品目」がワインです。中には何十年も精魂込めて育ててきた「木樽」の中の熟成ワイン。これらは今後いったいどうなってしまうのでしょう。
[PR]
by mobulamobular | 2008-01-28 08:09 | ポルトガル文化 | Comments(3)
謹賀新年
あけましておめでとうございます。

d0113817_749373.jpg

定置網の向こう側に日本より9時間遅れの初日の出です。
Boas Entradas 2008.
[PR]
by mobulamobular | 2008-01-01 18:44 | ポルトガル文化 | Comments(1)
ソーダガツオの缶詰
出来上がりました。
d0113817_19375.jpg

ソーダガツオ(Auxis rochei)の缶詰です。
スペイン・アンダルシア地方の名産です。スペインではソーダガツオのことを"Melva"と呼びます。
「ミソ」は缶箱左下に明記してある"de ALMADRABA"です。
"ALMADRABA"とはスペインで「定置網」のことです。よって、この缶詰は「定置網で獲れたソーダガツオの缶詰」ということになります。
スペインにはジブラルタル海峡手前(大西洋側)に古くから定置網の「名門4漁場」がありますが、
どれもクロマグロ・オンリーといっていいほど、他魚種の漁獲は少量です。
そんな中、ソーダガツオを漁獲している最寄りの定置網といえば、ポルトガル・アルガルベの定置網になります。
味は何度も繰り返しますが、最高です。
でも残念なことにポルトガルではほとんど売っていません。


ここまでの過程は下の記事を参照ください。
ソーダガツオ
JUDEU
JUDEUの出荷
d0113817_1173743.jpg

[PR]
by mobulamobular | 2007-11-23 22:59 | ポルトガル文化 | Comments(4)
バリケン
魚でもなく、定置網についてでもないのですが。
d0113817_18554228.jpg

学名 Cairina moschata、 英名 Muscovy Duck、 ポルトガル名 Pato mudo、 和名 バリケン です。
正確には、南米原産のカモ科の鳥である「ノバリケン」の家禽化されたもの、だそうです。

先日、"Ria Formosa"沿いで作業をしていた漁師が1羽の「得体の知れない」鳥を発見。
近づいてみると歩いてヒョコヒョコ遠ざかっては行くが、一向に飛ぼうとはしないので、彼は「きっと、怪我をしているにちがいない」
と思い、その鳥を保護しました。
嘴から眼にかけて同色になっていること、また、水掻きがあることから、彼はそれを「カツオドリの幼鳥」と思い、
国立公園の管理事務所にその鳥を届けました。
その後、インターネットで"Birds in Europe"なる類のHPでこの鳥の名前を検索しましたが、全くヒットせず、
検索範囲を「日本」にまで拡大したところ、和歌山県立自然博物館のホームページにこの写真の鳥によく似た鳥が
記載されているのを発見しました。早速、この博物館に問い合わせをしたところ、「バリケンに間違いない」との
ご返答を担当の方からいただきました。

別の漁師がこの鳥を見た時すぐにこれは"Pato mudo"だと言っていたのですが、それが「何物」かはわかりませんでした。
"Pato"はカモ・アヒルのことですが、"mudo"とは「口のきけない・無言の」といったような意味なのです。
このバリケンを保護した漁師にこのことを問うと、「たしかに捕まえた時には鳴かなかった」そうです。
カモやアヒルはガーガーゲーゲー鳴くのが常だと思っていましたが、家禽化されたそれは「言葉を失って」しまったのでしょうか。

前述のとおり、原産は南米ですが、食用として全世界に広まったようです。ヨーロッパも例外ではなく、別名「フランスガモ」とも
呼ばれているようです。また、英名では「モスクワのカモ」となっており、原産地からずいぶんと離れてしまっています。
ロシアの首都モスクワ=MOSCOWですが、その「モスクワの」となった時、なんで"MUSCOVY"と"O"が"U"になってしまうのでしょう。
余談すぎました。

もし、この鳥が口を利くことができたら、まず最初に「自分は誰?、ここはどこ?」と問うのではないでしょうか。
[PR]
by mobulamobular | 2007-11-21 00:02 | ポルトガル文化 | Comments(0)
FÁTIMA(ファティマ)
ファティマはポルトガルの首都リスボンから北へ百数十キロほど行ったところにある小さな町の名前です。
そこに1917年5月13日、聖母マリア(英名 Virgin Mary、 ポルトガル名 Virgem Maria)が天から現れ、3つのメッセージ(預言)を
残していった、という事件がありました。
詳細についてはここでは割愛しますが、メッセージの内容は「戦争回避」のためのものと信じられ、平和を願うポルトガル人の中には
いまもなお熱烈な「ファティマ信者」が多く存在します。

そんな中、定置網漁師の最年長者が奥さんとファティマを訪れ、聖母マリアを連れてきてくれました。
d0113817_5472457.jpg

ついにオリャオにも聖母マリアが出現しました。
そして、「ユーラシア大陸果ての定置網」に関する重大なメッセージが託されました。
しかし、それは公表できません。
なぜならばそれは「メッセージ」ではなく、「秘密」だったからです。

和名 ファティマのメッセージ(預言)、 英名 The three "secrets" of Fatima、 ポルトガル名 "Segredo" de Fátima
[PR]
by mobulamobular | 2007-10-17 05:38 | ポルトガル文化 | Comments(0)
空飛ぶ “サバ”
昔、「空飛ぶマグロ」という本がありましたが、最近のマグロはめったに空を飛びません。その原因となっているのが、「太り過ぎ!?」です。
d0113817_231918.jpg

地元巻き網船軍団の「サバ大漁」の知らせが入り、見に行きました。本来、カタクチイワシやイワシを狙って漁をしていますが、前にも述べたように、それらの資源量減少(?)により、最近はサバを多く水揚げしています。これらのサバも主にお隣りのスペインや他国に向けて出荷されます。生食や缶詰用としても販路はありますが、その量には限りがあり、現在もっとも需要として多いのが、「蓄養マグロ」の餌としてです。この豊富な餌の供給によって、現在の地中海マグロの蓄養ものは「太り過ぎ」、折からの日本の景気低迷と円安とが重なって飛べなくなっています。
d0113817_23394073.jpg

いち・に・の~・さん、で投げわたします。巻き網船軍団の水揚げは、今もすべてが手作業で行われています。小さなバスケットに魚を入れて、下から上に投げ上げます。大漁の時は一日中、この作業の繰り返しですので、結構な重労働です。マグロほど飛行距離は長くはありませんが、サバが空(くう)を飛んでいます。

魚が何であれ、市況がどうであれ、やはり大漁の時の漁師の顔はほころびます。










______________________________________________________________
[PR]
by mobulamobular | 2007-09-19 04:26 | ポルトガル文化 | Comments(0)
BOMBORDO
ポルトガルでは船の左舷を"BOMBORDO"(ボンボルド)、右舷を"ESTIBORDO"(エスティボルド)といいます。
d0113817_4481190.jpg

ちなみに英語では左舷をPORT (SIDE)、右舷をSTARBOARD (SIDE)といいます。
"BORDO"は舷側(船の側面)のことです。"BOM"は「良い」、"ESTI"は「星」のポルトガル語"ESTRELA"が短くなったものです。
初めてこのことを知った時、単に英語をポルトガル語に変換、もしくはその逆であって、西洋はみんな「同じ文化」なんだな、と思いました。
しかし、その後、地元漁師からその「理由」を聞かせてもらったところ、先人たちの創り出した全く違った文化が語源となっていることが
わかりました。
d0113817_5101187.jpg

1497年ヴァスコ・ダ・ガマはインド航路開拓の航海に出発しました。ポルトガルを出航して、一路南へ。喜望峰を通り、今度は北へ。
上の地図を見てください。この間、絶えず陸地は船の左舷側で、右舷側は大海原です。
つまり、果てしない、いつ終わるのかも知れない航海で、左舷側には遥か遠くにうっすらと「憧れ」の陸地が見える。
このことから、左舷側は「良い」側、つまり"BOMBORDO"と呼ばれるようになりました。
一方、夜間、右舷側にはいつもきらめく星屑を散りばめた夜空を望むことができました。
このことから、右舷側は「星」側、つまり"ESTIBORDO"と呼ばれるようになった、とさ。

昔、PORTとSTARBOARDの語源について聞いた覚えがあります。
PORTは左舷側に港のある陸地が見えているからではなく、船は「通常」、港では左舷側を着岸するからで、
STARBOARDのSTARは星ではなく、昔の船は右舷側に舵(STEER)が付いていて、そのSTEERが「訛って」STARになったとか。

ここまで書いておいてですが、正直、ことの真実はわかりません。
でも、BOMBORDOも、ESTIBORDOもこの語源が良いと思います。
この由来が好きです。
[PR]
by mobulamobular | 2007-09-14 02:54 | ポルトガル文化 | Comments(0)
POSEIDON(海神)
ここの定置網の漁師は一様にカトリックですが、皆が信心深いというわけでもありません。
しかし、ここの漁師もやはり「神」のもとで働いています。
d0113817_424850.jpg

でも、ここで言う「神」とはユダヤ教やイスラム教の神とは異なり、正確に表現するのは非常に難しいのですが、
強いて近しいものを言うとなると、それは「自然」と表現できるかもしれません。
ですから、「自然」≒「海神」といった感じになります。
d0113817_31643.jpg

JUDEU(ソーダガツオ)は漁期が限られ、短期決戦となります。この間、漁師は土日・祝日関係なく働きます。
2隻の定置網船は定置網と港(市場)のピストン輸送を繰り返します。
定置網は「海神」との交渉の結果、どんどんJUDEUを生産します。それを漁師が取り上げ、市場まで運び、水揚げします。
漁師の一日は前日に漁獲したJUDEUの水揚げから始まります。夜明け近くになると、1隻の定置網船が出港します。
時間をおいて、もう1隻も出港します。1隻が港に戻り、水揚げをして、また出港します。これを日暮れ近くまで続けます。
疲れますし、バテます。しかし、ここで「海神」が助け舟を出してくれます。
「時化」です。漁師は眠ります。
でも今の時期の「海神」はそう長くは休ませてくれません。直に定置網はJUDEUの生産を再開します。
「海神」に感謝!!
[PR]
by mobulamobular | 2007-09-07 06:59 | ポルトガル文化 | Comments(0)
RIA FORMOSA
南部ポルトガル・アルガルベ地方のオリャオは"RIA FORMOSA"(リア・フォルモーザ)という国立自然公園の中に位置しています。RIA(リア)とは「河」のことですが、厳密にはここは河ではなく、「ラグーン」と表現するのが一番適しているように思います。
d0113817_1553735.jpg

海はこのラグーンの外になりますので、定置網船は毎日このラグーンの中を航行していますが、水深が1~3mと浅いのが難点です。ラグーン内ではアサリやカキなどの養殖が盛んに行われています。干潮時のみ姿を出す養殖場で、腰を折りメインテナンス作業に追われる人々がいます。この自然がいつまでも続くことを祈るのみです。春には時に、フラミンゴが飛来することもあります。
d0113817_2331077.jpg

オリャオは海に面しているのではなく、河に面しています。よって、海水浴に行くには船を使いRIA FORMOSAを渡らなければなりません。これがいつまでも海の自然を保つ大きな役割を果たしています。海岸線は100年前とほとんど変わず、街の明かりや騒音は届きません。RIA FORMOSAは街と海との間でその緩衝材的存在となっています。また、生活排水等が直接流れ出すのを防ぐ、フィルター的存在ともいえます。このような環境があるので、今でも大型魚を中心とした多くの魚が接岸するのだと考えています。
d0113817_235476.jpg

バックはオリャオの街並みです。
[PR]
by mobulamobular | 2007-08-22 02:51 | ポルトガル文化 | Comments(0)