スズキ目(Perciformes)で一見「ハタ」のような魚ですが、実は「イシナギ」という聞き慣れない科(Polyprionidae)の1種です。
学名 Polyprion americanus、 英名 Wreckfish、 ポルトガル名 Cherne、 和名 アルゼンチンオオハタ。 学名および和名からもこの種がアメリカ大陸側に多く生息している(いた)ことが連想されますが、FishBaseなどによると、大西洋のみならず、インド洋にも太平洋でもその生息が確認されているようです。しかし、日本近海にはいないようです。アルガルベでの水揚量はずいぶんと減少しました。これは資源量の低下というよりは"ユメカサゴ"同様、漁船数の減少に起因するものだと思います。ここで水揚される魚類では一番の高値のつく魚で、当然人気もありますので、定置網の"コルビナ"もこの魚と一緒に市場に並んだ際は値を下げてしまいます。 和名では「アルゼンチンオオハタ」となっていますが、前述のとおり、「ハタ」ではありませんし、アルゼンチン近海にのみ生息しているものでもありません。よくあることですが、この和名は誤解を生む類のものです。英名では"Wreck(=遭難)fish"と少々恐ろしい名前がついていますが、これはこの魚がたいへん好奇心旺盛で、時に漂流物(=wreckage)などについて泳ぐ習性の持ち主であることから名づけられたものと思います。定置網で漁獲されることはめったにありませんが、定置網の周りでは特にこの若魚(30~40cm)をよく目にします。浮子(アバ)やロープの下に隠れ潜んでいます。そこに石ころでも投げ込むと「何だ」とばかり出てきますが、そんな時、漁師のタモ網ですくわれてしまいます。こんなところは"Balistes capriscus"にも似ています。ポルトガル名"Cherne"(シェルネ)は有名な「ジャスト・ア・ネーム」です。
by mobulamobular
| 2008-03-24 06:45
| 魚
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