The Independent
残念ながら、資源保護を目的としたCITESにおける大西洋・地中海クロマグロの国際取引きを禁止するモナコからの提案は否決されました。

採決の際に賛成票を投じた国々の関係者らにはもちろん残念な結果だったでしょうが、他にもWWFやグリーンピースなどの環境保護団体およびそれらの支援者、また自然環境や生態系保全活動をライフワークとされている方々等にとっても、悔しい結果だったと思います。

で下の写真は、ちょっと古い記事になりますが、もうひとつ別のイギリスの新聞(高級紙)である"The Independent"からのものです。
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日本を代表する大企業グループ、岩崎弥太郎のそれ、大手商社。その名前で記述は始まっています。
さて。この一企業にとって、先日のCITES会議での「否決」は残念な結果だったのでしょうか。それとも日本政府同様、頑張った甲斐があった結果だと思っているのでしょうか。
この記事、写真の下方へも記述は延々と続きます。"The Independent"の報道では、当時のMitsubishiをあまりよくは書いていません。「世界の絶滅危惧種であるクロマグロの40%のシェアを持つ、何にでも触手を伸ばす巨大企業が窮地に立つ」みたいに、のっけから批判的です。また、「商業取引禁止を予測して、マイナス60℃で凍らせたクロマグロを大量に保存している」が如くです。でも、これらは全て「事実」ですので、Mitsubishiには反論の余地がなかったと思われます。

それでか、どうかは分かりませんが、その後、Mitsubishiから「怪文書」的声明が発表されました。
2009年9月16日- 大西洋・地中海クロマグロに関する声明
いろいろ、あーじゃないこーじゃない、グーたらスーたら書いてありますが、今回の議題に一致する一文に目が止まります。そこは次のような記述となっています。

(2009年)11月の会合において、ICCATがICCAT科学委員会の推奨に従わなかった場合、健全な管理と真に持続可能なクロマグロ産業の実現の為、ICCATに加えて「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(通称ワシントン条約)」を含む管理手法や枠組みを、当社として支持することとします。

「獲れるうちに獲れるだけ獲る」。それが彼らの与えられた使命です。「いつになるかは分からないが、獲りたくても獲れなくなる日が必ず来る」というのが、彼らの読み、です。
冷凍技術の発達のお陰で、数年、またはそれ以上の年月の間、ほとんど品質の低下なしにマグロが冷凍保存できるようになりました。だから「貯めれるだけ、貯める」ことになったのです。クロマグロは、ついこの間まで、完全な売り手市場でした。経済危機、世界不況のせいで、こんなにもクロマグロの相場が崩れるとは夢にも思わなかったことです。「彼らの読み」は外れました。

「クロマグロの在庫処理」が大きな課題です。冷凍庫にマグロを保管しておけば、品質は落ちないものの、「経費」は掛かります。ということは日に日に「マグロの値段」は上がっていくことになります。でも相場は安くなって、下がったままです。「物が高価」なだけにこの在庫処分、厄介です。

だから、「残念だった」のではないでしょうか。「チャンス到来」だったかもしれません。CITES。もうこれ以上マグロが来ないことがはっきりすれば、安心して小分けで(高値で)在庫処理ができたように思います。「経済効果」とか考えれば、どっちがよかったのか。そこまで考えた結果、頑張ったのでしょうか。農林水産省。

「どうせ、禁輸は数年のみ。その内に冷凍庫を空にして、また貯める時が来る。仮にずっと来なくても、次の一手は打ってある。」とか、考えませんでしたか。で、今年はどうするのですか。まだ、買うのでしょうか。せっかく農林水産省が自らの頑張りで、「否決」を勝ち得たと思っているのですから、買わないとシャレになりません。
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by mobulamobular | 2010-03-21 02:36 | マグロ | Comments(2)
Commented by chie at 2010-03-24 18:52 x
各種の新聞記事を読んでも、Mr.G.Monbitのブログに行っても、なんかピンとこなかったのですが、このブログで、ようやくコトの本質がちょっと解ったような気がします。が、そこらのイタリア人の批判 に返すうまいシャレが・・・思い浮かびません。 この問題、今後どのような展開をするのでしょうかねえ???   
Commented by mobulamobular at 2010-03-25 06:27
chieさんへ。この問題、次々といろいろな情報がありますが、ICCATがあそこまでケチョンケチョンにやられてしまったので、漁獲量については各国の判断に委ねられそうです。しかし、EUはもう1度ICCATに復活のチャンスを与える考えもある様子で、その場合、環境保護団体等向けに、自らの存続を賭けて「漁業者にとってはとんでもないことを言い出す」可能性がありそうです。しかし、何れにせよ、これらは政治的な話です。経済的に一番の注目は「築地のマグロ相場」です。スペイン伝統の定置網は何とか今年もマグロ漁ができると安堵したのもつかの間、買い手がついていないそうです。本当の問題はこっちです。
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