ユメカサゴ
『カサゴ』というと浅場で岩陰に隠れ、じっとしているようなイメージがありますが、この個体は水深200m以上の海底から
地元漁師が仕掛けた延縄により釣り上げられたものです。
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学名 Helicolenus dactylopterus dactylopterus、 英名 Rockfish、 ポルトガル名 Cantarilho、 和名 ありません。
Fishbase等では英名は"Blackbelly rosefish"となっています。この種の和名はないようです。属名はユメカサゴ属です。
日本では釣り人の間で広く「ノドクロ」と呼ばれています。ようするに口内が黒いのですが、この「黒」がお腹の中まで
続いているので"Blackbelly"(腹黒)となっているようです。
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一昔前までは多く水揚げされていた魚ですが、対岸のモロッコとの漁業協定により、地元では減船を余儀なくされ、
最近ではまれにしか市場で見ることがなくなりました。アルガルベ地方のSotavento(Faroより東側)では岩場が少なく、
もともとこの類の魚は少ないのですが、人気のある魚だだけに少々さびしい感じがします。
「昔」、ポピュラーな魚だったことは、たくさんの俗名が存在することからも察することができます。
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正式なポルトガル名(Cantarilho=カンタリーリョ)の由来は定かではありませんが、いくつかの語源が想像されます。
この魚は釣り上げられた時など"コルビナ"のようにグーグーと鳴くことがあります。
これを「歌っている」(cantar)と思い名づけられたとも考えられますが、俗名で"Rouca"(しわがれ声)と
呼ばれていることからも、「鳴く」といっても小鳥のように美しい声で鳴くわけではないので、「歌っている」と
思われる可能性は低いのでないかと考えます。
"Galinha do mar"(海の鶏)という俗名もありますが、これは背鰭が鶏のトサカに似ていることからついた名前だと
思います。
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"Cantarilho"自体は造語です。どの言葉から派生したものか考えた際、"cantaro"(水差し)という単語を見つけました。
一見、魚の名前とは何の関係もないように思われますが、これがあの「グーグー鳴く」と結びつきました。
この「水差し」はテーブルの上に置かれるような小さなものではなく、どちらかといえば、土間の片隅にひっそりと
たたずんでいるような比較的大きなものです。そこから水を移す際、「水差し」を傾けます。すると「どくんっ、どくんっ」と
音を立て、水は流れ出します。これが「魚がグーグー鳴く声」とされたのではないか、という意見が出ましたので、
思わず賛同してしまいました。
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ちょっと無理のある仮説のような気もしますが、「ユメ」があっていいと思います。
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by mobulamobular | 2008-03-07 01:14 | | Comments(0)
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