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無理やり
それでも「無理やり」沖に出たとしても、結局はこんな感じになります。前々々回の「8月の時化」の続きです。
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急潮です。標識ブイが潮に押されて沈みかけています。しかし、これは海の深いところから冷たい水がどんどんアルガルベの海岸に押しよせて来る急潮とは反対の向きの流れです。「東から西」の流れです。相模湾あたりでいう「サキシオ」となります。
理由はやはり「風」だと思っています。
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スペインの天気予報サイトから拝借した風向きとその強さを表した図です。こんな感じになります。ジブラルタル海峡を地中海から大西洋にすり抜ける風が強まると、アルガルベに南東からの大きなうねりが到達します。その風に伴い、水が地中海から大西洋に勢いよく流れ出します。これが「サキシオ」の急潮となる原因です。
"証拠"があります。こんな時決まってこいつがよく定置網に入るのです。
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以前、勝手に名付けた"地中海マアジ"です。2度目の登場です。
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学名 Trachurus mediterraneus、 英名 Mediterranean horse-mackerel、 ポルトガル名 Carapau do Mediterrâneo、
和名はありません。
地元Olhãoではこれを"Xaréu"(シャレゥ)とか呼んだりしますが、これはまったくの勘違いで、Xaréuは本来ポルトガルでは「クロカイワリ」(学名 Caranx crysos)のことになります。
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おさらいですが、"地中海マアジ"は後頭部背鰭沿いの側線は、第一背鰭第8棘条下、あるいは第二背鰭第3軟条下までで終わっています。
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全体的にニシマアジ(学名 Trachurus trachurus)に比べ、緑色が強い印象を受けますが、顔つきはそっくりです。
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尾については黄色みが強いような気がします。地中海から大西洋に流れ出す水と一緒にこれらも大挙して地中海から出てきたものと思っています。

話をもとに戻しましょう。
この「サキシオの急潮」ですが、パワーは反対の西から東へ行く「カシマ」(これも相模湾あたりの呼称)よりもあります。波と一緒に来たらなおさらです。
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急潮の一番下の写真と比べて見てください。同じポジションです。しかし、こちらは潮流の強さで、丘の止め(数珠つなぎの黄色い浮子)が"完沈"してしまっています。

やっぱり、な。こんなに潮が早きゃ、操業も無理だ。
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だから言ったこっちゃない。
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ほら、引き返して正解さ。海は気難しいんだから。






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by mobulamobular | 2010-08-16 05:46 |
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