50日の法則
マグロの話となると、いつもコントラバーシャル話題になりがちで、これは大いに反省しなければならない点と心得ています。そんなことで、今回のマグロの話は、ちょっと興味深い話というか、どちらかといえば、マニアックな話題となります。

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1898年に描かれたクロマグロ(上)とビンナガ(下)のスケッチのコピーです。

今、アルガルベ定置網では、今年のクロマグロ漁の最盛期を迎えようとしています。ここで獲れるクロマグロには大別して2種類(本当は3種類いると思っています。もう1種についてはそのうち記事に)の群れが存在します。ひとつは、通称「入りマグロ」と呼ばれている、地中海に産卵に向かう群れです。そして、もうひとつは地中海で産卵を終え、再び大西洋に戻ってきた、通称「出マグロ」と呼ばれる群れです。

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このふたつの群れの間にはとても興味深い法則が存在すると大昔の資料に記されています。それが、「50日の法則」です。

それは、産卵のため地中海に向かう群れがアルガルベ海岸を通過してから、地中海で産卵を終え再びアルガルベ海岸まで戻ってくる日数が「ジャスト50日」だというものです。

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両者のマグロは肉体的特徴が明らかに異なりますので、"肉眼" でも両者の識別は容易に行えます。つまり、入りマグロは産卵前でお腹のあたりがパンパンで、"まるまるとした型" をしているのに対し、出マグロは産卵後で精力使い果たし、やせていて、いわゆる頭でっかちの "らっきょ型" をしています。

その年にもよりますが、入りマグロがアルガルベ海岸を通過し始めるのは4月15日あたりです。そして入りマグロの群れは6月上旬くらいまで続きます。出マグロの群れは早いものらで6月上旬から8月中旬くらいまで続きます。

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アルガルベ定置網において、今年最初は、4月13日に小さな入りマグロの群れ入網で、マグロ漁のシーズンは開幕しました。そして、昨日、明らかに出マグロと思われる "今年最初の出マグロ" の小さな群れの入網があったのです。

つまり、これらは「行って帰って来て、50日」ということになります。これは、冒頭にも述べたように、マニアックな話題ですが、けっこう感動しています。

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上の写真は大昔の資料のコピーで、「50日の法則」が記された箇所のグラフの一部です。群れには大小ありますので、大きな群れについて考察が行われています。例えば、5月13日に入りマグロの大きな群れの入網があった50日後の7月2日に(下の写真)、こんどは出マグロの大きな群れの入網があったことなどの詳細が記されているのです。

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最近では、ポップ・アップなどの近代兵器を用いれば容易にその動物の行動が追跡でき、把握できるのかもしれませんが、正直言って、大昔の人々に比べ、頭は半分も使っていないのではないかと思います。退化する訳です。
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by mobulamobular | 2013-06-04 05:22 | マグロ | Comments(0)
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