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ティラピア
残念ながら、今日は東よりの風が吹き、南東からの波が入り、予定していた登り運動場の網入れはできませんでした。

ということで、先日の"ナイルパーチ"の続編ではないのですが、「ビクトリア湖~魚」ときたら、もう1種についても述べておいた方がよいと思い、タイトルとしました。
まず、そもそも何故"ナイルパーチ"のことを思い出したかというと、もちろん昼ご飯のメニューにあったこともありますが、もうひとつ、きっかけがありました。ある日いつも通り、ローカル新聞のweb版で「水産」についての記事を探していた時、アルガルベ地方を視察に訪れたポルトガルの農林水産大臣のコメント記事を見つけたのです。
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最近のアルガルベの水産業はパッとしません。そこで、「養殖業」を推し進めようとしてのコメントなのですが、使われた写真がどうも変です。「アフリカ帰り」にはすぐに識別できるのです。「これって、ティアピアだろ」と。話は少々脱線しますが、古今東西、昨今のマスメディアのいい加減さにはちょっとげんなりです。「記者の勉強不足」なのでしょうが、伝えたいことが伝わってきません。ここにはDouradaとかRobaloの写真を載せたかったのでしょうが、完璧に間違えています。というちょっとエキサイティングな記事を見た瞬間、あっ、そう言えば、「ナイルパーチ」となったのです。では、本題。

学名 Oreochromis niloticus、いつからこうなったのでしょうか。昔は"Tipalia nilotica"と学んだように記憶しています。英名 Nile Tilapia、 ポルトガル名 Tilapia、 和名 イズミダイ です。
地元民・ルオ族ばかりでなく、皆んなが大好きな「ティラピア」です。その中でも、一番素早く成長し、大きくなる「ナイル・ティラピア」です。ナイルパーチに侵されたビクトリア湖から救い出され、国を挙げて「我ら好物魚を守れ、育てろ」の号令のもとで盛んに灼熱の大地に穴をあけドロ水を流し入れた池で養殖が行われていたティラピアです。
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上の記事のように、ティラピア養殖は25年後の今もさらに発展を続け、ケニア政府も巨額を投じる現地の一大産業で在り続けている様子です。尾頭付きの唐揚げをよく食べましたが、とても美味であったことを今もこの舌が憶えています。「ナイルパーチのせいで、オラがティラピアが減って困っている」と唐揚げ屋台のおばちゃんのボヤきも忘れていません。

しかし、実はこの"Tilapia nilotica"も、ナイルパーチ同様、ほぼ同時期に北ヨーロッパ人によってビクトリア湖に放たれた「外来魚」なのです。

もともとビクトリア湖にはネイティブなティラピアもいたのですが、現在それらは、ことの真相は分かりませんが、「ナイルパーチによってその数は激減」状態になってしまいました。しかし、これらの"ネイティブ・ティラピア"は、"Tilapia nilotica"に比べ、成長が遅く、環境への適応性も劣り、成魚のサイズも小さいことから、「養殖の対象魚」として、または「食べ応え」の面においても後者に軍配が上がる歴然とした事実がありました。ですから、皆んな、"Tilapia nilotica"のことがとても好きになっていたのです。でも、これがあのナイルパーチと一緒に来た魚であることを、はっきりと認識していたのは現地の人たちの中でも少数派ではなかったかと思います。

このようなビクトリア湖の状況をどう把握し、また、ナイルパーチとティラピア(Tilapia nilotica)という2種類の魚の存在をどのように理解するべきか、ややこしい問題ですが、魚のことばかり考えていてもダメなような気がしました。地域経済のことや環境、現地の人たちの生活のことも考え合わせた上で総合的に状況を判断すべきと思いましたが、現地の大多数の人たちにとっては、ただ日々の暮らしがあるだけだったのです。
by mobulamobular | 2010-04-07 06:13 |
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