木材
ヨーロッパ大連合は今や27カ国に拡大し、域内の経済を飛躍的に成長させています。
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一方、27カ国の異なった文化や慣習をひとつにまとめようとする試みは困難な状況が続いています。よいのか悪いのか、市場原理主義とはならない原因がここにあります。経済活動における基本的なルールや線引きは27の加盟国の総意となります。ですから、27の異なった意見をひとつにまとめる作業を行うわけですが、これが大変です。全て「政治」のお話ですので、皆の欲求を満たしたものは肥大化し、時には複雑怪奇な格好で世に登場します。

上の写真は、ポルトガルにおける食品衛生法についての新聞の記事です。レストランでのシチューなどをかき混ぜる「木」のスプーンが禁止されました。代わりにプラスチック製やシリコン製を使うようにとのお達しです。まな板も包丁の柄も同様です。厨房からは一切木製のものは排除されました。
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ここから発展して、漁業にもその影響が出ています。魚を運ぶ木箱や木のパレット、トラックの荷台、漁師のナイフや氷用スコップの柄等、軒並み使用禁止です。そしてついには、木造船禁止です。上の写真の木造巻き網船は近隣の市役所が新しい郷土博物館建設のため買い上げていきました。

全て一気にというのはあまりにも無理がありますので、交換は今後徐々にということになると思いますが、既にEUの皆が満足する法律は施行されていますので、厳密には見つかれば罰金が科せられます。ポルトガルのような小国には脅威とも思われるEUの法律ですが、今日もどこかで抜き打ち検査が行われ、たくさんの民が泣いていることと思われます。この検査は大変組織だったもので一切妥協はなく、完全武装で行われます。たくさんのヘルメットに防弾チョッキにブーツ姿の警官を従え、検査官は木箱に入った魚を挟んで魚屋のオヤジさんに相対します。警官のライフルの銃口はそのオヤジさんに向けられます。ウソのような本当の話です。その場に居合わせた人間はその行動が制限されます。当然、写真撮影は許されず、携帯電話の通話についても警官の注意を受けます。しかし、このあまりにも強行な検査のあり方に疑問を抱く人も多く、実際に裁判沙汰になっているケースもあるようです。

今、皆が注目している「検査品目」がワインです。中には何十年も精魂込めて育ててきた「木樽」の中の熟成ワイン。これらは今後いったいどうなってしまうのでしょう。
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by mobulamobular | 2008-01-28 08:09 | ポルトガル文化 | Comments(3)
Commented by barca_branca at 2008-02-11 22:14 x
素朴な木のスプーン、それ自体には何の罪もないのに…。
今、ユーロは強くなっていますが、その陰で、従来のやり方を
放棄せざるを得ず、いろいろと泣かされている人たちもいるよう
ですね。

Commented by kimiyasu-k at 2009-12-18 05:23
こちらでも同様なニュースを聞きます。EUが”伝統的な文化”におかしな介入をするのは、腹立たしいですよね。例えば地方のとっておきのチーズが消滅して、みんな あのオゾマシイ オランダチーズになってしまっては”生きる喜び”が減ってしまいますよ。シチリアのパンのあの香り は小麦粉がECに認められなくても貴重です・・・魚屋さんが、ポイ捨ての手袋してセラミックのハサミで魚を捌くのが、EUの文化なのでしょうか???但し、こちらでは、ポルトガルの様な厳しい取締りは無いと思います。手袋も、帽子も、北イタリア以外ではあまり見かけないし、木のスプーンも生きています。スペインでも、かの有名なTAPAS,Pulpo à la gallega は必ず木のお皿(蓋)にのっていました・・・ブロクラシーの問題か、国民性の違いか???
Commented by mobulamobular at 2009-12-19 06:49
kimiyasu-kさんへ。この次の記事の"ASAE"というのが取り締まりを行う組織なのですが、今年、憲法裁判所で一部の活動は「違憲」との判決が下されています。その後、派手な活動は減っているように思われますが、基本的にはポルトガルの国民性が非常によく出ている事例だと思っています。
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