ダイバーズ・ウォッチ
携帯電話普及以降、「腕時計」をしない人が増えた、と聞き及んでいますが、機能面の優位性から使い続けています。
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自身、4台目のマシーンです。購入年はうろ覚えですが、1988年。当然、今までの中では一番長く使っています。過去の3台はいろいろな事情で手元から離れて行きました。
昔は、中学生から腕時計をしたものです。中学入学祝いとかで腕時計を贈られた人も多いのではないかと思います。中学生になるということは、「大人の仲間入りをする」ということですので、だから、腕時計が必要なのです。そう解釈していました。初めての腕時計は親父のお古でした。スイス製の"J.W Benson"というとてもよい時計でしたが、当時の中学生向きではなかったので、すぐにもっと格好のよい、特に、したままでも水の中に入ることができる「防水」の時計が欲しくなり、中3の時に小遣いを貯め、初の「ダイバーズ・ウォッチ」を購入しました。これは大学の途中まで使いましたが、バッティング・センターに置き忘れ、万事休すでした。その後、2台目はエジプト・カイロの土産物屋で「偽の金環」と交換で奪われました。続く3台目はタイのバンコックでホテル火災に遭い、燃えてしまったか、はたまた奪われたか、その時のファイアーファイターに鎮火したホテルに戻ることは許されず、そのままおじゃんでした。

定置網をやるには、必ず潜水作業を伴います。しかし、「手っ取り早い」から潜るのではなく、「最後の手段」として水の中に入ります。できる限り船上からの作業で賄うのが基本です。なぜならば、潜水作業は常に「潜水する者」に危険が伴うからです。最近の潜水作業は「スクーバダイビング」で行われます。これは最新のハイテク作業です。正に人間の「常識破り」の行動となります。鰓(エラ)もないのに水中で呼吸をします。潜る深度にもよりますが、かなりの水圧を受けなければなりません。呼吸、水圧ともにひとつ間違いがあると、一瞬先は闇の世界となります。もちろん「潜水する者」は事前にそれなりの準備をしますし、知識も植え付けますので、危険を判断できます。しかし、船上で待つ「潜水しない者」はその限りにあらず、です。

定置網では、水中の網やロープの点検、網内の魚のチェック、海底に落下した物の回収、等々、いろいろな目的で潜る機会があります。20年ほどの潜水経験から、潜水のし易い・し難いは、船上にいる「潜水しない者」の資質で決まることを悟りました。もちろん潜水作業は「潜水する者の自己責任」です。しかし、チームプレーに徹するあまり、時に無理が出ます。「潜水しない者」は、あともうちょっと、もう1回潜ってもらえば仕事が終わる、などの理由から「潜水する者」に再潜水を嘆願します。しかし、この時の判断に潜水の知識がない場合は、危険が伴うのです。潜水経験があれば、すぐに分かるでしょうが、定置網における潜水作業は時に一般的な潜水のルールをかなり無視して行われます。出始めの頃、「ダイブ・コンピューター」というのを着けて潜ったことがあります。浮上する際のスピードが速すぎたりすると、水中でも聞こえるアラームが鳴り、注意を喚起する仕掛けになっているのですが、その日は潜水の始めから終りまで、アラームが鳴りっぱなしでした。今も、いろいろなところの定置網に多くのダイバーが当たり前のように潜っていると思いますが、くれぐれも無理はなさらぬ様にしてください。ダイビングの事故は悲惨です。

という訳で、数年前までで定置網の潜水仕事からは足を洗いました。幸い、20数年の間、多少危ない場面もありましたが、無事故でした。今は「若い者」が潜っており、船上での「良き潜水作業理解者」であるべく務めています。

上の写真の4台目のダイバーズ・ウォッチですが、数回、水深50m以上を経験しています。その中のひとつで日本の海での体験です。ちょっとした手違いで数百万円ほどする測定機器を海底に落してしまい、それを取りに潜りました。その日、海水の透明度はよかったのですが、水深50mとなると、日の光がうっすらとしか届かず、加えて海底の砂も「黒」ですし、若干の窒素酔いも手伝って、着底した際は、まるで宇宙のどこか別の星、「暗黒星雲」にでも着陸したような気分になりました。自身はもちろん宇宙飛行士です。で、おちゃらけはそこまでで、仕事です。一応、プロですので、さっさと落下した測定機器を探します。難なく発見。機器にロープを結わい付け、浮上開始。BCDなど使いませんので、あらかじめ落しておいたロープをつかみ、浮上します。この深度になると完全に沈降力が浮力より勝りますので、浮上も必死です。で、5~6mほど上がったところで、名残惜しく、海底を見ると。







バディはすでに上で浮上のため、もがき中。でも、海底に人影らしきものを発見。エアの残量から戻る訳にもいかず、しかし、放っておく訳にもいかず、浮上停止。小柄。子供。
でも、立ってる。「出たな~、海底人」。

いや、ゴミ。おもちゃ。人形。ガンダム。マジンガーZだ。

浮上再開。
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by mobulamobular | 2010-03-16 08:21 | 定置網 | Comments(3)
Commented by ウィークエンドストラマー at 2010-03-22 15:49 x
写真の時計、さすがプロの持ち物。貫禄がありますね。
あなたがカイロで土産物と交換したダイバーズ・ウォッチと色違いのおそろいを、私はまだ愛用しています。
ところで海底には何があったんですか? 
リンク先を読んだのですが、ハッキリしませんでした。
Commented by mobulamobular at 2010-03-22 18:05
ウィークエンドストラマーさんへ。だろうと思いました。申し訳ない。でも、これ作ってませんよ。水の中では物は実際より大きく見えるのですが、サイズは50cmくらいはあったと思います。とっさに「マジンガーZ」の人形と判断しました。それが、薄暗い海底に立っており、しかも「気をつけ」の姿勢の如く、両腕を前方に伸ばしていたのです。正直、ビックリしましたが、そこは「プロ」です。冷静になって浮上を再会しました。辺りにはそれ以外に何もなく、ちょっと神秘的な光景でした。が、それを「ゴミ」と考えれば、ちょっと残念なことでした。
Commented by ウィークエンドストラマー at 2010-03-23 00:08 x
解説ありがとう。なるほど、よく分かりました。
めったに見られないシュールな光景でしたね。
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