カテゴリ:気象( 318 )
気温
あくまでも、定置網での計測値です。
今年は過去13年間の海況測定中、最も低い年間平均表層水温(16.96℃)を記録しました。そしてすべては船上での作業ですので、そこで働いている漁師たちの体感温度はこの表層水温の影響を強く受けます。ようするに、「今年は寒かった」ということです。
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確かに最近、冗談まじりで「ポルトガルは寒いなぁ」という文句を会話でよく使います。上のグラフは年間平均温度を示したものです。縦軸が温度(℃)、横軸が年度で、青線は表層水温、赤線は底層水温、緑線が気温です。10年前に比べ、気温が約1℃下がっているのが分かります。水温については「変動範囲内」とも思われますが、今後の推移を見守りたいところです。ふつうなら、来年は水温上昇に転ずるのでは、と期待はしています。

やはり「地球温暖化」の影響でしょうか。気温が下がり、寒冷地化するのは好ましい状況とは言えません。

さらに。
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by mobulamobular | 2008-12-26 18:30 | 気象 | Comments(0)
北大西洋振動
太陽も、地球も、空も、みんなひとつだ、ということだと思います。

「エルニーニョ」、「ラニーニャ」に代表される気象現象は、2つ以上の離れた地域の大気圧がシーソー(seesaw:反転作用)のように変化する「テレコネクション」(teleconnection)というメカニズムがもとで起こる現象です。

つまり、「テレコネクション」とは、「風が吹けば桶屋が儲かる」のように一見なんの関係もなさそうな2つの事柄が「遠隔結合」している、ということです。「観天望気」も時にその「遠く隔たりのある2つ以上の事柄の相関関係」を推理して行います。

地球上にはたくさんのテレコネクションのパターンが存在することが知られています。上記のエルニーニョ、ラニーニャに関係するテレコネクションは「南方振動」と呼ばれているものです。ここにポルトガル唯一の定置網にとって、とても関心深いテレコネクションがあります。
英名 North Atlantic Oscillation (NAO)、 ポルトガル名 Atlântico Norte Oscilação、 和名 北大西洋振動。

これは主に冬の時期、アイルランド低気圧(Icelandic Low)とアソレス高気圧(Subtropical or Azores High)が、ともに強くなったり弱くなったりするシーソー現象です。これによりヨーロッパの冬の天候が決定され、世界の他の地域の天候にも多大な影響を及ぼすようです。NAOの指標(インデックス)は海面気圧偏差の時系列で表されていますが、最近は「負」(マイナス)の値が多くなってきているとのことです。
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「NAOのインデックスが負の時」はどんなかと言うと、まず北極海の気圧が高くなります。すると中緯度の気圧は低くなります。よってグリーンランドあたりの冬は温暖湿潤、北ヨーロッパやアメリカ東岸では寒冷乾燥、地中海海域は温暖湿潤となります。また、北極を超えた反対側ではオホーツク海高気圧が弱まり、日本の夏は猛暑となる、といった具合です。これは「偏西風も弱まる」ということですので、ここから先は台風関連の話などで盛り上がると思いますが、ようするに「みんな、つながっている」ということです。

変なものを大気中に放つと、アッという間に世界中に広がります。遠く離れていようとも、変なことをすると予想もしていなかったところでとんでもないその影響が現れます。
「テレ・コネクション」です。








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by mobulamobular | 2008-07-18 00:00 | 気象 | Comments(0)
水温
昨年(2007年)6月15日に書いたレポートがあります。今年は5月に今まで13年間で最も低い表層平均水温(15.33℃)を記録し、その後6月に入っても低水温の傾向は続き、6月15日現在の表層平均水温は16.20℃、昨年の16.29℃をも下回る超低温となっています。
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6月10日気象庁、地球環境・海洋部の発表によると、「昨年より続いていたラニーニャ現象は春に終息したとみられる」、とのことです。「大陸の西岸」気候は似たような自然条件になっている、と昨年のレポートでも記しましたが、今後、ここでも水温が上昇し、例年並みとなることが望まれます。

問題は大西洋上に次から次へとできる低気圧です。これらは発達しながらイギリスの上を通過します。今年はまるで「道」が出来てしまったかのように、これらが途切れることがないほど続いています。ようするに「パターン化」してしまっていると考えられます。こうなるとポルトガルでは連日この低気圧からの北よりの風を受けることになります。この北よりの風は大西洋を北から南へ流れる「カナリア海流」に力を与え、それによりここでは「湧昇流」(Upwelling)の影響を受け、水温が低下します。この現象についてはNASAの"Ocean Motion"というサイトに詳しい説明があります。夏に向かって気温はあがりますので、表層の海水温は上昇しますが、潜ってみると水深15mあたりからブルブルッと水温が下がるのを感じ、透明度も極端に悪化します。この密度の異なった2層の水(Pycnocline)はなかなか混じり合いません。これらをミックスさせるためにはそれ相当の力が必要ですが、手っとり早いのは「時化」ということになります。しかし6月ともなると「時化」も期待できません。「成るようにしかならない」ということで、回復には時間がかかります。

「湿舌」(しつぜつ)という気象現象がありますが、この「湧昇流」はまるで海洋版の湿舌のようです。海のワンポイントで仕事をしていると冷たい水が深海から出たり入ったりしている様子がよく分かります。

まるで「生き物」のようです。









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by mobulamobular | 2008-06-20 00:41 | 気象 | Comments(0)
赤潮
英名 Red tide、 ポルトガル名 Maré vermelha 。
赤潮が発生しました。
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「これだから」といった決まった理由はないようです。発生の原因の一つとして考えられているのが、
丘から流れ出す生活排水などによる海域の富栄養化です。ようするに「環境問題」として捉えられています。
また、それに「地球温暖化」の問題もリンクしているようです。
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赤潮とは植物プランクトンが大量発生して海が「赤く」なる自然現象のことですが、この「色」は発生するプランクトンの
種類によって異なります。今回のものはまさに「赤く」、少しすくって見ました。そして顕微鏡で覗いてみると。
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学名 Noctiluca scintillans、 和名 ヤコウチュウ です。 
渦鞭毛藻類の単細胞生物です。
「夜光虫」はその名のとおり夜に光を放ちます。海岸の波打ち際や石などを投げ込んだ時にできる波紋のまわり、
船の追い波の波頭などで青白い美しい光を見ることができます。

問題はどこからこの単細胞軍団がやって来るかですが、こんな時、海が本来持つ「活力」のようなものが少し
欠けているように思います。何層もの水が存在し、かつ自己主張が強くて互いに打ち溶けあえずにいます。
混ざり合うことによって元来の浄化作用が機能するのですが、自然は沈黙を維持しているようです。
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by mobulamobular | 2008-06-14 00:15 | 気象 | Comments(0)
観天望気
先週末、パーッと晴れました。一面の青空をふと見上げると、飛行機雲です。
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こういうのを見ると、いつも「観天望気(かんてんぼうき)」です。結果、この飛行機雲はなかなか消えませんでした。このまま一気に夏かとも思いましたが、まだ早いようです。やはり、二日後には雲が広がり、ポツポツ雨もありました。
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少し見にくいですが、西に傾く太陽を中心にできた「丸い虹」です。「朝虹は雨、夕虹は晴れ」となります(でもこの場合は少しちがいますけど)。

ようするに、「あ~した、てんきにな~れ」の下駄のようなものですが、いろいろあって面白いです。なかには知っててとてもタメになるものもありますが、けっこういい加減なものも多いです。それでもしゃれっ気があってよいと思います。例えば「ネコが顔を洗うと雨が降る」とかは、ちょっと疑わしいです。逆に考えるとアルガルベのネコは夏の約半年間は顔を洗わないことになってしまいます。また、「東の雷は雨は降らない」というのもあります。これは一理あります。通常天気は西から東へと移動するからです。
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しかし、その時の風向きによってはグングンこちらに攻めてくる東からの雷もありますので、注意が必要です。

飛行機雲については、水滴の塊ですので直ぐに消えない場合は「上空が湿っている」と判断します。よって、天気は下り坂、ということになります。
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20th Century Fox の映画の始まりではありません。上空に残った飛行機の航跡です。











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by mobulamobular | 2008-03-14 08:01 | 気象 | Comments(1)
天気予報
自然相手の定置網。毎日気になるのが明日からの天気です。
テレビ・ラジオ・無線(ポルトガルの海上保安庁)でも天気の情報収集することはできますが、今ではもっぱらインターネットを利用しています。
こちらの天気予報は比較的よく当たります。しかし、一つの情報だけに頼ると時より「危険」なことになるので、
複数のサイトを見比べ、最後は自分の判断となります。でも、目視観察も大切です。今の天気はまさにここにあるのですから。
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上はCNNです。天気図に前線を表示しており、雨の降り方、風向きなどを知るのに参考にしています。
下はイギリスの"The European Centre for Medium-Range Weather Forecasts"というサイトです。
このような予想気圧配置図が10日先まで表示され、今後の天候の傾向を知る上でたいへん参考になります。
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スペインの"Instituto Nacional de Meteorologia"のサイトです。下の図は風向きとその強さを示したものですが、
他にも同ページで、気圧配置、降雨状況などがこの先48時間後まで6時間毎の予報が表示され、とても便利です。
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定置網にとって必要な海況情報には、気温、天気の他にも風向き・強さ、波の大きさ・その方向、水温、透明度などが含まれます。
続いてポルトガルの"Instituto de Meteorologia"です。全国図上に主要地の天気・気温・風向きおよび強さが、
また、海には波の高さおよび方向、水温がそれぞれ表示されます。
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画面を変えると、向こう4日間の天気予報を読むことができます。
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それぞれの予報には「予報官」の名前も記載されています。
ここで、ポルトガルの天気予報なので、あえて「難点」を言わせてもらえば、時々、上記2画面に著しい違いがある時が
あります。また、週末の予報が極々適当で、1日2~3行で4日間同じ天気、などと言う場合もあります。
長年ここにいますので、文化・習慣の違いは心得ているつもりですが、もうちょっと頑張ってもらいたいものです。

これら以外にも日本に「世界の気圧配置」という優秀なサイトがあり利用しています。ここでは今日明日のヨーロッパの
気圧配置図を見ることができ、画面の端っこですが沖の小さな低気圧の発生にも敏感に反応しているようで、
他の天気予報が「全滅」状態でも、「一人勝ち」といった時も今までに幾度もあります。

今の風向きを知るには"Weather Undergroud"の日本語版や、"Yahoo"を見ています。

ここは丘と海の間にRia Formosaを挟んでいますので、丘からはなかなか海の状況を知ることは難しく、
何がしかの情報に頼ることになります。そんな時、他の漁師からの情報も力強い味方となります。
しかし、船での航海、海での仕事は一歩間違えるとたいへん危険なことになります。
冒頭にも述べたように、天候の判断は、「最後は自己責任」、ということになります。
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by mobulamobular | 2007-11-29 17:59 | 気象 | Comments(0)
LEVANTE(レバンテ)
折りしも日本では台風9号の影響で各地で多大な被害が出ており、「悪天候」について記述するのは不謹慎のような気もしますが、日本の同業者の無事と安全を祈りつつ、こちらの時化について述べていきます。

ポルトガルには台風やハリケーンのような強力な熱帯低気圧の発生はありませんが、時にそれに近しいパワーを持った南東風による時化があります。アフリカから湿った重たい空気を送り込み、激しい雨を伴う場合もあります。地元ではそれを"LEVANTE"(レバンテ)と呼んでいます。
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通常、2~3日でおさまりますが、この間、強風と高波で沖に出ることはできなくなります。"LEVANTE"を辞書で見ると、「上げること」「反乱・暴動」などと出ていますが、「東」と言う意味もあります。ポルトガル語では単に方位を示す際、東は"ESTE"記しますが、"LEVANTE"も「日が『昇る』側」ということで、「東」と言う意味になります。これに対して「西」は通常"OESTE"ですが、「日が『沈む』側」と言う意味で"POENTE"ともいいます。
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「レバンテ」はここでは時化の代名詞のように用いられていますが、どことなく時化の悪いイメージとは裏腹に、時化後の漁の好転の期待が込められた言葉のように思われてなりません。これから冬にかけてレバンテの多い時期となりますので、船の航行、定置網の操業等には十分な注意が必要になりますが、夏の穏やかな天候とともに淀んだ漁場の海況をシャッフルするための必要悪的働きをしているようです。ちなみに「台風一過」ならぬ、レバンテ明けのあざやかな好天を、ここではBONANÇA(ボナンサ)といいます。
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by mobulamobular | 2007-09-08 05:42 | 気象 | Comments(0)
地球温暖化
ポルトガル名 Aquecimento global、英名 Global warming です。
世界各地で気温の上昇や海水面の上昇など、地球温暖化の問題はいろいろのようですが、大西洋に面するここでも、非常に深刻な諸問題が各方面から指摘されています。その最も憂慮すべきことが、ヨーロッパの更なる寒冷地化の問題です。ヨーロッパはただでさえ寒いところです。それは緯度でみれば、一目瞭然で、パリは49度ほど、ロンドンは51度ほど、スウェーデンのストックホルムにいたっては59度にもなります。日本のそれと比べるともっと事態ははっきりすると思いますが、最北端とされている(異論あります)ところでも45度ほどですので、ヨーロッパの主要各地は日本よりずっと北に位置していることが分かります。ポルトガルはというと、首都リスボンは38度ほどで、定置網のあるアルガルベ地方の州都"FARO"でも36度ほどの緯度になります。仙台がリスボンとほぼ同じで、FAROは水戸と同じぐらいです。しかし、それでもポルトガルではほとんど雪は降りませんし、北海道よりずっと北のロンドンでは雪は降るものの、あんなドカ雪はまずありません。ではなぜ高緯度にもかかわらず、人が住めるほど「温暖」でいられるかというと、それは大西洋に面しているからなのです。大西洋には南からの「黒潮」のような暖流(メキシコ湾流~北大西洋海流)が北極海にまで流れており、これが高緯度のヨーロッパを温暖な気候に保つ重要な働きをしていると考えられています。この海流は北に行くにつれて水温が下がり、塩分濃度が増加し相対的に重くなるため、海底に沈み込み、深層海流となっています。このシステムが暖流を高緯度まで「吸い寄せている」訳ですが、地球温暖化により北極の氷が溶け出すと、塩分濃度が増加せず、海水の沈み込みがゆるやかになり、結果、南からの海流を「吸い寄せる」力が弱まる、ということになります。ですから、暖流が流れてこないとこれまでの温暖な気候は維持されず、一気に気温は下がり、寒冷地となる、という推測が成り立つ訳です。
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定置網漁業はもとより、漁業全般に従事する漁師たちは海で作業を行っているため、自然の変化には敏感にさせられます。また、この「気候変動」による影響を他の誰よりもいち早く受け、感じる状況下にいると思います。しかし、「口下手」の漁師はその現実をうまく丘の人間に伝えられないでいます。また、伝えたところでどうせ信じてもらえないと思っているのか、はたまた、本当に信じられていないのか。確かに、漁師の言うことは大雑把で、時に非常に混乱した情報が多いです。しかし、それは相手が海だったり、自然だったりするので、無理のないことだと思います。大切なのは、これらの情報をどのように処理し、どのように伝え、役立てていくかと思っていますが、現実は難しいです。

「地球温暖化によって気温が上がり水温が上がることによってもっと多くの魚たちが、このアルガルベ地方の海岸に押し寄せるからよい」、という話も聞いたことがありますが、上記のように、ことはそう単純ではなさそうです。むしろ、その逆で、「気温が下がり水温も下がり魚も減る」、「漁業はさらに衰退し、定置網の維持も難しくなる」、「食糧難となる」、「北ヨーロッパはすでに人間の住める状況にあらず、大量の難民が、少しでも温かいポルトガルにどっと押し寄せてくる」、「もっと、食糧難になる」、「・・・・・?!」。

「これはまずい」と思い、まずはの「地球温暖化対策」です。定置網の漁師たちは、今、車やオートバイの使用をやめ、自転車や徒歩で通勤するように心がけています。
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by mobulamobular | 2007-08-20 05:21 | 気象 | Comments(0)