タイ4姉妹
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学名 Pagellus erythrinus、 英名 Common Pandora、 ポルトガル名 Bica ("尖り"という意味)、 和名 ニシキダイ。
美しい魚です。ポルトガル名の"尖り"というのはちょっと納得いきませんが、形から言えばいたしかたないところでしょうか。
和名「ニシキダイ」というのもよいですね。名ばかりでなく食しても美味です。定置網では夏場によく入ります。
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学名 Pagellus bellottii bellottii、  英名 Red Pandora、 ポルトガル名 Bica-buço(あるいは"Mariana")、 
和名 アサヒダイ。
上のBicaの近種。これも美しい魚です。日本ではどうやら少量ながら「アサヒダイ」というおめでたい名前で
流通しているようです。興味深いのがポルトガル名で、Marianaは単なる女性名で、容易に「美しいもの」を
想像できますが、標準名とされているBica-buçoの"buço"(ブソと発音します)とは、一般的に「女性の口ひげ」
(うぶ毛タイプ)のことを指す言葉です。ちなみに男性の口ひげのことはbigodeといい、猫のそれも同様です。
それでは何故この魚がbuçoなのか?
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上がBicaで、下がBica-buçoです。口元を比べてみるとどちらかと言うと前者の方がゴッツイ口元で、
後者の方が優しい面持ちに感じられますが、いかがでしょうか。
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お気づきかもしれませんが、英名では双方とも"Pandora"という名がついています。あのギリシャ神話の
「パンドラの箱」のそれです。
これらの魚はやはり誰が見ても美しい、神秘的なものに見えるのでしょう。ポルトガル人以外は!?

さて、3種目ですが、これは以前「魚その5」でもご紹介したものです。
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学名 Pagrus pagrus、 英名 Common Seabream、 ポルトガル名 Pargo legitimo、和名 ヨーロッパマダイ。
マダイはどこでも「真ダイ」といった感じで、タイの基本形、魚の原点のような存在です。これもきれいな個体でした。

最後に4姉妹目としてご紹介するのは、これも以前に「珍魚」でご紹介したものです。
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学名 Dentex canariensis、 英名 Canary Dentex、ポルトガル名 Dentão quissanga、
和名は定かではありませんが、あえて言えば「カナリア・キダイ」とでもなるでしょうか。これまたきれいな魚ですが、
外見上はBicaとPargoを足して2で割ったような形をしています。
しかし、決定的に違う箇所がひとつあります。学名が示すように"Dentex"というのは「歯」のことを指しますので、
この魚は鋭い歯とか、大きな歯を持っているとか、すぐ噛み付くとか、そういった歯にまつわる特徴があることが
容易に分かります。
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で、口の中を覗いてみますと。ありました。確かに鋭い歯が。こういった歯は上記のPagellus属やPagrus属の
魚にはありません。もちろんタイ類ですので、皆歯がありますが、Dentexのものが一番鋭いという意味です。
それにしても。もうお気づきかもしれませんが、学名、英名、日本名ともに西アフリカ沖のスペイン領カナリア諸島の
「カナリア」という名前が入っていますが、ポルトガル名のみ"quissanga"というカナリアとは違った名前がついています。
では、一体"quissanga"とは何かというと、旧ポルトガルの植民地であった東アフリカのモザンビークの一地区の名前です。
ようするに、ポルトガル人は「この魚はカナリアではなく、モザンビークの"quissanga"地区によくいる魚だ」
と言っているのです。
ここからも、旧大国の威信が見え隠れする一方、良い悪いは別として、オリジナリティーの現れと言えるでしょうか。
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by mobulamobular | 2007-06-26 03:33 | | Comments(0)
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