Mero
定置網は未だですが、春とともに市場に水揚げされる魚たちが若干華やいできました。
そんな中、ハタ科(Serranidae) の1尾です。
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学名 Epinephelus marginatus、 英名 Dusky grouper、 ポルトガル名 Mero、 和名 ありません。
ので、また勝手に命名しようと思いましたが、よい名が出てきません。やはりこの魚には"Mero"という名がよく似合っていると
思いますので、「メロ」と呼ぶことにします。
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この学名にある"marginatus"は他の魚や、いろいろな動植物の学名にも使われている種名です。もとはラテン語なのでしょうが、
意味は「縁取りのある」といったような、英語の"margin"のそれです。
メロは成長するとは1.5mほどにもなるのですが、今回のものは60cmほどの未だ幼い個体ですので、目立った"margin"はありませんが、
大きなもには確かに尾鰭や尻鰭等に鮮明な白い縁取りを見ることができます。
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さて、メロは「雌性先熟の雌雄両性」(protogynous hermaphrodite)です。聞きなれない言葉ですが、サレマと比較して見てください。
雌として成熟した後に雄になります。サレマはその逆です。
メロの場合は前述のとおり、大型魚です。ですが、子育て中(産卵期)はどの動物も同様に外敵に襲われる危険度が増す時ですので、
その時に体が小さく、目立たない方が都合がよいという訳です。逆に大きくなってからは小さな雌たちを外敵から守るということになります。
誰が考えたのかは知りえませんが、神秘です。
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上記の名の由来の解釈は現在ごく一般的に言われていることで、"marginatus"という言葉は13世紀ごろにできたラテン語だとか
どっかに書いてありましたので、そんな大昔の言葉の意味が今も変わらず世に通じているとは逆に思えず、そんなところから
勝手に別の解釈を考えてみました。

「語源」は"margin"ではなく、"marginal"ではないかと思います。しかし、ここはポルトガルですので、これはポルトガル語です。
ポルトガル語の方が、英語よりラテン語に近いのではないかとも思います。しかし、"marginal"は英語でもポルトガル語でも
違いはなく"marginal"です。やはり「縁の」という意味ですが、これが転じて「周辺的な」~「本質的でない」~「取るに足りない」となり、
これが動詞(marginalizar)となると、「社会から疎外される」、「のけ者にする」という意味に発展します。
実生活では、このmarginalizarという言葉は、上記の「悪い」意味とは別に、単に「ちょっと離れた」とか「隅っこにいる」とかいった感じで
使われています。

メロの習性からすると、海底の暗い岩陰でひとりじっと獲物を待つ情景は、正に"marginalizarしている"(marginalizado)という解釈が
ドンピシャのように思うのですが、いかがでしょうか。
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by mobulamobular | 2009-03-11 01:33 | | Comments(5)
Commented by 山田 at 2009-03-12 23:31 x
以前、リビアから入荷したサンプルで見たことがあります。ところで、スペインでメロといった場合、本種のことをさすのでしょうか。それとも、広くハタ類をさすのでしょうか。
Commented by mobulamobular at 2009-03-13 02:35
山田さんへ。魚が好きだったり、おおよそ魚の知識があるスペインの人たちにとっては、本種が"Mero"ですが、一般的にはご指摘の通り「広くハタ類をさしている」と思われます。ちなみにポルトガルでも本種は"Mero-legitimo"としています。
Commented by 山田 at 2009-03-13 22:16 x
ありがとうございました。以前、チリから輸入されたノトセニア科の魚のマジェランアイナメにが、「メロ」という名前で流通したことがあります。調べてみると、現地では別の魚に使われていた名称である「メロ」が、どこで、どう間違ったか、使われたようでした。これが、やはりハタの1種でしたので、本場スペインでの名称がわかって、参考になりました。ありがとうございます。
Commented by chie at 2009-12-03 19:50 x
雌性先熟の雌雄両性の神秘、面白いですね!目下イタリアでは、主に雄性先熟の人間(トランス)が話題になっていますが、こちらはどのような神秘なのか・・・      ところで、こちらの魚屋さんで良く見るCernia(チェルニア)という魚、図鑑には、学名が、Epinephelus guaza 名称(英)Dusty Perch(ス)Meroとあります。ポルトガルではlegitimo、という事なのでしょうか?
Commented by mobulamobular at 2009-12-04 00:56
chieさんへ。同じ魚だと思います。動物分類の詳しい仕組みまでは知りませんが、昔は"Epinephelus guaza"とも呼ばれていた魚が、今は"Epinephelus marginatus"となっています。現地名についてはいろいろです。ポルトガルでは「正式」には"Mero-legitimo"となります。この"legitimo"というのは、「マダイ」の「マ」のことです。この類の魚は年齢や生息場所の違いにより、色柄等の見た目が大きく異なる事があります。
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