リングアード
はじめに。
"ササウシノシタ"において、種の異なった写真を掲載していましたので、差し換えを行いました。そして、あらためてここに2種のササウシノシタ科(Soleidae)の魚について述べます。アルガルベ(ポルトガル南部)ではともに"Linguado"(リングアード)の名称でとてもポピュラーな魚なのですが、2種はとても似ていて、その種の同定の難しさから、今では両者の形勢が逆転して市場に定着してしまっているかのようです(と思っています)。
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学名 Solea vulgaris、 英名 Common Sole、 ポルトガル名 Linguado legitimo、 和名 ヨーロッパソール
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学名 Solea senegalensis、 英名 Senegal sole、 ポルトガル名 Linguado branco、 和名 ありません。

見た目の色や若干の模様については個体差の範疇です。検索ポイントは側線の走り方、眼の位置・大きさや口、鼻の形状や大きさです。明らかな違いは見当たりません。いろいろな角度から両者を観察したいと思います。まずは、ひっくり返します。いずれも同じ個体です。
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似ています。背鰭、臀鰭の棘条数にも大きな違いはありません。続いて、無眼側の頭部、尾鰭部のアップです。
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いわゆる「下唇」の厚みに違いがあるように思われるのと、尾鰭の先端がS.vulgarisの方が黒っぽいように思われます。続いて、顔面アップです。
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どうでしょうか。何か違いはあるでしょうか。一見何も違いはないように思われますが。しかし、こうなるとまったく「神の悪戯」としか思えない、重要な検索部位が隠されていました。
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キーワードは「胸鰭の黒色部」です。確認のためにS.senegalensisの別の個体のものも見てみます。
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やはり、違います。S.vulgarisのものは胸鰭上部後縁にブロッチ(blotch)状になっているのに対し、S.senegalensisのものは黒色部は鰭全体に広がっていますが、鰭条(きじょう)にはなく、どちらかというと、鰭条と鰭条の間の膜が黒くなっていることが分かります。ちなみに、"ササウシノシタ"で出てきた"Solea lascaris"のものは、胸鰭中央に「一筋の黒いライン」状になっており、S.senegalensisと比べると、下の写真のようになります。
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冒頭で述べたようにこれらの魚種名に混乱がおきています。正確な漁獲量については把握していませんがオリャオの市場で見る限り、S.senegalensis(Linguado branco)の方がS.vulgaris(Linguado legitimo)のそれより多いように思います。そのためか、本来の"common=legitimo"が入れ替わっているのではないかと想像しています。市場で"Linguado branco"といっても誰も確かな反応を示しません。それどころか"こっちがlegitimoだ"といいます。また、S.vulgarisには"Linguado ferrugento=錆びついたササウシノシタ"という、どちらかというと「ネガティブ」な名前を付けて呼んでいます。"vulgaris"、"common"、"legitimo"、"ヨーロッパ"と、まさにこの海域でのピュアなササウシノシタとして君臨してきた姿はもうここにはありません。そもそもなんでこのような状況になってしまったのかはわかりません。そのうち、「謎」が解けたらいいなと思っています。
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フ~ッ。









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by mobulamobular | 2008-03-05 07:21 | | Comments(0)
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