マグロのヤケ
「ヤケとは筋肉の筋原繊維タンパク質が変性し溶出した状態であり、筋繊維微細構造の死後変化の量的に進行した状態であると考えられる。」とか言われても何が何だか分からないのが、マグロのヤケです。しかし、分からないからといって放っておけないのがやはりマグロのヤケの問題なのです。マグロの肉がヤケの状態になると、肉は艶を失い、パサつき、到底サシミとしては使えない代物になってしまいます。しかし、食べれないことはありません。食べれます。ツナステーキにすれば何の問題もなく美味しくいただけます。問題はサシミにできないと安値になってしまうことです。だから漁師は、水揚げ時の即殺を試み、船上ですぐに骨髄の神経を殺し、血抜きをし、できるだけ早く冷やし込みを行うことを心がけています。しかし、それでも出てしまうのがマグロのヤケです。
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釣りにせよ、網にせよ、マグロは最終的に人との距離が縮まれば、本能的に身の危険を感じ逃げようとして暴れます。経験上想定できることは、マグロは暴れると体温を上げ、極度の緊張状態となり、強いストレスを感じます。その後死ぬとこれら高体温やストレスが身に悪影響を及ぼし、結果ヤケとなる、ということです。ですから誰しもマグロを暴れさせることなく即殺することを考えます。しかし、想像してみてください。魚体重が200kgから時には400kg以上もあるマグロをどうやって即殺できるか。お隣りのスペインでは主にマグロの漁獲時にはライフル等銃器を使用しています。これはマグロの肉の品質向上のためというより、作業を早く済ますという意味合いが強いのです。ライフルなんて危ない、とか思うかもしれませんが、マグロを取り上げる漁師にとってはライフルを使わず、素手でマグロと格闘する方がもっと危ないのです。理屈では分かっていても、やはり船上でのライフル使用は認められないとしているのが、ポルトガルです。ですから、作業はかなりの危険性を伴います。
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手鉤一本が頼りです。手鉤でマグロを手繰りよせ素早く血抜きを行います。その後、船上に移し、諸々の作業を行います。なぜ素早い血抜きが必要かというと、魚は人間とは異なり変温動物ですから、興奮すると体温が40度以上にも達します。血はマグロの体内全身を走っていますから、死後、40度にも達したものを体内にそのままにしておいたら、まさにそれだけでマグロは「焼け」てしまうからです。その後、骨髄の神経を抜き、脳から身体に余計な信号を送るのを防ぎます。それから冷やし込みです。水氷内で約一昼夜冷やし込みます。身体が"太い"のでなかなか芯まで冷やしきれません。ですがこの時が勝負です。ヤケの進行を抑えることができるかどうかです。この結果を待って、マグロは出荷されます。めでたくヤケが出なかった場合は、大手を振って築地界隈を闊歩できますが、ヤケてしまった場合は"猫跨ぎ"となってしまいます。「ヤケ」とはマグロの肉質の一表現です。決して病気とか、毒とか、人体に悪影響を及ぼす事柄ではありません。
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by mobulamobular | 2007-06-05 00:05 | マグロ | Comments(0)
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