CITES(ワシントン条約)会議を終えて
「祭りのあと」のような静けさが戻ってきました。
CITESのHPも会議を盛り上げるための開催に向けた「カウントダウン表示」も消え、関係者への「お知らせテロップ」がつまらなそうに流れているのみです。
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結果は惨敗でしたが、それでも彼らの目的は十分果たせたのではないかと思います。

日本を完璧な悪玉に仕立て上げることができました。「ハンニバル・レクター博士」をはっきりさせることができたのです。この点、「第2のクジラ」の誕生とも言えるのではないでしょうか。外交政策における「切られ役」です。彼らの考えそうなことで、メディアも報道の構図がはっきりして、仕事がし易くなったのではと思います。一方、日本国内での報道はどうかと言えば、「久々の日本の国際外交上のヒット」、韓国と一緒になって「日本が最大の勝者」といった具合に煽てあげています。ますます彼らの「思う壺」のような気がします。
多少、彼らの想定外であったことは、意外に"poor nations(貧乏諸国)"からの反発が強かったということです。しかし、相変わらず、そんなには気にしていないでしょう。逆に「あくどい酋長に味方するインディアン」的イメージで考えているのではないでしょうか。正に「南北問題」的様相を呈してきました。
"Monaco's proposal, backed by the United States and the European Union (EU)" という「正義」が、
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ようするに、「アメリカ、ヨーロッパによって支持されたCITES会議(モナコ案等)は、日本によって台無しにされた。」というのが、今回のCITES会議で彼らが得た結果です。

ポルトガルでは、混獲されたクロマグロは時々各地で水揚げされていますが、「マグロ漁」としてクロマグロを水揚げしているのは、この「ユーラシア大陸果ての定置網」のみです。ですから、今回のCITES会議の動向を「ご心配していただいた」リスボン大学、ポルトガル水産局、ポルトガル海洋研究所、スペインの同業者、スペインの仲買人など、各方面からご連絡をいただいたのですが、「モナコ案否決」について、皆さん、一様に"Felizmente" (幸いにも)と結果を歓迎しています。こちらのことを気にかけていただいて"Felizmente"なのかと思いきや、そうでもなさそうで、皆さん、自分たちの考えで「幸い」だった様子です。でも、これは明らかに政府見解、EUの立場、新聞等で報道されている内容とは異なる反応です。「本音と建前」でしょうか。それとも、ただ単に「モナコ嫌い」から出た「ざま~みろ」的反応なのでしょうか。

このように、少なくともイベリア半島ではちょと事情が異なっています。特にスペインは喜んでいます。政府も後押しをして、今年も伝統のAlmadrava(スペインのマグロ定置網)4ヶ統はすべて操業をするそうです。加えて、スペイン当局は「マグロのことなど全く理解していない北ヨーロッパ諸国にこれ以上自分たちにとってとても大切な政策決定を任せておく訳にはいかない」と、自主的な漁獲削減案を明示し、グリーンピースなどの環境保護団体と近々独自の話し合いの場を持つ考えの様子です。そして、例年通り、日本からの買い付け軍団が価格交渉に訪れてくることを期待しています。

もともと「クロマグロ禁輸」の件に直接的に関係しているのは地中海諸国で、前述のとおり、ヨーロッパの政策決定の実権を握っている北ヨーロッパ諸国には「関係のない」話です。ですから、そこに意見の隔たりがあるの当然のことと思われます。「ひとつにまとまりたいが、自分たちの主張も通していきたい」というヨーロッパ各国が持つジレンマです。今回の件でスペインは協調よりも自分たちの「海の文化」をイニシアティブを持って優先さていく方向で進むように思われます。一方、ポルトガルは「現状維持」です。さて、フランス、イタリアはどうするのでしょうか。環境保護団体への対策費とマグロ漁に対する賠償額を比較したところ、後者の方が安く済みそうなので「モナコ案」に賛同したとも聞いています。それが否決された今、何もなかったかのように「現状維持」なのでしょうか。

最後になりましたが、「モナコ案否決」が、「ユーラシア大陸果ての定置網」にとって「幸か不幸か」考えてみます。
結論は、残念ながら「不幸な」結果だったと考えます。
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by mobulamobular | 2010-03-28 07:57 | マグロ | Comments(0)
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