ビンナガマグロ
「ビンチョウ」とか「トンボ」とか呼ばれています。マグロ属の中では最も小型の種ですが、今回の個体はさらに小さいものです。
幼魚です。尾叉長が36cm、体重900gです。珍しくここの定置網に入って来ました。過去に多少大きなものが2~3度入ったように思いますが、はっきりとは記憶していません。
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学名 Thunnus alalunga、 英名 Albacore、 ポルトガル名 Atum voador、 和名 ビンナガ です。
しかし、冒頭で述べたように「ビンチョウ」とか「トンボ」と呼ばれるには、その胸鰭が他のマグロに比べ著しく長くなくてはいけませんが、上の写真ではさほど長くはありません。実はこの胸鰭は成長とともに長くなり、幼魚の時はこんなもんだそうです。ですから、しばしメバチ(Thunnus obesus)の幼魚との識別が難しくなります。
ポルトガル名はトビウオと同様です。「羽があって空飛ぶ(voador)マグロ(atum)」ということです。しかし、実際にはこちらはそんなに飛ばないと思います。
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胸鰭については長さのみならず形状にも若干の違いがあり、ビンナガのものはメバチやキハダ(Thunnus albacares)のものに比べ先端が尖っています。魚体側面には縦に斑紋がありますが、クロマグロ、メバチ、キハダにはある横縞は存在しません。
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体の割には眼が大きく、口も大きいです。クロマグロの場合ですと、体の先端はまず口から始まって次に目と続きますが、本種の場合は先端の口から口が終わらないうちにすぐに目となり、口と目が大きくオーバーラップしています。鰓杷数は「28」でした。下の写真はクロマグロの第1鰓で「36」です。ともに寄生虫がついていました。
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クロマグロとは異なりあまり海岸には寄らず、群れて沖を棲み家としているようです。今回はソウダガツオを仲間と間違え定置網まで来てしまったのかもしれません。貴重で、かつ興味深い訪問者でした。
ちなみに、缶詰の「シーチキン」はこの魚から始まりました。




とは言ってはみたものの、本当にこれが「ビンナガ」であるのか若干疑念を抱きます。
やはり、一番気になるのが「胸鰭の長さ」です。
国際連合食糧農業機関(FAO : FOOD AND AGRICULTURE ORGANIZATION OF THE UNITED NATIONS)のサイトの記述では下記のようになっています。
"A large species, deepest at a more posterior point than in other tunas (at, or only slightly anterior to, second dorsal fin rather than near middle of first dorsal fin base). Gillrakers 25 to 31 on first arch. Second dorsal fin clearly lower than first dorsal; pectoral fins remarkably long, usually 30% of fork length or longer in 50 cm or longer fish, reaching well beyond origin of second dorsal fin (usually up to second dorsal finlet). Fish smaller than 50 cm will have proportionately smaller pectorals than other tunas, i.e. Thunnus obesus . Ventral surface of liver striated (vascular network). Swim bladder present, but poorly developed and not evident in fish smaller than about 50 cm fork length. Vertebrae 18 precaudal plus 21 caudal. Colour: a faint lateral iridescent blue band runs along sides in live fish; first dorsal fin deep yellow, second dorsal and anal fins light yellow, anal finlets dark; posterior margin of caudal fin white. "
また、同じくFAOですが、別の記述では、"All other species of Thunnus: pectral fins shorter, never reaching beyond posterior end of second dosal fin base in adults (however, young specimens of T.alalunga , less than 30cm, have pectral fins about equal in length to similar-sized specimens of T.albacares and T.obesus)..."
国立科学博物館魚類研究室のサイトでも同じようなビンナガの写真を見ました。
などなど、「言い訳」は尽きません。
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by mobulamobular | 2009-09-05 00:28 | | Comments(0)
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