ICCAT年次会合
パンダマークの環境圧力団体は、昨年の失敗を繰り返すことなく、今年はよい点を突いてきました。

資源枯渇が深刻化して、2010年にはワシントン条約で、禁輸問題にまで発展した大西洋および地中海クロマグロの資源管理の最大のネックは、"地中海内で行われている畜養事業" であることは以前より明らかなのです。

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地中海内で行われているクロマグロの畜養事業の関係国は、スペイン、フランス、イタリア、マルタ、ギリシャ、キプロス、クロアチア(以上EU)、トルコ、チュニジア、リビア、アルジェリアなど、そして日本、になります。日本については、何れも直接的ではなく間接的関与になりますが、畜養されたマグロのほとんどすべてが日本に向けて出荷されることより、結局、これは"日本がやらせている事業"、ということになりますので、最大の関係国です。日本人ならば、国益とかいう前に、まずはこのことをしっかりと理解しておく必要があります。

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世界最大規模の自然環境保護団体(WWF)が指摘した今回の問題点の一部に、今まで関係者がこぞって口を閉ざしていたポイントが含まれていました。

地中海内で行われている畜養クロマグロの場合、150kgの個体を捕まえて給餌をすると半年後には230kgほどに成長する、という密約(ICCAT承認)があります。これは"スゴイ"成長率なのですが、ちなみに天然マグロの場合は、年齢10年で約150kgに達した個体は、4~5年後(年齢14~15年)で230kgほどになると考えられています。"畜養すると約半年、天然では4~5年" ということですので、この差は本当なの?、という話です。

つまり、"150kgの個体を捕まえて…" の150kgというのは、マグロが生きている時の体重で、まだ泳いでいますので、正確に測ることはできず、当てずっぽうな数字なのです。一方、"半年後には230kgほどに成長する" という230kgというのは、マグロはすでに死んでいますので、正確な数字になります。

ようするに、"逆" なのです。獲ってみたら230kgだったので、捕まえた時には150kgだったと申告できるのです。そして、この150kgというのが、その国や漁場や畜養会社に与えられたクロマグロの"漁獲枠"なのです。

"もし、半年の畜養期間で、そんなにマグロが成長しなかったら"、最初の150kgという数字は、180kgだったり、200kgだったりになることになります。

これを、マグロの増肉係数と呼んでいますが、これを操作することによって、いとも簡単に、漁獲枠以上の漁獲ができるようになるというカラクリです。

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昨年、WWFをこてんぱんにやっつけた日本も、今年の指摘については一定の理解を示し、今後の検討課題となりました。

ちなみに、ポルトガルは、上記の件には一切関係がありません。ポルトガルは増肉係数を使用していません。最終的にマグロを海から取り上げた重量で、漁獲枠の計算をしています。

最後に、もう1点。こんな状況でも、関係国の皆さんにとっては、商売ですので、ちょっとでも多い漁獲枠を確保したいと思うのが、人情です。しかし、限られた資源です。漁獲枠を、"皆"で上手く分配する必要がありますが、なんで"大西洋および地中海の大切な魚資源"の10%近い漁獲枠を未だに日本が持っているのか、甚だ疑問として残ります。これを大西洋および地中海諸国の皆さんに譲っていただけないでしょうか。ここから先は、政治の話になります。
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by mobulamobular | 2013-12-08 06:10 | マグロ | Comments(0)
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